新設楽大橋(しんしたらおおはし)は、愛知県北設楽郡設楽町で進む設楽ダム建設事業に伴い、水没する国道257号の代替道路の一部として整備が進められている橋梁です。2026年2月11日、橋梁の連結を記念した一般開放イベントが開催されました。
設楽ダムは、愛知県の東三河地方を流れる豊川の洪水氾濫や渇水被害から地域の暮らしを守るとともに、流域の発展に寄与することを目的とした多目的ダムです。豊川の河口から約70km上流に建設が進められている総貯水量9,800万m³の重力式コンクリートダムで、洪水調節や流水の正常な機能の維持、利水機能の確保などを担います。事業は国土交通省中部地方整備局が進めています。
設楽ダムの位置 出所:国土交通省中部地方整備局
ダム建設により、周辺の道路や集落が湛水域に含まれることから、国道257号のほか複数の道路が水没する予定です。水没しない高所へ新たな道路を整備する付替工事が進められていて、新たにトンネル7か所、橋梁37か所の整備が進められています。新設楽大橋もその一つに位置付けられます。
設楽ダム付替道路位置図、水色範囲は水没区域 出所:中部地方整備局の資料に安部日鋼工業が加筆
新設楽大橋の構造形式はPC3径間連続ラーメン箱桁橋です。プレストレストコンクリート製で、橋台2基と橋脚2基の間を連続する3径間構造を採用し、橋脚と主桁が一体化した箱型断面を特徴とします。橋長は357.0m、橋脚高さはP1橋脚が約61m、P2橋脚が約47m、支間長は92.8m+169.0m+92.8mです。
地上から見た新設楽大橋
本橋は、カンチレバー工法(張り出し架設工法)により施工されました。カンチレバーとは「片持ち梁」を意味し、その施工状況は玩具のやじろべえにも例えられます。橋脚柱頭部の上にワーゲン(移動作業車)を設置し、左右のバランスを取りながら、3〜5mずつ張り出すように橋桁を構築しました。
カンチレバー工法のイメージ 出所:安部日鋼工業
このたび、左右に張り出した橋桁が中央部で連結したことを受け、記念イベントが開催されました。主催は施工を担当した安部日鋼工業(岐阜市)です。イベントは一般参加が可能で、来場者は橋脚下の駐車場に車を停め、マイクロバスに乗り換えて橋上へ移動します。
新設楽大橋の橋脚
橋の上へ移動しました。設楽町の飲食ブースなどが用意されています。
新設楽大橋の橋上
その他、工事に関するパネルや、手作りのゲームコーナーが並びます。
橋の上に並ぶ工事に関するパネルやゲームのコーナー
新設楽大橋で使用される予定の銘板は、地元の小学生が揮毫しました。
新設楽大橋で使用される銘板
新設楽大橋の西側下方には、境川に架かる国道257号の設楽大橋を確認できます。1973年に竣工したこの橋は、地元で「赤い橋」として親しまれてきましたが、現在は塗替工事が進められ、乳白色へと更新されます。朱色は新設楽大橋の高欄に引き継がれ、付替道路の供用後には設楽大橋の解体撤去が検討されています。現在の設楽大橋の位置は、将来ダム湖の湖面下となる計画です。
乳白色に塗装中の設楽大橋
先方には、ダムサイトに近い新松戸橋を望むことができます。新設楽大橋と同じPC3径間連続ラーメン箱桁橋で、カンチレバー工法により施工が進められています。
ダムサイトに近い新松戸橋
新設楽大橋の東側下方では、掘削した土砂を運搬し、盛土が進められています。盛土の上には川向公園、県道小松田口線が整備される予定です。
盛土が進む新設楽大橋の東側下方
10時のオープニングでイベントが開始となります。来賓として、国土交通省中部地方整備局 設楽ダム工事事務所 舘井恵所長と設楽町 土屋浩町長が挨拶。主催者として、安部日鋼工業の松井幸成現場代理人は「今回のイベントは、町の皆さんへの感謝の気持ちを込めて開催した。今後も一般の方々に建設業へ関心を持ってもらえればうれしい」と語りました。
橋上でのイベントのオープニング
愛知県を拠点に活動する和太鼓 夏椿による演奏とともに「打設バケツリレー」が始まりました。橋が連結する最後の打設を、参加者によるバケツリレーで完了させます。
生コンクリートをバケツで受け取る参加者
ミキサー車から出される生コンクリートをバケツリレーで送り、工事の際に橋の内部への出入りで使われた開口部に打設します。
老若男女の打設バケツリレー
橋の開口部に生コンクリートを流し込む子供たち
内部の空気を抜いて密実性を高めるため、打設した生コンクリートに振動を与えて、締め固めが行われました。最後は、ヘラでコテ仕上げします。
生コンクリートの締め固め
ヘラによるコテ仕上げ
参加者は続けて、東海地方を中心に活動するプロミュージシャンによる「ダムJazzライブ」の演奏を楽しみ、午後には安部日鋼工業の技術者と参加者による「大綱引き大会」が始まりました。
双方白熱する大綱引き大会
技術者と参加者の「ふれあいゲーム」が催され、ドローン撮影での「大集合写真」でイベントは幕を下ろしました。
イベントに参加した小学生からは「液体になっているコンクリートを初めて見た。(運ぶのは)重かったが、楽しかった」との声が聞かれました。また、近隣に住む年配の住民は「長く見慣れてきた光景が変わるのは寂しいけれど、将来につながることなので納得している」と話しました。
新設楽大橋を含む、国道257号付替え道路の供用時期は未定となっています。
■工事の概要
工事名:令和4年度 設楽ダム国道257号4号橋PC上部工事
工期:2023年2月20日~2026年3月31日
発注者:国土交通省 中部地方整備局
受注者:株式会社 安部日鋼工業


