首都高速道路では、3号渋谷線(大橋JCT)・4号新宿線(西新宿JCT)・5号池袋線(熊野町JCT)の延長約11kmを一直線に結ぶ、中央環状新宿線と呼ばれる道路の工事が進められています。道の日イベント2007として、「中央環状新宿線 東中野換気所」の現場見学会が開催されました。
中央環状線は、放射線に広がる高速道路を環状線で結ぶ、「3環状」と呼ばれる高速道路のうちの一番内側を走る道路。2009度(平成21年度)に3号渋谷線〜4号新宿線の4.3kmが接続、2013度(平成25年度)には湾岸線へと接続する中央環状品川線の9.4kmが完成し、全長約47kmの中央環状線が全線開通する予定となっています。
中央環状新宿線は延長約11kmのすべてが山手トンネル。山手通りに沿った地下約30mの、片側2車線のトンネルとなっています。
時間で区切られた数人のグループごとに、階段を下りて地下の道路へとたどり着きます。
トンネル内での事故や火災などの発生に備えて、様々な防災設備が設置されています。
非常電話は100mおきに設置され、車が向かってくる方向を見ながら、管制室の係員と連絡を取ることができます。消化器・泡消火栓は約50mおきに設置され、女性や子どもでも簡単に消火栓を取り出し、消火をすることが可能になっています。
延長約11kmのトンネルは、地上から掘削する「開削工法」と、シールド機をつかって横へ掘り進む「シールド工法」の2種類の方法で造られました。
トンネルが四角い場所は開削工法、丸い場所はシールド工法。場所によっては境目を見ることができます。
トンネルのほとんどは、工事の騒音や振動、街路交通の影響が少ないシールド工法で進められました。
上の階へとあがり、中央環状新宿線に設置される9つの換気所のひとつ、東中野換気所へと移動します。
車から排出される排気ガスをトンネルの外へ出すため、万が一に発生した火災などの煙を排出するために、換気所および換気塔が必要となります。
地上に設置された四角い「給気口」から入った空気は道路の下の送空ダクトを通り、道路へと送られます。
排気ガスを含んだ空気は道路の上から排気され、道路の下の送空ダクトを通り、換気所へと集められます。
巨大な「換気ファン」で集められた排気ガスは、SPM除去装置・低濃度脱硝装置で有害な物質を除去。消音装置で換気ファンから出る巨大な音を低減した後、地上の約45mの換気塔から、100m上空へ放出されます。
東中野換気所は、山手通りの地下にきちんとはまる大きさで設置されています。
換気塔から出る空気は、地上で拡散され、周辺への影響は極めて小さく抑えられているとのことです。
中央環状新宿線が完成すると、現在約30分かかる新宿〜池袋が、最短約10分となります。