東京外かく環状道路 大泉JCT(Aランプ第二橋)橋梁架設(2018年7月)

外環道(東京外環自動車道)

東京外かく環状道路は、都心部から半径約15kmの位置に、環状として整備が進む延長約85kmの道路です。2018年7月3日から4日にかけての夜間、大泉JCTで東京外かく環状道路 大泉JCT(Aランプ第二橋)橋梁架設が行われました。

一般道路の国道298号と高速道路を合わせて「東京外かく環状道路」、高速道路の路線を「C3東京外環自動車道(外環道)」と呼びます。外環道は現在、大泉JCT─中央JCT(仮称)─東名JCT(仮称)を結ぶ約16.2kmの整備が進んでいます。完成すると、E1東名高速道路(東名高速)、E20中央自動車道(中央道)、E17関越自動車道(関越道)がつながります。

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東名高速から関越道まで、現在は環状八号線を利用して約60分かかっていますが、外環道を利用すると約12分で移動できるようになります。
2020年東京五輪・パラリンピックまでの開通を困難とし、開通時期は現在のところ未定になっています。外環道予定地全体における用地取得が2018年2月現在で約9割と厳しく、また、高度な技術を必要とするトンネル工事の調整に時間がかかっているためです。

大泉JCTでは、外環道と関越道を結ぶランプ橋を架設しています。目白通り(都道24号)の上空に橋梁を架設するため、3日21時から翌朝5時頃までの約8時間、大泉ICと目白通りの通行止めを実施しました。

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架設に影響がない関越道の練馬ICや関越道と外環道のランプは通行できます。

今回架設する橋桁は、関越道の新潟方面から外環道の東名JCT(仮称)方面へ流入する際に通行する大泉ジャンクションAランプ第二橋(仮称)です。

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資料:東京外環プロジェクト

橋桁は送出し工法で架設します。動力を持つ台車に、橋桁を載せて移動する工法です。移動速度が速い台車での送り出しは、今回のような作業時間に制約のある架設で多く採用されています。
建設現場の作業エリアで事前に組み立てた橋桁を、送出し装置となる台車を用いて目白通り上空を通過し、中間橋脚まで移動します。

外環道の東京区間で将来使う橋としては、初めての架設です。今回の架設工事は、12回に分けて架設する計画の1回目となります。

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資料:東京外環プロジェクト

Aランプ第二橋の最大支間は約116mですが、事業用地が狭く一度に組み立てることができません。そのため、まずは約1年間かけて地組みした約88mの橋桁を一度、送り出します。次に、背面に施工ヤードを空け用地を確保したうえで、残りの橋桁を継ぎ足して、今年の秋を目処に再び送り出します。

橋桁は大阪で製作し、分割して移送した後、大泉ICの南側施工ヤード内で地組みしました。

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資料:東京外環プロジェクト

レールに該当する濃い緑色の軌条桁が敷かれ、その上に緑色の手延機と、台車に載っている上面灰色の橋(床版)を確認できます。橋桁とほぼ同じ長さに見える手延機は、中間橋脚に到達させて重量の安定を保つ役割を持ち、本来の位置に橋桁を移動した後、解体します。手延機の重量は約95t、橋桁の重量は約495tです。

目白通りが通行止になった21時30分頃、送り出し架設が始まりました。この日は事業者約30名、作業者約90名で作業を進めます。

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軌条桁の上には、橋桁を載せた黄色の送出し装置となる台車が設置されています。
動力を持つ自走台車が先頭に4台、引っ張られて動く従走台車が4台、合計で8台で橋桁を送り出します。自走台車の動力は電気モーターで、定格荷重は240t/台、定格速度は2.5m/分です。

左右の台車の荷重バランスを確認しています。(21時44分撮影)

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送出し装置は、目にわかる速さでゆっくりと橋桁を移動していきます。ベントと呼ばれる鋼製支柱との位置を比べることで、送出し装置の移動がわかります。(21時50分撮影)

送り出しは、都度バランスが取れているかを確認するため、約15mずつ5回に分けて進めます。

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橋桁自体がカーブを描いていて、バランスを崩してしまうと立て直すのに時間がかかってしまうためです。また、移動だけでなく、高さの調整もあります。

軌条桁の端まで橋桁が送り出されてきました。(22時54分撮影)

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中央より右側が、本体となる薄い緑色の橋桁です。中央部分にある灰色の連結構と左側へ伸びる緑色の手延機は、架設が完了した後に撤去します。(22時56分撮影)

南側施工ヤードの外では、目白通りの上空に手延機が伸びています。

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手延機と目白通りの路面までの桁下空間は約8mです。

手延機の先端が、中間橋脚まで到達します。

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中間橋脚は仮に設置したもので、架設がすべて完了した後に撤去します。

架設前の目白通りです。

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架設後の目白通りです。南側施工ヤードから伸びる手延機と橋桁の一部を見ることができます。


動画(29秒)

微調整などを経て、通行止の時間内にこの日の橋梁架設は完了しました。

東日本高速道路 東京外環工事事務所の中村雅範工事長は「交通量が多い路線の通行止してご迷惑をおかけしているが、安全と工程の管理を徹底して工事に取り組んでいる」と話しました。

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資料:東京外環プロジェクト

秋に予定されている送り出しでは、さらに約100m進む予定です。

続きとなる送り出しは、東京外かく環状道路 大泉JCT(Aランプ第二橋)橋梁架設(2018年11月)で架けられました。

■工事の概要
工事名:東京外かく環状道路 大泉ジャンクションCランプ第一橋(鋼上部工)工事
工事費:約27億4500万円(税込)
発注者:東日本高速道路株式会社 関東支社
受注者:株式会社横河ブリッジ

公式:東京外環プロジェクト