大型クローラークレーンに発光体をつり下げ、点灯制御で光の軌跡を空中に描き出すアート演出が2025年5月25日、東京都町田市の玉川学園で報道関係者に公開されました。
今回のイベント、クローラークレーン・イルミネーション「浮遊離脱する光跡」は、学校法人玉川学園と西松建設株式会社が連携して企画したもので、2013年以来2回目の実施となります。玉川学園キャンパスの中心部に建設中の新たな複合スポーツ施設「Sports Center SANITAS(サニタス)」の建設現場を活用し、未来的な光景を創出しました。
発光体をクレーンでつり上げて移動させながら点灯を制御することで、空中に有機的かつ立体的な光跡が生まれます。長時間露光撮影を行うことで、視覚的インパクトのあるアート作品を表現できます。
演出開始前には、プロジェクトの中心人物である玉川大学 学術研究所の田中敬ー特別研究員がイルミネーションで使用する発光体について説明しました。
イルミネーションについて説明する田中敬ー特別研究員
発光体は、高さ3m、幅5m、総重量約200kg。ウオールウォッシャーと呼ぶ発光ダイオード(LED)灯体33本とデータストロボ9個を備え、UFO(未確認飛行物体)のような形状をしています。これはミツバチの巣を模した「ハニカム構造」をモチーフとし、スチール角パイプを溶接して構築しました。
演出は地上に設置されたコントローラー(演出制御コンソール)によって制御しています。アルゴリズム切り替えスイッチやパラメーター調整用のボリュームを用いることで、LED灯体の点灯パターンや色彩をリアルタイムで変更できます。
建設現場に設置したクローラークレーンにより発光体が上空につり下げられ、無線でクレーンのオペレーターと連携しながら、リアルタイムの演出プログラムで光の軌跡を描きます。
クローラークレーンに吊り下げた発光体
キャンパス内の複数の場所を移動しながら撮影が行われました。
教員や写真部の学生たちも撮影に参加し、後日コンクールが開催される予定です。
田中氏は「クレーンイルミはひとときの作品だが、新しい施設の歴史に残るものとなる。建設業の魅力や、未来へ向かう技術とアートの融合、そして『働くこと』の喜びを、光という普遍的な表現手段を通して伝えることができた」と語りました。
今回のプロジェクトは、学校法人玉川学園と西松建設株式会社との包括的連携協定に基づき、西松建設からの依頼に応えるかたちで、玉川大学・玉川学園が知識と場所を提供することで実現しました。田中氏は、レーザーアーティスト、光・環境造形作家として、数々の新しい光演出をプロデュースしています。