中央環状新宿線は、3号渋谷線と接続する大橋JCT・4号新宿線と接続する西新宿JCT・5号池袋線と接続する熊野町JCTをトンネルで結ぶ、延長約11kmの首都高速道路。山手トンネルとも呼ばれています。
ブロガーを対象とした「ブロガーさん限定! 第3回プレミアム見学会 大橋ジャンクション」が行われました。
すでに供用されている中央環状線、完成した中央環状新宿線、工事が進む中央環状品川線がつながることで、中央環状線となります。都心に集まる交通を分散するためにつくられています。
中央環状新宿線は、4号新宿線の西新宿JCT(にししんじゅくジャンクション)と5号池袋線の熊野町JCT(くまのちょうジャンクション)とを結ぶ約6.7kmが2007年12月に開通、3号渋谷線の大橋JCT(おおはしジャンクション)と4号新宿線の西新宿JCTとを結ぶ約4.3kmが2010年度3月28日16時に開通します。
中央環状品川線は中央環状新宿線の延長にあり、3号渋谷線(大橋JCT)と湾岸線とを結ぶ約9.4kmで、2014度(平成26年度)の開通を目指して工事が進められています。
「大橋ジャンクション概要:大橋ジャンクションでつながる|東京SMOOTH」より引用
大橋ジャンクションは、中央環状新宿線と3号渋谷線、将来は中央環状新宿線と3号渋谷線と中央環状品川とが接続するポイントとなります。地上約35mの3号渋谷線と、地下約36mの中央環状線の高低差約70mを結ぶ役割を持つことになります。
大橋ジャンクションにて、概要説明を聞きます。
大橋ジャンクションは、国立競技場のトラックとほぼ同じ大きさの1周約400mのループ状の道路を2周することで、高低差のある高架の3号渋谷線と地下の中央環状線との間を相互に移動することができます。
バームクーヘンを楕円にして、斜めに傾けたような形状の建築物です。中央には、トンネルの空気を入れ替えするための換気所が設けられることになっています。
大橋ジャンクションには3号渋谷線方面へ向かう道路と中央環状線へ向かう道路が別々にあるため、2周するループ状の道路が2重になっています。地上3層・地下1層の、合計4層となります。
大橋ジャンクションのパンフレットより引用
まずは、3号渋谷線と中央環状新宿線とが接続します。
様々なパネルや模型、記念の品々が展示されています。2009年9月に3号渋谷線と中央環状新宿線とが物理的に接続した際に行われた「連結式」にて使用された、金色のボルトとスパナです。
2009年8月に2週連続で放映されたテレビ番組「タモリ倶楽部」で、タモリさんと江川達也さんがつくられた大橋ジャンクションのロゴです。
大橋ジャンクションの概要図です。
見学に際しては、日没など時間を考慮して順路が設定されました。ここでは、説明をしやすくするため、見学の順路が実際と異なります。
まずは、大橋ジャンクションのループ内側に入ります。
過去、出入口となっていた箇所は塞がれていました。自動販売機と比較すると、全体の大きさがわかります。
トンネルの空気を入れ替えするための施設、大橋換気所へと入ります。
スロープの先はトンネルへとつながっています。トンネルへ入るのは後となります。
この壁の向こうにはトンネルの空気を外へ送り出す換気ファンがあります。
大橋換気所の断面模型です。大橋換気所の周りを、トンネルがらせん状に通っていることがわかります。
換気所の中心部を目指します。時折、通路で使われている緑色の照明は、出入口となる避難階段があることを示しています。
様々な機器が搬入、設置されています。
トンネルの排気ガスが外に出るまでの流れを順番に見てみます。
下に位置するトンネルから吸い上げられた排気ガスは、隙間から、低濃度脱硝設備へと吸い込まれます。低濃度脱硝設備とは、SPM除去装置と低濃度脱硝装置を合わせた設備です。
ミクロン単位の細かいチリであるSPM(浮遊粒子状物質)やNO2(二酸化窒素)を含んだ排気ガスはまず「SPM除去装置(電気集塵機)」を通ります。SPMは80%以上除去されます。
続けて「低濃度脱硝装置」を通ります。NO2が90%以上除去されます。
低濃度脱硝装置の中にある活性炭は、洗うことで再利用が可能になっています。
きれいになった空気は、天井のダクトに吸い込まれていきます。
上のフロアには「換気ファン」が設置されていて、空気は下から上へ流れます。大橋ジャンクションには換気ファンが9基、設置されています。
トンネルの排気ガスは、低濃度脱硝設備を通ってきれいな空気になった後、換気ファンで吸い上げられ、ファンの大きな音を消すための消音装置を抜けて、45m上空に吹き上げられます。
換気所を移動します。
外からトンネルへ空気を送り込む「送気ファン」が設置されています。
大橋換気所を出て、大橋ジャンクションのループ屋上へと移動します。
階段からは3号渋谷線との連結部分を見ることができます。
見下ろすと、高さを実感することができます。
大橋ジャンクションのループ屋上です。
山手トンネルから3号渋谷線へ向かう橋梁区間を上から見ます。
右側へ進むと渋谷・都心環状方面、左側へ進むと用賀・東名方面となります。
大橋ジャンクションの周囲でも再開発の工事が進みます。
大橋ジャンクションの屋上につくられる公園は、隣接する再開発ビルと連絡橋で結ばれます。連絡橋が架かる箇所は、壁が削られています。
前が大橋換気所、奥の再開発ビルはプリズムタワーです。
ループ屋上は約7,000平方mあり、公園となる予定です。
小学生によって描かれたイラストが残っています。
イラストは、写真という形で残されるとのことです。
完成間近となる大橋換気所です。
人や機材と比べると、大きさがわかります。
ループ屋上は、1mほど土を盛って、植樹をする予定です。
いよいよ工事も終盤を迎えていることがわかります。
ループ屋上とプリズムタワーとを結ぶ連絡橋です。こちらはすでに渡ることができます。
大橋換気所は、地上7階、地下2階となっています。内部には、低濃度脱硝設備・換気ファン・排気ファン・消音装置、電気設備などが備わります。
屋上ループから、ループの路面へと移動します。
先は、3号渋谷線の用賀・東名方面から山手トンネルへと向かう分流箇所となります。
車の流れに沿って、用賀・東名方面から山手トンネルへと進みます。
ドライバーの目をトンネルの暗さに慣らすため、天井は工夫がこらされています。
3号渋谷線、用賀・東名方面からと渋谷・都心環状方面からの合流箇所です。
大橋ジャンクションのループ部分に入ります。
後方を見てみます。左側の用賀・東名方面から、右側の渋谷・都心環状方面からトンネルに入ってきた車は、ここで合流します。
天井には案内板のダミーが掲げられています。実際には、600m先の反対車線に設置されるものです。
大橋ジャンクションのループ部分を下ります。
アスファルト舗装が行われています。舗装の厚みは約8センチです。
先へ進むと4号新宿線の西新宿ジャンクションや5号池袋線の熊野町ジャンクションへと接続します。
トンネルの様々な設備はこれから設置されていきます。
非常口誘導灯が設置される箇所になります。
消化器・消火栓・非常ボタンはすでに設置されています。
案内板が設置される箇所になります。
アスファルト舗装はこれからとなります。
先へ進んで下っていくと、地上と同じ高さの地点に出ました。
大橋ジャンクションの合流箇所から約500m進んだ箇所になります。
さらに先へと進みます。ここからは地下となります。
ループ部分が終わります。大橋ジャンクションの合流箇所から約800m進んだ箇所になります。
ここから先は、トンネルを掘削するための筒型の機械、シールマシンが掘り進めた、円形のシールドトンネル区間となります。シールド機が折り返した大橋たて坑です。
シールドトンネルは円形で、見ることのできない下半分には空気が通るダクトが備わっています。
ここでも設備の設置が進められています。
シールドトンネルの区間を進みます。
中央環状品川線との合流箇所が見えてきました。
中央環状品川線が2013度(平成25年度)に開通すると、3号渋谷線からの車と、右側の湾岸線方面からの車がここで合流して、4号新宿線の西新宿ジャンクションや5号池袋線の熊野町ジャンクションへと向かいます。
トンネルは上下構造になっています。
今度は反対車線へと移動するため、らせん階段を上がります。
先ほどの真上に位置する、反対車線のトンネルです。4号新宿線の西新宿ジャンクションや5号池袋線の熊野町ジャンクションから、大橋ジャンクションへと向かうトンネルとなります。
先へ進むと3号渋谷線、用賀・東名方面と渋谷・都心環状方面への分岐となります。
後方を見てみます。
山手トンネルから来た車は、中央環状品川線方面へは左側、3号渋谷線方面へはこの右側に進みます。
車の流れに沿って、3号渋谷線方面へと進みます。左側が壁で覆われている箇所が見えてきました。
ここは将来、中央環状品川線方面から来る車との合流箇所となります。
松見坂の文字を見ることができます。シールド機は、松見坂たて坑から山手トンネルの内回りを掘り、大橋たて坑でターンをして、再び松見坂たて坑を目指して外回りを掘り進めました。
消火設備の使い方を聞きます。女性や子どもでも操作ができるように設計されています。
外の空気は、送風ファンの送風により、トンネルの下を通って、道路の横に設置された送風口から送られます。
トンネルの排気ガスは、道路の上に設置された排気口から、低濃度脱硝設備できれいな空気になった後、排気ファンの送風により外へと吹き上げられます。
ループ部分に入ります。
スピードが出ている車が快適に走ることができるよう、道路には傾斜がついています。
あらゆる場所で作業が行われていました。
外に出て、外観を眺めます。周囲との景観の調和をとるため、壁には細かいスリットが入っていて、上部には疑似窓がついています。
山手トンネルを掘り進めたシールド機の一部が展示されています。
カッタヘッドと呼ばれる、シールド機の刃です。
ここにて「首都高速道路 ブロガーさん限定! 第3回プレミアム見学会 大橋ジャンクション」は終了となります。
大橋JCTの開通により、東名高速道路と東北自動車道とのアクセスが約18分短縮、東名高速道路と常磐自動車道とのアクセスが約15分短縮するなど、所要時間の信頼性が改善されます。また、安全性は向上し、物流・旅客・緊急輸送などの機能確保がなされます。
今後も快適な道路環境が整っていくことを心より期待しています。