首都高講座 37限目:品川線の建設状況を学ぼう!

 中央環状線

首都高講座は、首都高速道路における工事の現場や施設、車両などを見学できるイベントです。
2012年5月29日、37限目の「品川線の建設状況を学ぼう!」が行われました。

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「首都高講座 37限目:品川線の建設状況を学ぼう!」では、中央環状品川線の建設現場でトンネル建設について学びます。

中央環状品川線の大井現場事務所へ集合、14時より開始となります。抽選に応募して当選した18歳以上の約20名が参加しました。

参加者には、資料・ヘルメット・軍手・防塵マスク・レシーバーが用意されています。工事における概要の説明を受けます。

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中央環状品川線は、すでに供用されている中央環状新宿線と湾岸線とを結ぶ、中央環状線の南側部分にあたる首都高速道路です。現在、3号渋谷線と中央環状新宿線は大橋JCTで結ばれていて、ここに中央環状品川線を接続することで、中央環状線が完成します。

中央環状品川線の延長は約9.4kmで、うち約8.4kmは山手通りもしくは目黒川の地下を通るトンネル、約0.6kmは高架、約0.4kmは擁壁となります。大井JCT(おおいジャンクション)と大橋JCT(おおはしジャンクション)の間には五反田出入口があり、大橋JCT方面への入口と大井JCT方面への出口が設置されます。1号羽田線と2号目黒線には接続しません。

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中央環状品川線の施工は、内回りとなる大井行のトンネルを東京都が受け持ち、外回りとなる大橋行のトンネルと五反田出入口を首都高速道路が受け持っています。

トンネルを掘るために使われるシールド機は、円筒形の掘削機です。先端のカッターディスクで前面の土砂を掘削しながら、組み上がったセグメントを足がかりにしてジャッキの力で前進、同時に、トンネルの壁面となるセグメントというをリング状に組み立てながら進みます。
内回りと外回りの2つのトンネルは、シールド機により大井北たて坑から大橋JCTへ向けてほぼ同時に掘削が始まり、2012年3月22日に掘進が完了しました。

専用の歩道橋を渡り、シールド機の発進基地である大井北たて坑へと移動します。

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中央環状線のような世界規模のトンネルは、いくつかの会社がJV(共同企業体)を構成して、工事を請け負います。
中央環状品川線は、東京都の発注した大井行のトンネルを大成建設JVが、首都高速道路の発注した大橋行のトンネルを鹿島JVが、それぞれ工事を請け負っています。

エレベーターで地下約40mへと移動します。

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掘削が完了した品川シールドトンネルの端が見えてきました。

大橋行のトンネルが広がっています。トンネルは外径12.3m、内径11.5m。約8km先では、大橋JCTに接続するための工事が進められています。

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反対側には、エレベーターで降りてきた大井北たて坑があります。約1km先は擁壁および高架となり、大井JCTに接続するための工事が進められています。

大井北たて坑を見上げます。

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一般の大型車両も積載可能な、55トン大型資材リフトが設置されています。シールド機が稼働していたときは、1回につき4ピースのセグメントを搬入していました。

用意されているマイクロバスに乗って、完成した際の車の流れと同じ方向に、大橋行きのトンネルを大橋JCT方面へと向かいます。

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トンネルは、制限速度が時速8kmに定められています。

わずかに走ったところで一度、マイクロバスを降ります。

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「横連絡坑(よこれんらくこう)」が設置されています。隣接するシールドトンネルを行き来するための通路で、道路が開通すると非常時の避難口になります。

横連絡坑を通って、大橋行のトンネルから大井行のトンネルへと移動しました。

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大井行のトンネルの、大橋JCT方面となります。

大井行のトンネルの、大井JCT方面となります。

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「Uターン路」が設置されています。作業車が隣接のシールドトンネルを使ってUターンするための通路です。

横連絡坑施工方法のパネルが用意されています。

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通常はRCセグメントが使われ、横連絡坑が設置される箇所では鋼製セグメントが使用されています。

横連絡坑施工範囲図のパネルが用意されています。

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横連絡坑は26箇所、Uターン路は6箇所、つくられる予定になっています。

横連絡坑を戻り、再びマイクロバスに乗って、大橋行のトンネルで大橋JCT方面へと移動します。途中の五反田出入口のトンネル切開き部では、フルサンドイッチ型合成セグメントが使われています。

大橋JCTから約700m手前までは床版を設置する作業が行われているため、マイクロバスを降りて、徒歩で大橋JCT方面へ向かいます。

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壁には、大井北たて坑からの距離と、使われているセグメントのリングの数が示されています。

設置されている通路を徒歩で進みます。途中から床版がなくなります。通路の反対側には、掘削された土砂を運んだ連続ベルコンの跡が残っています。

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振り返ると、床版を設置する工事の状態がわかります。床版ができると、舗装が行われて、道路となります。

シールド機が稼働していたとき、セグメントを搬送するために使用されていたタイヤ式自走のセグメント搬送台車が停まっています。もう使われることはありません。

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シールド機やセグメント供給装置をサポートしていたNo.5後続台車が見えてきました。

被いがあり、先は階段を下りて進みます。

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シールド機の先端部へ向かって歩きます。

No.1後続台車が見えてきました。

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セグメントをシールド機へ送るためのセグメント供給装置が見えてきました。

シールド機の先端部に着きました。シールド機は外径12.55m、長さ14.22m、重さ2,000トン。4階建てのビルの高さがあります。1ヶ月で約400m掘り進みました。

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バキューム装置でセグメントを持ち上げるバキューム式のエレクターも見ることができます。今後は、大橋JCTと接続する工事が続けられます。

2012年4月1日現在、シールド掘削は8,008m、4,674リングで完了しています。床板工事は7,648mのうち9,571mが終わり、進捗率は72.8%となっています。
ここにて「首都高講座 37限目:品川線の建設状況を学ぼう!」は終了となります。

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中央環状品川線の開通により、新宿と羽田空港との所要時間が約40分から約20分に短縮されます。渋滞緩和、経済力強化、防災力強化、環境改善など、さまざまな効果が見込まれています。

公式:首都高速道路株式会社 | 首都高講座
公式:東京SMOOTH(トーキョースムース)