首都高講座は、建設現場や交通管制室、点検・補修現場など首都高に関する様々な取り組みを見学・体験できるイベントです。4限目は、東東京管理局と開通15周年を迎えたレインボーブリッジについて学びます。
参加者は首都高速道路の東東京管理局に集合、14時より開始します。抽選に応募して当選した高校生以上の5組9名が参加しました。見学におけるスケジュールや注意事項などの説明を受けます。
東東京管理局の建物にある交通管制室へ移動します。首都高は、東東京管理局・西東京管理局・神奈川管理局の3地区に分けて管理されています。それぞれの管理局に交通管制システムがあり、保全点検が行われます。カーナビやラジオに流れる前の交通情報が、巨大なグラフィックパネルとモニター画面にリアルタイム表示されています。
パネルには、交通の状況が色分けして表示されています。赤色で表示されている道路は20km/h以下の「渋滞」、橙色で表示されている道路は20km/h〜40km/hの「混雑」です。この時は目立った渋滞もなく、車の流れが順調でした。
開通15周年を迎えたレインボーブリッジへ移動します。
レインボーブリッジは東京ベイエリアと都心部をつなぐ橋長798mの吊橋です。上下2層構造になっていて、上層には首都高速11号台場線、下層には臨港道路と中央に新交通システム(ゆりかもめ)、遊歩道であるレインボープロムナードが通っています。1987年1月着工、1993年竣工し、着工から6年半の1993年8月26日に開通しました。2008年の今年で、開通15周年となります。
芝浦側と台場側にそれぞれアンカレイジと呼ばれる平面寸法45m×70mの橋台を設置し、主塔から張られたケーブルをアンカーフレームに固定しています。主塔と主塔にメインケーブルを張り、道路となる桁をハンガーロープで吊っています。芝浦側の主塔と台場側の主塔との間を中央径間、それぞれの主塔とアンカレイジとの間を側径間と呼びます。
芝浦側アンカレイジの内部へ移動します。一般の人が内部に入るのは今回が初めてになります。
アンカレイジは、塔より導かれたケーブルを「ストランド」と呼ばれるケーブル素線の束ごとに広げて、アンカーフレームに固定しています。束ねられた上部から固定されている下部までの長さは35mあります。
1本のケーブルに素線127本からできたストランドを中央径間で127束、側径間で130束使われています。橋の両側の2本のメインケーブルを合わせると、素線の数は中央径間で127×127×2=32,258本、側径間で127×130×2=33,020本になります。
ケーブル張力点検の実演が行われました。ケーブルの張力を測定することで、橋の状態を把握します。詳細点検項目は22あり、点検結果を総合的に分析することでレインボーブリッジが健全であるかどうかを判断します。レインボーブリッジは67m/sの強風に耐えられるよう設計されていて、これまでに記録された架設地点での台風の最大風速は40m/sでした。大きな地震にも耐えることができるようになっています。
アンカレイジの内部にはエアコンが4台設置され、温度と湿度が一定に保たれています。
塔頂部に登るため、芝浦側の主塔へ移動します。
橋の裏側を点検するため、道路の下部には3つのゴンドラが設置されています。ゴンドラの一部が伸縮することで隅々まで点検が可能になります。点検には約1ヶ月がかかります。
芝浦側の主塔に入り、海面から125mある塔頂部へ移動します。点検用のエレベーターと階段を使い、塔頂部には3分ほどかけて登ります。主塔の中に4つあるエレベーターは1ヶ月に1度、梯子を利用して点検が行われています。
写真:首都高速道路
レインボーブリッジの塔頂部に着きました。40階建ての超高層ビルとほぼ同じ高さから東京ベイエリアを一望します。塔頂部の下は首都高のため、小さな落下物が重大な事故を引き起こします。この日は風が強く、参加者による携帯電話やカメラでの撮影は禁止となりました。
写真:首都高速道路
芝浦側の主塔と台場側の主塔は570m離れて垂直に建っていますが、地球が丸いため、それぞれの塔頂部は570m11mm離れています。
反対側の都心部を一望します。
写真:首都高速道路
点検は、直径0.8mのメインケーブルの上を歩いて行われます。約1.9kmにもなる橋の両側のメインケーブルを約1週間かけて点検します。
写真:首都高速道路
レインボーブリッジは、東京の景観を代表する都市の発展に欠かせない存在として今後も維持されます。