麻布台ヒルズ(虎ノ門・麻布台プロジェクト)オランダヒルズ歩行者デッキ架設工事

一般道路

 虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業として、麻布台ヒルズ(虎ノ門・麻布台プロジェクト)の整備が進められています。桜田通り(国道1号線)を夜間通行止めにして、オランダヒルズ森ビルタワーと麻布台ヒルズの新設ビルを結ぶ歩行者デッキの架設工事が行われました。

 虎ノ門・麻布台地区は、著しい高低差や老朽化した多くの木造建物における防災面での課題、未整備の道路ネットワークに起因する交通渋滞など数々の問題を抱えていました。街区再編と一体になった都市基盤や生活環境の整備、都市防災機能の強化などの観点から、地区面積約8.1ヘクタールの再開発事業を進めています。

photo周辺の地図 資料:森ビル 虎ノ門・麻布台プロジェクト ファクトブック

 麻布台ヒルズはアークヒルズに隣接し、六本木ヒルズと虎ノ門ヒルズの中間に位置します。麻布台ヒルズの中心には緑豊かな中央広場を配置し、その周りに日本一の高さとなる330mのビルを含む3棟の超高層タワーを建設します。

 桜田通りの神谷町駅と飯倉交差点の間に、オランダヒルズ森ビルタワーと麻布台ヒルズの新設ビルを結ぶオランダヒルズ連絡歩行者デッキを架設します。近くには八幡町歩道橋がありましたが、設置から55年近く経過し老朽化したため撤去しました。麻布台ヒルズ整備の進行具合により、新設歩行者デッキの完成後に既設歩道橋を撤去するのではなく、既設歩道橋を撤去した後に新設の歩行者デッキを設置することになりました。

photo工区の周辺地図 資料:トータルオフィスパートナー

 歩行者デッキの橋脚は麻布台ヒルズ側が鋼鉄製、オランダヒルズ側がコンクリート製と、形状が異なります。オランダヒルズ側はオランダヒルズの地中連続壁と境界の狭い空間に基礎杭を6本打設し、地震がきたときに揺れを受ける支承を備えます。

 桜田通りの地下には東京メトロ日比谷線や様々なライフラインが複雑に通っているため、地中の埋設物に荷重をかけないよう施工計画を組みました。

photo工事の図面 資料:トータルオフィスパートナー

 橋桁はベントを設置して架設することも検討されましたが、国道に架設するベントの条件が厳しく、設計などに時間がかかってしまうことなどの理由から一括架設を採用しました。トラックで運べる約12mに3分割した橋桁を麻布台ヒルズC2街区の作業ヤード内で1つに施工し、400t吊りオールテレーンクレーンで一括架設します。

 深夜1時40分過ぎ、クレーンが到着し準備が始まりました。警備員約30人、作業員は15人ほどで作業を進めます。

photo

 クレーンにウエイトを積載します。

photo

 約1時間かけて、ウエイトを積み上げます。

photo

 作業ヤードでは橋桁の玉掛けが進みます。橋長42.2m、総幅員2.74m、重量約60t、鋼3径間連続下路式鋼鈑桁橋です。

photo

 朝4時、国道が通行止めになり、クレーンによる架設が始まりました。通行止めの許可は1時間です。

photo

 オランダヒルズ側は屋根がなければ橋桁を真上から着地させるのですが、既存の屋根があるため、クレーンで持ち上げた橋桁を斜めに60cmほど入れ方向転換して引き戻すデリケートな作業になります。クレーンの運転に加え、作業員が介錯ロープを引っぱり微調整していきます。

photo

photo

photo

 約40分間のクレーン作業で、橋桁は所定の位置に設置されました。通行止めの残り時間で、規則となるボルトを3分の1以上入れる作業が行われます。

 タイムラプス動画です。

 目で見てわかる大きな動きのある作業は完了しました。

photo

 今後は歩道に階段が設置され、6月末を目処に歩行者デッキを利用できるよう作業が続きます。

photo

 この日の作業を終えて、清水建設・三井住友建設JVの金子貴博工事長は、「作業は最後まで何があるか分からないので、緊張感を持ち続けていた。今後も続く調整で、最後まで事故なく作業することが一番だと感じている」と話しました。
 架設作業を担当した日本ファブテック橋梁事業本部工事部工事課の土屋充課長は、「最大の難所はオランダヒルズに橋桁を入れることだったが、計画段階から綿密に調整を進めたため、本番の作業を無事に完了できた。引き続き、最後まで事故なく作業していく。外面塗装が美しいので完成後は落書きなどがないよう願いたい」と話しました。

■工事の概要
 工事名:虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業に係る公共施設整備等工事
 発注者:虎ノ門・麻布台地区市街地再開発組合
 受注者:清水建設・三井住友建設JV

公式:麻布台ヒルズ|主要プロジェクト|森ビル株式会社