今が最旬! 新東名建設現場 お仕事見学ツアー

 新東名(新東名高速道路)

 子どもたちに高速道路をより身近に感じてもらうため、NEXCO中日本 東京支社では小学生とその保護者を対象にした夏休み親子見学会「ハイウェイみて!みて!ツアーズ」を毎年、夏休み期間に各地で開催しています。2025年は新東名高速道路の建設現場見学を中心に、はたらくクルマの体験乗車など計7コースを実施。そのうちのひとつ、8月4日に行われた「今が最旬! 新東名建設現場 お仕事見学ツアー」に参加しました。

 新東名(E1A新東名高速道路)は、海老名南JCT─豊田東JCT間を結ぶ延長約253kmの高速道路です。最後の未開通区間である新秦野IC─新御殿場IC、約25kmが完成すると全線開通になります。この区間には、山北スマートIC、小山PA・小山スマートICが新設されます。

photo新東名の工事区間に関する広域地図 出所:NEXCO中日本

 今回の見学は神奈川県山北町に位置する「山北スマートIC」と「河内川橋」の2か所。171名の応募の中から選ばれた42名が参加しました。まずは山北スマートICの建設現場へバスで移動します。

 現場の高台から、東京方面に広がる山北スマートICを見学しました。山北町で唯一の高速道路出入口で、東京方面のみ利用できるハーフインター形式、ETC専用となります。新東名工事で発生した土砂を盛土し、その上部にICを設置。盛土は高さ約80m、体積約320万m³で、東京ドーム約2.6杯分に相当します。

photo高台から見下ろす山北スマートIC予定地

 参加者は、40tダンプトラックなど現場で使用している重機に試乗し、その大きさに驚きの声を上げていました。

photo参加者は3種の重機に試乗

 施工には、3Dレーザースキャナやドローンを使った測量、マシンガイダンス・マシンコントロール重機による施工、点群データを活用した検査など、測量・設計から施工・検査までの全工程でICT(情報通信技術)を導入しています。これにより、人手不足や熟練工不足の解消、保全業務の効率化などが進みました。

photo機材の説明に使われたパネルとドローン

 高台の真下には、神奈川県と静岡県を結ぶ谷ヶ山トンネルの坑口も望めます。

photo谷ヶ山トンネルの坑口

 次に向かった河内川橋は、急峻な谷底に流れる河内川を渡るための、日本で唯一の「鋼・コンクリート複合バランスドアーチ橋」です。アーチリブや床版をコンクリート、補剛桁や斜吊材を鋼で構成し、軽量化と施工効率化を図っています。バランスドアーチ橋としては国内最大規模です。

photo河内川から見上げる建設中の河内川橋

 東京側から建設現場に入りました。最大支間長は220m、全長は上り線771m、下り線692mで、川面からの高さは約125mあります。

photo河内川橋の東京側から建設現場に入る参加者

 アーチを支える橋脚の下から見上げると、その規模の大きさがよくわかります。

photo河内川橋の橋脚下部

 アーチ部は両岸から少しずつ延ばす「張出し架設」で施工され、現在は閉合間近です。

photo下部から見上げる河内川橋の静岡側

photo閉合間近の河内川橋アーチ部

 急峻な地形での資材・車両搬入には、大型エレベーター「インクライン」を活用。県道から橋の上部まで、トラックに積載したまま運びます。この日はインクラインで約7分かけ、橋の下部へ移動しました。

photoインクラインは約20m×約8m、重量約90tまで積載可能

 河内川橋と山北スマートICの完成予想図です。NEXCO中日本 東京支社と山北町は2025年春、橋の名称とその由来を公募しました。正式名称は年内に決定します。

photo河内川橋(左側)と山北スマートICの完成予想図 資料:NEXCO中日本

 NEXCO中日本 秦野工事事務所の阪本麻紗子氏は「高速道路の作り方を見てもらうことで、建設という『ものづくり』を身近に感じてもらいたい」と話しました。

■工事の概要
 ・川西工事
  発注者:NEXCO中日本
  受注者:清水建設・岩田地崎建設JV
 ・河内川橋
  発注者:NEXCO中日本
  受注者:鹿島建設・大成建設JV