首都高速道路 中央環状新宿線東中野換気所 道の日イベント2007現場見学会

 中央環状線

 中央環状新宿線は3号渋谷線と接続する大橋JCT、4号新宿線と接続する西新宿JCT、5号池袋線と接続する熊野町JCTをトンネルで結ぶ延長約11kmの首都高速道路で、山手通りの地下を通ることから山手トンネルとも呼ばれています。工事が進む中央環状新宿線の東中野換気所で、8月10日の「道の日」に合わせて建設現場見学が開催されました。

 中央環状線は、都心から放射線に広がる高速道路を環状線で結ぶ「3環状」のうち、一番内側を走る高速道路です。4号新宿線の西新宿JCTと5号池袋線の熊野町JCTを結ぶ約6.7kmが2007年12月に開通、3号渋谷線の大橋JCTと4号新宿線の西新宿JCTを結ぶ約4.3kmが2009年度に開通します。2014年度までに3号渋谷線と湾岸線をつなぐ中央環状品川線の9.4kmを建設し、供用している中央環状線と今回完成した中央環状新宿線、中央環状品川線がつながることで、全長約47kmの中央環状線は完成します。

 トンネル内部の空気をきれいにする施設が換気所で、中央環状新宿線では9か所に換気所を設置します。東中野駅に程近い東中野換気所の工事ヤードに集合した参加者は時間毎に数人のグループに分かれて、最初に中央環状新宿線の本線トンネルへ移動します。

 トンネルは地上から掘削する「開削工法」と、シールド機を使用して横へ掘り進む「シールド工法」の2種類の方法で造られています。シールド工法は工事の騒音や振動、街路交通の影響が少ないことが特徴です。

photo地上から掘削して構築した開削トンネル。壁面が四角い

photoシールド工法で造られたシールドトンネル。壁面は円形

 トンネルを掘削するシールド機が発進・到達した立坑です。シールド機は外廻りトンネルを中野坂上駅方面へ約521m掘削した後、回転立坑で折り返し、内廻りトンネルを約520m掘削して到達しました。完成すると車道は片側2車線になります。

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 トンネルを掘削したシールド機の路線図およびシールド機の後方設備図です。

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 外廻りトンネルと内廻りトンネルの間には連結路を設置しています。

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 山手トンネルの中でも東中野周辺の地下は、さまざまなインフラや地下鉄が交差する複雑な箇所です。この場所の真下には都営地下鉄大江戸線が通っています。

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 トンネル内での事故や火災などの発生に備えて設置しているトンネルの防災設備を見ます。道路の側面には、自動火災検知が備わっています。

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 非常電話は100mおきに設置され、車が向かってくる方向を見ながら管制室の係員と連絡を取ることができます。

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 消火器・泡消火栓は約50mおきに設置されています。力のない人でも比較的簡単に消火栓を取り出し、消火をすることができます。

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 東中野換気所へ移動します。

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 換気所は、道路の上階に設置しています。

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 換気所は車から排出される排気ガスをトンネルの外へ出す役割のほか、万が一発生した火災の煙を排出するためにも使用します。

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 地上に設置された給気口から入った空気は、道路の下の送空ダクトを通り、道路へと送られます。排気ガスを含んだ空気は道路の上から排気され、道路の下の送空ダクトを通り、換気所へ集められます。

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 集めた排気ガスは換気ファン(排気)を経由して浮遊粒子状物質(SPM)除去装置・低濃度脱硝装置で有害な物質を除去し、消音装置で換気ファンから出る巨大な音を低減した後、地上の約45mの換気塔から100m上空へ放出されます。

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 排気ガスを含んだ空気を吸引する巨大な換気ファン(排気)です。

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 プロペラを通り、SPM除去装置・低濃度脱硝装置へ送られます。

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 SPM除去装置・低濃度脱硝装置は1日平均値で浮遊粒子状物質(SPM)を80%以上、二酸化窒素(NO2)は90%以上を除去します。

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 換気ファンから出る巨大な音を消音装置室で低減します。

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 吸音材のグラスウールを充填した筒状の消音装置が壁一面に積み上げられています。騒音の混じった空気は消音装置の内側を通り抜けることで、モーター音や風切音といった騒音が吸収されます。

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 外の空気をトンネル内へ送る換気ファン(送気)です。

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 地上部では、工事で使用するさまざまな珍しい重機を目にすることができました。

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 換気塔から出る空気は地上で拡散され、周辺への影響は極めて小さく抑えられます。中央環状新宿線が完成すると、山手通りを通って約30分かかっている新宿─池袋が最短で約10分となるとのことです。。

公式:首都高ドライバーズサイト