勝島ポンプ所流入管渠は、雨水を勝島ポンプ所へ送るための東京都下水道局のトンネル。品川区を流れる立会川の浸水対策と、勝島運河の水質改善のために建設されています。
東京都下水道局が主催する「下水道施設見学ツアー」の一部として、整備が進む勝島ポンプ所流入管渠を見学しました。
普段、目に触れる機会の少ない下水道施設や下水道工事の現場を見学ために、東京都下水道局が初めて開催したバスでの下水道施設見学ツアー。100名の定員に対して7倍の応募がありました。
下水道は、下水道管・ポンプ所・水再生センターの、3つの重要な施設で成り立っています。そのうちのひとつである下ンプ所を見学するため、4班に分かれたうちの1班は、「三河島水再生センター」「勝島ポンプ所 工事」「勝島ポンプ所流入管渠(りゅうにゅうかんきょ)」とまわります。
勝島ポンプ所から車で5分ほどの距離で、勝島ポンプ所流入管渠の整備が行われています。事務棟にて、流入管渠のしくみと役割、工事の特色を聞きます。
品川区を流れる立会川流域では浸水被害が多く、勝島運河は水質悪化が懸念されています。勝島ポンプ所まで大きなトンネルを造り、雨水を流すことで、浸水対策と水質改善が行われます。
トンネルは、縦方向に発進たて坑を掘り、たて坑の中で組み立てた巨大な円筒状の「シールド機」を使い、1日に約6mの速度で横方向に掘り進めていきます。泥水を送り込んで掘る泥水式シールド工法で、以前使われた部品の一部を転用することでコストダウンが図られています。
配布資料より引用
発進たて坑から到達たて坑までのトンネル延長は980m。途中には、地下に延びる首都高速1号線の柱を避けるためのR(円の半径)=30mとなる急なSカーブがあり、円筒状のシールド機は中央で折れ曲がることができるタイプとなっています。
発進たて坑には、4本のトンネルが接続されます。今回、見学するのは「第二立会川幹線+浜川幹線」となります。
配布資料より引用
シールド機で掘られたトンネルは上下に区切られ、大きい体積の下半分が自然の力で流れる第二立会川幹線、小さい体積の上半分は圧力で流れる浜川幹線として利用されます。
事務棟には、掘削管理をするためのシステムがあります。
シールド機や設備はひとつのシステムに統合され、遠隔操作により掘削することができます。
発進たて坑を上から見ます。
工場でつくられたシールド機は分解された後、発進たて坑の中で再び組み立てられて、発進しました。
階段とエレベーターを使い、発進たて坑の中へと移動します。
発進たて坑は内径21.3m、掘削深さ40mとなっています。
西側の壁には、2つのトンネルがあります。下が施工済みとなる内径3.75mの「第二立会川幹線」、上は計画となっている内径2.80mの「浜川幹線」です。
第二立会川幹線は路線延長が3,200mあり、横須賀線の西大井町駅周辺まで延びています。
計画となっている内径5.00mの「立会川幹線雨水放流管」も確認することができます。
工事が進められている内径8.50mの「第二立会川幹線+浜川幹線」の入口です。掘削が進むトンネルの先端へ空気を送るための巨大なダクトがあります。
第二立会川幹線+浜川幹線は路線延長980mとなり、シールド機によって、勝島ポンプ所まで延びることになります。すでに9割を掘ったとのことです。
シールド機は、穴を掘りながら、セグメントと呼ばれるパーツを組み合わせて円筒状の壁を築いていきます。8つのパーツをくむことで、ひとつの円筒にすることができます。
トンネルの壁は、鉄筋コンクリート製(RC)のセグメントと、鋼鉄製(ST)のセグメントの2種類を使ってつくられます。
先は、R=30mの急カーブとなっています。車では走りながら曲がることができないカーブで、水のトンネルならではのカーブといえます。地上へ戻ります。
「水道施設見学ツアー 勝島ポンプ所流入管渠 工事」はここまでとなります。
勝島ポンプ所流入管渠が完成すると、立会川流域の浸水対策と、勝島運河の水質改善勝島運河の水質改善が望まれます。
浸水対策や水質改善となる下水道管が、今後も整備されていくことを願います。
公式:東京都下水道局