JR東海は2026年2月27日、建設が進むリニア中央新幹線「神奈川県駅(仮称)」の工事現場を報道関係者に公開しました。地下約30mの駅底部では、第二首都圏トンネルを掘り進む巨大なシールド機の組立が完了しています。
神奈川県駅は、JRと京王電鉄が乗り入れる橋本駅(神奈川県相模原市)の近くで建設が進められている、リニア中央新幹線の大規模地下構造物です。駅の大部分は地上から掘削する開削工法で構築。駅西端部で国道16号と交差する区間では非開削工法を採用しています。駅の東端部には、品川方面から掘削が進められている第一首都圏トンネルが接続します。西端部から名古屋方面の相模川まで約3.6kmにわたっては、第二首都圏トンネルを構築する計画です。
神奈川県駅(仮称)の概要 出所:JR東海
地上部の桟橋から、神奈川県駅の工事現場を見渡しました。副本線やホーム、本線の位置が分かるほど工事が進み、リニアが走る駅の姿を具体的にイメージできる段階に入っています。地下函体は延長約680m、最大幅約50m、深さ約30mに及ぶ巨大な構造物で、ホーム2面と線路4線を備える計画です。中央の本線は通過線として使用し、外側の副本線に列車が停車する構造となります。
地上部から見た神奈川県駅。上り下りとも、本線と副本線を備える
開削エリアの外には、掘削で発生した土が仮置きされています。現在は巨大な地下空間が姿を見せていますが、駅構造物の完成後は埋め戻され、地上には再び地盤が整えられる予定です。
仮置きしている掘削で発生した土
名古屋方面、組まれている支保工の先の国道16号との交差部から、第二首都圏トンネルのシールド機が発進する予定です。
地上部の桟橋から見る神奈川県駅の名古屋方面
駅底面では、ホームや線路の上階に位置する地下2階部分の床の施工が進んでいます。
施工が進む地下2階部分
支保工の中を進むと、シールド機の後部が見えてきました。
支保工内部
国道16号交差部の手前では、第二首都圏トンネルを掘り進むシールド機の組立が完了しています。国道16号交差部は、たて坑を支保工(切梁・アンカー併用)で土留壁の変形を抑止しながら掘削した後、非開削工法(URT工法)で大断面トンネルを構築。トンネルの壁となるエレメントを設置した後、その内部を掘削してトンネルを完成させました。
非開削のURT工法で構築したトンネル(左)とシールド機
第二首都圏トンネルを掘り進むシールド機「ススムさん」の外径は約14m、機長約14.2m。神戸の工場で製作し、陸上で輸送できる大きさに分割して工事施工ヤードに搬入。地上で仮組みした後、750tクローラークレーンで地下へ降ろして組み立てました。
シールド機正面のカッターヘッド
シールド機前面のカッターヘッドの中央先端には、地山を削る銀色のフィッシュテールカッターと呼ばれるビット(刃)が備わっています。カッターヘッドには役割ごとに色分けされたビットが並びます。オレンジは地盤を掘削するカッタービット、緑色はカッタービットの負担を減らすために設けられた先行ビット、金色は摩耗しにくく長寿命化を目的としたスタミナビットです。さらに、振動や摩耗を検知する赤色やピンクのセンサー系ビットも取り付けられています。
シールド機の後部です。前面のカッターヘッドを回転させて地盤を削り、掘削した土を後方へ送りながら前進します。最大で1日に約20m、1カ月で約400mを掘進する予定です。
シールド機の後部
国道16号交差部の先端から、第二首都圏トンネルを掘り進み、名古屋方面の相模川へ向かって発進します。シールド機は現在の位置からこの発進位置まで、鋼球を用いた移動装置の上に載せて約60m移動させます。移動完了後は、掘進作業に必要な機器を搭載した後続台車を地下で組み立てます。これらの台車もシールド機と同様に前方へ移動させることで、掘進準備が完了する計画です。
国道16号交差部の先端
工事現場内には、これまでに催された一般公開イベントで参加者が自由なメッセージを描いた「スペーサー」が飾られていました。鉄筋コンクリートを打設する際に鉄筋を固定する部材です。
メッセージが描かれたスペーサー
JR東海 中央新幹線建設部土木工事部の吉川太郎担当部長は、第二首都圏トンネルについて「地表に近い位置を通るため、地下利用のための『区分地上権』の設定が必要になる。今後は地域住民への説明会を進めながら、掘進開始に向けた準備を進めていく。地域住民に安心してもらえるよう、丁寧に説明していきたい」と話しました。
リニア中央新幹線について、JR東海は開業時期を未定としています。
JR東海が事業を進めるリニア中央新幹線は時速約500kmで走行する超電導リニアモーターカーにより、品川ー名古屋間を最速で40分、品川駅ー大阪間を最速67分で結ぶ新幹線です。品川駅ー神奈川県駅ー(山梨リニア実験線)ー山梨県駅ー長野県駅ー岐阜県駅ー名古屋駅を結びます。(中間駅は仮称)
2025年10月、リニア中央新幹線についてJR東海は品川ー名古屋間の総工事費を7兆400億円から11兆円程度ほどになると発表しました。
■工事の概要
施工場所:相模原市緑区橋本2丁目ほか
工期:2019年6月26日〜2027年3月31日
発注者:東海旅客鉄道株式会社
受注者:中央新幹線神奈川県駅(仮称)新設工事共同企業体


