外環事業シールドトンネル工事に関する現場視察会 大泉側本線会場

外環道(東京外環自動車道)

 東京外かく環状道路は、都心部から半径約15kmの位置に、環状として整備が進む延長約85kmの道路です。2023年3月6日、外環事業シールドトンネル工事に関する現場視察会 大泉側本線会場が行われました。

 一般道路の国道298号と高速道路を合わせて「東京外かく環状道路」、高速道路の路線を「C3東京外環自動車道(外環道)」と呼びます。外環道は現在、大泉JCT─中央JCT(仮称)─東名JCT(仮称)を結ぶ約16.2kmの整備が進んでいます。完成すると、E1東名高速道路(東名高速)、E20中央自動車道(中央道)、E17関越自動車道(関越道)がつながります。

photo工事区間の周辺地図 資料:国土交通省

 東名高速から関越道まで、現在は環状八号線を利用して約66分かかっていますが、外環道を利用すると約12分で移動できるようになります。

 視察会は大泉側本線会場・中央JCT会場・東名側会場の3箇所で、それぞれの地域住民向けに行われました。事前申込の抽選で、各会場で時間ごと6回に分けられ、1回あたり15名〜20名が参加しました。3月6日は大泉本線シールドトンネル、3月12日は中央JCT Hランプトンネル、3月19日は東名側本線シールドトンネルを視察します。

 大泉JCT北側の大泉インフォメーションセンターに集合し、工事ヤードの防音ハウスの中へ移動します。立坑部や土砂ピットを屋根で覆い防音ハウスの中で作業することで、防塵や騒音などによる周辺環境への影響を抑えます。外壁には、シールドトンネルの大きさをイメージした弧が描かれています。

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 防音ハウスの中へ移動します。

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 緩やかな階段通路を2分ほど進むと、発進立坑に着きました。

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 発進立坑で、トンネル工事の概要説明を受けます。

 大泉JCT─中央JCT─東名JCTは、片側3車線(合計6車線)のトンネル構造です。シールドマシンと呼ばれる円筒形の掘削機で、地下約40mの深さにビル4階分相当となる外径約15.8mの本線トンネルをつくります。地下40m以深は大深度地下と呼ばれ、利用においては用地の取得が不要なため、予算を抑えて完成を早める利点があります。

 完成時に車で大泉JCTから東名JCTへ向かう「南行トンネル」、東名JCTから大泉JCTへ向かう「北行トンネル」を、それぞれ両側から2機のシールド機で掘削しています。東名JCT側から発進して約9.1kmのトンネル2本を構築、大泉JCT側から発進して約7.0kmのトンネル2本を構築し、井の頭通り付近の地中で接合します。

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 東名側と大泉側、それぞれの発進式の状況とシールド機につけられた愛称、2023年3月1日現在の掘削した距離は以下の通りです。
●東名側
東京外かく環状道路(関越~東名) シールドマシン発進式・シールドマシン公開 東名JCT(2017年2月)
 南行トンネル/愛称 みどりんぐ:4,427m
 北行トンネル/愛称 がるるん:3,582m
●大泉側 6,986m掘削予定
東京外かく環状道路(関越~東名) シールドマシン発進式・シールドマシン公開 大泉JCT(2019年1月)
 南行トンネル/愛称 グリルド:930m
 北行トンネル/愛称 カラッキィー:1,360m

 この日は、緑色のシールド機(グリルド)で掘削する南行トンネルを視察します。現在は事業用地内を掘進しています。

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 発進式で使用された航空写真では、大泉JCTから発進前のシールド機の位置を確認できます。

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 シールド機は、掘削する土砂に添加材を使用して泥土化し、圧力を与えながら掘削する泥土圧シールド工法を採用しました。掘進する速度と排出する土量を制御することで土圧を保持します。マシン外径16.1m、機長約15m、総重量は約4,000tになります。横浜の工場で製作した後、約200の部品に分けて発進立坑へ輸送し、約10ヶ月かけて組み立てました。

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 シールド機の前面には、カッタービットと呼ばれる歯が並ぶ円形状のカッターヘッドを装備し、2分で約1回転することで土砂を削ります。削られた土砂はスクリューコンベアによってシールド機の後方へ運び、地上へ続くベルトコンベアで地上へ搬出します。シールド機が前進した空間に、トンネル本体の壁となるセグメントをエレクターでリング状に組み合わせ、13個のピースでトンネルの1つの輪(1リング)を構築します。組み立てられたトンネルの壁にシールドジャッキを押し付け、ジャッキを伸ばすことでシールド機が前進します。

 シールド機の後部には、シールド機の掘削を支援する10個の後続台車が約200m続きます。掘削はジャッキのみで進み、自動車約3万台分の力で押し出します。浅いところは地下4m、深いところは地下50mで様々な地盤を掘削します。最新のシールド技術のほとんどの要素を取り入れて集中管理を行い、大半を自動化しています。

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 掘削では、1m進むと学校のプール1杯分の土砂が発生します。ダンプトラック換算で1日約200〜300台分の土砂をシールド機から搬出するにあたり、交通渋滞を発生させない配慮から、外環道の中央に配置されたベルトコンベアで約6km先の和光へ送り仮置きします。

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 東名側とは反対の、土砂を送る北側の和光方面を見てみます。上部に土砂を搬出する黄色のベルトコンベア(傾斜ベルコン)が設置されています。

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 勾配の先に、供用中の外環道を確認できます。

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 東名側へ向かって進みます。

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 トンネルの掘削で使用する機材や資材を運ぶトラックは、横連絡路を通り、反対側の北行トンネルの一部で出入りします。

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 シールド機により掘削した円形の坑口から先が、シールドトンネルになります。上部にはトンネルの中へ新鮮な空気を送る銀色の風管が通っています。

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 坑口からの距離が、セグメント5リング毎、4mおきに掲示されています。

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 トンネルの傾斜は、白子川をくぐる箇所で下がり、目白ICと接続するため再び上がります。トンネルの約3m上に白子川が流れています。右手に土砂を排出するベルトコンベア、中央上部に風管、左手上部に安全通路を確認できます。

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 安全通路が左手から右手へ移ります。工事が進行する平日、工事用車両が路面覆工を通るため、歩行は安全通路に限られます。安全通路の下には、土砂を排出するベルトコンベアが続きます。

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 坑口から100リング、150m進みました。

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 セグメントを移動する30t天井クレーンが設置されています。トレーラーで運んだセグメントはクレーンで移動し、一時的にストックします。

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 セグメントは施工する場所の目的や条件によって標準部のRCセグメント、重荷重部の合成セグメント、横連絡坑や地中拡幅部の鋼製セグメントと、種類を使い分けています。大きさはいずれも桁高650mm、幅1,600mm、弧長4,052mmです。

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 セグメントは路面覆工の下を走る自走式台車に積み替えて、トンネルの先端まで運びます。自走式台車のレールを見ることができます。

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 すべての機材や資材は供用している外環道から直接入れて、トンネル内にストックします。東名側はスペースがあるため機材や資材を地上に置きますが、大泉側は狭いのでトンネルの中に確保します。

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 機材や資材を搬入する穴から、自走式台車の一部を見ることができます。

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 セグメントをクレーンで降ろしたトレーラーは、ターンテーブルで回転して引き返します。セグメントを搭載するため、短いトレーラーを特注しました。1台のトレーラーに積載できるセグメントは2個で、1リング構築するためには6台〜7台のトレーラーが必要になります。

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 路面覆工だけの空間になりました。3車線完成時とほぼ同じ幅になります。

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 先は、路面覆工が施工されていないため、シールドの形状を見ることができます。

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 目白通りICになる地中拡幅部では灰色のRCセグメントではなく、黒色の鋼製セグメントを使用しています。

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 本線トンネル(南行)大泉南工事では、1日あたり最大約5mの速度で掘削が進んでいます。

■工事の概要
 工事名:東京外かく環状道路 本線トンネル(南行)大泉南工事
 発注者:東日本高速道路株式会社 関東支社
 受注者:清水・熊谷・東急・竹中土木・鴻池JV

公式:東京外環プロジェクト