ホタル観賞と夜間工事見学 “やんばホタルツアー”

群馬県長野原町で整備が進む八ツ場ダムでは、観光を目的として様々な見学会が行われています。
2017年(平成29年)7月8日、見学会のひとつ「ホタル観賞と夜間工事見学 “やんばホタルツアー”」に参加しました。

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国土交通省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所では、インフラツーリズムの一環として、八ッ場(やんばダム)ダム観光プロジェクト「やんばツアーズ」を実施しています。ツアーは目的別に、個人向け5本、団体向け5本の合計10本の特別プログラムが用意されています。

個人向けプログラムのうちのひとつ、ホタル観賞と夜間工事見学 ”やんばホタルツアー”は、初夏に舞うホタルの光と八ツ場ダムの工事現場の光をそれぞれ楽しむプログラムです。今年は7月3日〜8日の6日間、先着順で各日約20名が参加しました。

八ツ場ダムは、首都圏で唯一の建設中のダムで、2019年度(平成31年度)に完成予定です。利根川の支流である吾妻川(あがつまがわ)の中流部に造られている利根川水系ダムとなります。形式は「重力式コンクリートダム」です。

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4つの目的がある多目的ダムとなります。
・洪水調節を行う
・用水を確保する
・名勝吾妻峡の水量を保つ
・発電する

19時30分、道の駅「八ッ場ふるさと館」に集合します。女性の案内役やんばコンシェルジュからツアーの説明を受けます。

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徒歩でホタルが生息する沢へ向かいます。ホタルは人工的な光を嫌うため、ガイドとなる灯の後ろについて、暗闇の小山を登ります。ホタルが生息する地域を保護するため、周囲には電流柵が設置されています。

沢にいるのはゲンジボタルです。
ゲンジボタルはコケや石に卵を500個ほど産み、幼虫になると水の中で巻貝の一種であるカワニナを餌にして育ちます。成虫になると餌は水だけとなり、1週間ほどで寿命をまっとうします。

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ホタルが光るのは、交尾をするためや、外敵に対して威嚇や警戒するためと言われています。
しばらくの間、ホタルが奏でる幻想的な光景に心を奪われました。

バスで、八ツ場ダムの工事現場へ移動します。
コンクリートや機械を運ぶケーブルクレーンの一部となる鉄骨がそびえ立っています。工事は24時間体制で行われています。

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ダムを一望できる展望台へ登ります。

ダムの右岸から左岸を望みます。

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八ツ場ダムの諸元は以下の通りです。
堤高:116.0m
堤頂長:290.8m
ダム天端標高:標高586.0m
堤体積:約100万㎥
総貯水量:1億750万㎥

工事は、仮排水トンネル→掘削→コンクリート打設→湛水試験と進みます。
まず、吾妻川を迂回させる390mの仮排水トンネルが造られました。続いて、2015年(平成27年)から地面の土砂を取り除いて岩盤を出す掘削工事が行われ、現在はコンクリート打設が進んでいます。

赤と白のクレーンは、日本に十数台しかない750tクローラクレーンです。
黄色いケーブルクレーンは、高さ135mの位置を約300m動いて、重量18tまでのコンクリートや機械を運ぶことができます。

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上部に、コンクリートの製造工場があります。
コンクリートは、骨材と呼ばれる砂と石にセメントと水を混ぜあわせ、つくります。コンクリートの品質を確保するため、ダムの工事現場にコンクリートの製造工場が整備されています。

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バケットと呼ばれる黄色い容器には練り上げられたコンクリートが入れられ、打設する箇所へ運ばれます。

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ダムコンクリートを高速で施工できる「巡航RCD工法」で、コンクリート打設が行われています。RCDは、Roller Compacted Dam-Concreteの略称です。セメントの量を少なくした超硬練りのコンクリートをブルドーザーで敷均して、振動ローラで締め固めることでコンクリートを打設します。

八ッ場ダムでは、場所によって外部コンクリートと内部コンクリートが使用されています。
外部コンクリートは、上下流面と堤頂部に使用されるコンクリートで、耐久や水密が求められます。内部コンクリートは、コンクリートダムの堤体内部を構成するコンクリートで、強度と重量が求められます。

従来のRCD工法は、打設速度の遅い外部コンクリートを打設してから内部コンクリートを打設します。施工機械の能力が最大限に活用されていませんでした。
巡航RCD工法は、打設速度の速い内部コンクリートを打設してから外部コンクリートを打設します。施工機械の能力を充分に活用して、打設速度を向上させることができるようになりました。「巡航」は、最適な速度でずっと走るという意味です。

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見た目はコンクリート工事ではなく、盛土工事を行っているように見えます。

リムグラウトトンネルと呼ばれる約300mのトンネルがあります。

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セメントと水とを練り混ぜてできたセメントミルクを岩盤のすき間に入れて、重いダムを造っても岩盤が崩れないように補強したり、ダムに水を貯めてもすき間から水が漏れないようにする、グラウチングという工事を行うためのものです。

七夕の季節で、笹の葉と短冊が用意されていました。

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八ッ場ダムの工事についての無事の願いが多く書かれています。

バスで八ッ場ふるさと館へ戻る途中、大柏木(おおかしわぎ)トンネルの抗口を見ます。
トンネルの延長は約3kmです。トンネルの先には、原石山から切り出した岩石をコンクリートの材料として適した石にするための骨材プラントヤードがあり、敷設されたベルトコンベアで骨材が運ばれます。

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騒音を出さないよう、夜間は停止しています。ダムの完成後は県道として供用される予定です。

八ッ場ふるさと館へ戻り、八ッ場ダムカードが配布されました。「ホタル観賞と夜間工事見学 “やんばホタルツアー”」はここまでとなります。

八ッ場ダムカードは、工事の進捗に合わせて以下のようにデザインが変更されます。
1.掘削開始【配布済】
2.コンクリート打設開始【配布済】
3.RCDコンクリート打設開始 ←今回配布
4.常用洪水吐据付
5.コンクリート打設高5割突破
6.コンクリート打設完了
7.試験湛水開始
8.完成

変わりゆくダムの姿とダムカードを、季節の変化とともに追うのもよいかもしれません。

参考:八ッ場ダム工事事務所 _ 国土交通省 関東地方整備局
参考:八ッ場ダムファン倶楽部