外環道 千葉県区間 現場見学会

外環道(東京外環自動車道)

外環道(東京外かく環状道路)は、首都圏中心部から半径約15kmの位置に計画された自動車専用道路。
外環道の千葉県区間における現場見学会が開催されました。

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外環道の千葉県区間は、松戸市小山(こやま)から市川市高谷(こうや)までの延長約12.1km。2015年度に全線開通予定となっています。

外環道は、国道298号と高速道路とで構成されます。
国道298号は、埼玉県和光市から千葉県松戸市の国道6号と交差する区間が開通しており、さらに2008年3月に主要地方道市川松戸線までが暫定2車線で開通しています。
高速道路は、東京都の大泉JCTから埼玉県の三郷南ICまでがすでに開通しています。三郷南ICから先、千葉県においては、松戸IC・北千葉JCT・市川北IC・市川南IC・京葉道路と接続する京葉JCT・高谷IC・首都高速道路湾岸線などと接続する高谷JCTまでの整備が進められています。(IC名およびJCT名はすべて仮称)

現場見学会は、抽選により当選した100名が2つのコースに分かれて、普段は立ち入ることのできない建設現場などを歩きながら、進捗状況や最先端の技術などを見学するものとなっています。昨年に引き続き、2回目となります。
まずはバスで「京葉JCT(けいようジャンクション)建設現場」へと移動します。

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工事が始まったばかりの京葉JCTは、京葉道路と接続するためのジャンクションとなります。完成した際のイメージ模型が用意されていました。

工事は町の中で進められているため、地域の交通や環境・安全に配慮して、トラックなどの工事用車両は事業用地内の工事用道路を通行しています。

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バスで「市川平田地区モデル道路」へと移動します。モデル道路は、外環道が実際に通る地域で、整備内容が体験できるようモデル的に整備された場所です。千葉県区間では4カ所で整備されています。

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外環道は国道298号と高速道路で構成され、外環道の両側には遮音壁を隔てて環境保全空間として自転車歩行者道、サービス道路、植樹帯などが一体となった道路構造となっています。

バスで「外環松戸相談所(外環インフォメーションセンター矢切)」へと移動します。
外環に関する概要や工事の進捗状況が提供され、地域の住民からの相談窓口も用意されています。模型を見ることにより、より直感的に工事の概要を理解することができます。

外環インフォメーションセンター矢切の屋上から、工事が進む外環道を見下ろします。
すでに暫定で供用されている主要地方道市川松戸線と国道298号とが、平面で交差する予定の地点です。交差点の下のトンネルを外環道の高速道路が通る予定になっています。左方向が三郷方面となります。

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右方向が湾岸道路方面となります。

工事が進む外環道を、市川松戸線との交差点になる予定の地点から、三郷方面へと歩きます。

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地上では国道298号と市川松戸線との交差点、その下のトンネルを高速道路が通ります。

実際の車と比較すると、トンネルの大きさがわかります。

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現在は仮設の工事用道路なので、15%もの急勾配となっています。開通時には半地下構造の掘割スリットで平らになる予定です。

トンネルを抜け、歩道橋の上から、同じように外環道を見下ろします。
三郷方面の様子です。現在、遮音壁の内側には2008年3月に先行して開通した片側1車線の国道298号と、広大な外環道の予定地があります。将来、国道298号は予定地の両側に片側2車線へ拡張され、その中央には片側2車線の高速道路が通ります。

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反対側の、湾岸道路方面です。歩いてきたトンネルを見ることができます。

三郷方面へ向かって、サービス道路を歩きます。工事の仮囲いには見通せるよう、透明の板が組み込まれています。

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写真の板の内側では、高速道路が地下を通る予定です。

矢切斜面部と呼ばれるこの地点は、低地部と台地部との接点となります。

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国道298号と高速道路は、高架橋とトンネルとが直接、接続します。

徒歩で「矢切富士見台歩道橋」へと移動します。

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切り立った台地部から低地部を見渡すと、左右方向にJR常磐線と、国道6号との交差部分を見ることができます。

歩いてきた道を引き返し、外環インフォメーションセンター矢切を通り過ぎ、湾岸道路方面へと向かいます。徒歩で「松戸矢切地区モデル道路」へと移動します。

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車のスピードを抑えてもらうため道路に設置された「植栽フォルト」、段差が緩やかな「バリアフリー」歩道、コミュニティ空間としての憩いの場である「休息スペース・ベンチ」など、モデル道路には様々な工夫が織り込まれています。

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松戸矢切地区モデル道路では四季折々の開花を楽しむことができるよう、10種類以上の植物が植えられています。

「小塚山公園・小塚山トンネル工事」へと移動します。住宅が立ち並ぶ中に、大きな森が見えます。

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小塚山公園は、シラカシ・イヌシデ・クヌギなどの樹木をそのまま生かした公園。地下に外環道のトンネルが通ります。工事は、周辺環境に影響が出ないよう細心の注意が払われています。

トンネルを掘り始める起点側と終点側に「防音ハウス」が設置されています。

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夜間作業の際には工事の音が外部へ漏れないよう、防音ハウスの入り口や天井にあるシャッターが閉まります。

外環道のトンネルの工事が進みます。トンネルの本体となるコンクリートの箱は「函体(ボックスカルバート)」と呼ばれ、外側の幅は高速道路の部分だけで約26mあります。

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トンネルの上部にある小塚山公園への影響が出ないよう、パイプルーフと呼ばれる筒を通してから、その下に函体が押し込まれます。

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小塚山公園の下部には、片側2車線の車専用道のトンネルと、壁を隔てて左右それぞれに片側2車線の国道298号のトンネルができる予定です。

合計8車線の一部である国道298号の外回り2車線を通すため、工事の間、公園にある樹木の一部を近隣の敷地へ移植して、工事が終わり次第、元に戻す作業が行われます。

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小塚山公園・緑地の樹木の仮移植地をところどころに見ることができます。

「道免き谷津遺跡(どうめきやついせき)」へと移動します。外環道の予定地には地下に埋もれている文化財があることもあり、発掘調査をすることも大切な業務となっています。

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縄文時代晩期の木組み遺構や土器、石器などの遺物が見つかりました。また、古墳時代前半の木製の鍬なども見つかったとのことです。現在、写真の箇所では発掘調査は終了しています。

「国分地区掘割部試験工事」へと移動します。

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道路の本格的な工事に先立ち、施工方法を確認するとともに、いろいろな試験や計測から得られた知識や経験を今後の設計や施工に反映させて、安全かつ品質の高い工事を実現するための試験工事が行われています。

外環道の高速道路を建設するため、構造物を地上で構築して地下に埋める「ケーソン工法」と、地盤を所定の深さまで掘削して地下で構造物を構築する「開削工法」の、2つの試験工事が行われていました。
「掘割スリット」と呼ばれる、開口部で地上との換気を行う半地下構造を上から見ます。

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ここにて「外環道 千葉県区間 現場見学会」は終了となります。

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外環道の千葉県区間が開通することにより、「混雑緩和」「環境改善」「安全性向上」「物流支援」など、様々なメリットが生まれます。

取材を応じてくださいました、国土交通省首都国道事務所の関口様に心よりお礼申し上げます。

参考:3環状(圏央道・外環・中央環状)「東京を変える道路・首都圏を変える道路」