首都高講座 2限目:神奈川地区の交通管制室と保全点検

首都高(首都高速道路)

首都高講座は、首都高速道路における工事の現場や施設、車両などを見学できるイベントです。
2限目は「神奈川地区の交通管制室と保全点検」が行われました。

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「首都高講座 2限目:神奈川地区の交通管制室と保全点検」では、神奈川地区の交通管制システムと保全点検(施設管理)について学びます。

首都高速道路の神奈川管理局へ集合、14時より開始となります。抽選に応募して当選した18歳以上の8名が参加しました。

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施設やシステムの概略について説明を受けます。

首都高速道路は、西東京管理局・東東京管理局・神奈川管理局の3地区に分けて管理されています。それぞれの管理局に交通管制システムがあり、保全点検がなされています。
管理している道路は、東東京管理局は106.1km・西東京管理局は116.2km・神奈川管理局は71.2km。1日平均約28万台の通行台数がある神奈川管理局は、首都高速道路全体の24%を管理しています。

首都高速道路神奈川管理局の建物にある「交通管制室」へ移動します。カーナビやラジオよりも新しい首都高速道路の交通情報が、巨大なパネルに、リアルタイム表示されています。

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神奈川管理局が管理している道路には「K」もしくは「B」と表記されています。
延長は、高速神奈川1号横羽線(K1)が20.1km、高速神奈川2号三ツ沢線(K2)が2.3km、高速神奈川3号狩場線(K3)が10.2km、高速神奈川5号大黒線(K5)が4.6km、高速川崎縦貫線と呼ばれる高速神奈川6号川崎線(K6)が3.5km、高速湾岸線と呼ばれる神奈川線(B)が30.1km。高速川崎縦貫線と横浜環状北線は現在、工事が進行しています。

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パネルは神奈川管理局が管理している道路に特化しているため、神奈川の道路は大きく表示されています。赤色で表示されている道路は20km/h以下の「渋滞」、橙色で表示されている道路は20km/h〜40km/hの「混雑」。渋滞のピークは平日の11時頃とのことです。

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モニターには、道路を映すビデオカメラからの映像が流されています。

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5号池袋線タンクローリー火災事故の現場の状況も見ることが可能です。

2台の車に分乗して30分ほど走行、首都高速道路湾岸線の浮島ICにある多摩川トンネル第一換気所へと移動します。

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多摩川トンネルにおける成り立ちと保全点検についての概要を学びます。かつては可能だった見学のための、トンネルの概要を示す模型やパネルが充実しています。

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浮島ICに併設されている川崎浮島JCTは、首都高速道路湾岸線と東京湾アクアラインとを結びます。
首都高速道路湾岸線の浮島出入口および川崎浮島JCTから見て、東京側の羽田空港方面には多摩川の下を通る多摩川トンネルが、川崎側には川崎港の下を通る川崎航路トンネルがあります。トンネルの空気を入れ換えたり交通の管理をするため、多摩川トンネルの川崎側には多摩川トンネル第一換気所が、東京側には多摩川トンネル第二換気所が設置されています。

換気所には空気の入れ替えをする換気ファンを中心に、様々な設備があります。多摩川トンネル第一換気所の下に、首都高速道路湾岸線が通っています。

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車から排出される排気ガスをトンネルの外へ出すため、万が一に発生した火災などの煙を排出するために、換気所が必要となります。

多摩川トンネル第一換気所は非常に見晴らしがよく、川崎浮島JCTを一望することができます。

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模型を見た後、見渡します。

川崎側を望むと、川崎浮島JCTが広がります。

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中央には、首都高速道路湾岸線の西行き(本牧方面)に設置されている湾岸浮島本線料金所が見えます。東京線の料金と神奈川線の料金との区分けがなされる場所です。

川崎浮島JCTにPAを併設する計画があったものの、近くに大黒PAが存在するため、工事は見送られました。

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建設の途中で途切れている道路を見ることができます。

多摩川トンネル第一換気所から川崎浮島JCTを見て右側には、高速川崎縦貫線と呼ばれる高速神奈川6号川崎線(K6)が延びています。

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現在は殻町まで3.5kmの延長となっていて、2010年度(平成20年度)には高速神奈川1号横羽線(K1)と接続する大師JCTまでの7.9kmが開通する予定となっています。

多摩川トンネル第一換気所から川崎浮島JCTを見て左側、高速神奈川6号川崎線(K6)の延長線上には、海ほたるへと続く東京湾アクアラインがあります。

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ピラミッドのような形の建物は、東京湾アクアラインにおける換気の施設、浮島換気塔です。

東京湾アクアラインはNEXCO東日本の管理となります。

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浮島換気塔の先端越しに、円筒状の施設を見ることができます。「東京湾アクアライン・海ほたる アクアライン探検隊 プレミアムコース」で見た東京湾アクアラインの換気施設である「風の塔」(川崎人工島)です。

多摩川トンネルでの保全点検をする施設管制室へと移動します。

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多摩川トンネルを24時間態勢で監視して、事故による対応などを行います。25mを1区画として、88区画にスプリンクラーが設置されています。

首都高速道路湾岸線の多摩川トンネルにおける点検業務を見学するため、管理用通路のある地下4階へと移動します。

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扉には位置を示す紙が貼ってあります。

扉を開けると、管理用通路に出ることができます。

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壁の向こうには首都高速道路湾岸線が通っています。

事故などにおける火災が発生した場合、非常口の扉を開けて、管理用通路を通り地上へと脱出することになります。

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どちらへ逃げればよいか、一目瞭然になっています。

電話は、簡単に地上へと連絡することができるようになっています。

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水噴霧手動起動装置が設置されていました。スプリンクラーを手動で制御することもできます。

多摩川トンネルは、多摩川の河口に位置しています。河口の水底に溝を掘って、別の場所で製作された沈埋函(ちんまいかん)と呼ばれる長さ約100mにもなる巨大な箱を船が引っ張り、所定の位置で沈めながらつなげて埋めていく工法で造られました。

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多摩川トンネルで使われている沈埋函は全部で12函。浮いている沈埋函に水荷重をかけて、水より重くして沈めました。

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沈埋函と沈埋函とを接合する継手部分には、外周に取り付けられたゴムガスケットと水圧が利用されました。

トンネルに異常がないかを調べる、点検業務の実演が始まりました。
点検には「定期点検」「地震時点検」「異常時点検」があります。定期点検は徒歩により行い、道路の異常・損傷などを早期に発見し、適切な処置を判定するために行われます。構造本体については2年ないし1年に1回、継手部分については1年に1回、地盤については5年ないし2年に1回、点検します。

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沈埋函が水平に保たれているか、コンクリートのひび割れの進行具合はどのくらいなのか、ひとつずつ丁寧に点検が行われます。調べた結果はデータベースで管理されます。

コンクリートの損傷には、ひび割れ・鉄筋の露出や剥離、内部の空洞があります。基本的に、コンクリート建造物は目で見たひび割れと、叩いたときの音を聞くことで状態を判断します。目で見えない部分には、機械で叩いてヘッドホンで音を聞き判断する簡易型高所用打音検査システムが用いられます。

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空洞になってしまったコンクリートは熱しやすく冷めやすいという特性があるため、構造物表面の温度差を調べる赤外線法も使われます。

車で再び首都高速道路神奈川管理局へと移動します。ここにて「首都高講座 2限目:神奈川地区の交通管制室と保全点検」は終了となります。

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まとめとして、「今日、見学していただいた施設は普段、思い出されないほうがよいです」という挨拶がありました。首都高速道路における平成18年度の事故件数は一日平均約32.7件、故障車発生件数は一日平均約28.1件、落下物処理件数は一日平均約95.8件となっています。安全運転を心がけたいものです。