京急大師線は、京急川崎駅と小島新田駅を結ぶ京浜急行電鉄の鉄道路線です。
川崎市と京浜急行電鉄は、京急大師線の一部地下化と踏切除却による交通渋滞の解消を目指しています。
2019年1月24日、地下化による京急大師線の新しい産業道路駅が公開されました。
京急川崎駅─小島新田駅の延長約5kmを2期区間に分け、ほぼ全線の地下化および15箇所ある踏切のうち14箇所の除却するための連続立体交差事業が計画されました。1993年6月に都市計画決定、1994年3月に都市計画事業認可を取得して、事業に着手しています。
しかし、費用に対する効果や社会経済状況の変化などで京急川崎駅─川崎大師駅の2期区間については「中止」、川崎大師駅─小島新田駅までの1期区間については「事業継続」とすることが2017年10月に決定しました。
中止となった2期区間は計画当初、約804億円の工事費が見込まれていました。事業の実現見通しやコスト削減の可能性低下、費用便益比の結果、踏切状況などから中止となりました。2期区間に残された4つの踏切に対しては、単独立体交差化や代替路確保による踏切除却など、代替案の検討が進められています。
産業道路の踏切を含む東門前駅─産業道路駅─小島新田駅の延長1.2kmを1期①区間とし、2006年より延長約980mの地下化工事を進め、2019年3月3日に地下運行を開始します。東門前駅から川崎大師駅(鈴木町駅すり付け)の延長1.2kmを1期②区間として、2019年度の工事着手を予定しています。
工事は川崎市と京急で協定を締結し、協定に基づいて京急が建設会社に発注する形態で進めています。
1期①区間の完了により、京急大師線と産業道路が交差する産業道路第1踏切を含む、3箇所の踏切を除却します。
産業道路第1踏切では慢性的な渋滞が発生していて、踏切の除却は整備効果が高いとされます。両側7車線の産業道路における踏切の最大遮断時間は1時間あたり約23分、自動車交通量は一日約2万5千台で、緊急対策踏切となっています。首都高速横羽線と大師JCTの接続工事との競合で、産業道路第1踏切の工事に遅れが生じていました。
産業道路第1踏切に隣接して、産業道路駅があります。
産業道路駅の南側に施工スペースを設け、作業が進んでいます。
新しい産業道路駅の駅舎は現在のホームのあたりに建設し、2019年度中に完成予定です。南側の施工スペースなどがあるあたりは駅前広場になり、整備は2020年になります。
施工スペースをより広く確保する必要があり、用地を買収しようとするも難航したため、産業道路第1踏切を単線化してスペースを確保しました。結果、工期短縮、工事費削減が可能になりました。
単線化した後、地下工事に着手しました。
地下化する産業道路駅のホームと地上部を結ぶ階段とエスカレーターがあります。
階段を降りて、ホームヘ移動します。
小島新田駅行となる下り線ホームです。
改札階とホーム階を昇降設備(階段、エレベーター、エスカレーター)で直通運転することで、利便性の向上を図ります。
ホーム階の天井の一部には吹抜けを確保しています。吹抜けや換気口などの開口部を多く設け、換気設備機器を削減します。様々なレイアウトを検討したことにより、必要となる床面積が縮小し、駅全体の躯体ボリュームが軽減しました。
小島新田駅方面です。
先は上り勾配となり、地上へ出た後に小島新田駅へ到着します。
京急川崎駅方面となる上り線ホームです。
ホームには、ガラス張りの電車待ちスペースを設置します。
先は上り勾配となり、地上へ出た後に東門前駅へ到着します。
東門前駅のホームは、1期①区間完了の後も地上のままですが、1期②区間の工事が完了すると地下になります。
産業道路駅と東門前駅の間に、暫定工事桁(地上へのすり付け)があります。
1期②区間の地下切替(本切替)では、1期①区間(今回の切替)で使用する暫定工事桁を撤去する必要があります。撤去後、軌道を敷設すると列車運行に大きく支障をきたすため、先行して直結軌道を敷設することで本切替時の軌道敷設を省略しています。
「京急大師線 産業道路駅 内覧会」はここまでとなります。
2019年3月2日営業運転終了後から翌3日10時頃まで、東門前駅─小島新田駅間切替工事が行われます。これにより、産業道路駅の上下線ホームが地下化されるとともに、産業道路第1踏切を含む3か所の踏切が除却され、道路交通の円滑化、踏切事故の解消が図られます。
2020年3月、産業道路駅は大師橋駅に改称します。
事業名:川崎都市計画都市高速鉄道事業
工事費:約1,426億円(1期①区間:約642億円)
事業主体:川崎市
施行者:京浜急行電鉄株式会社
各工区の施工者:東門前側から
第1工区 大成、京急、東亜
第2工区 大林、戸田、前田、三井住友
第3工区 鹿島、西松、大豊
第4工区 東急、京急、間