山手トンネル(やまてトンネル)は、3号渋谷線(大橋JCT)・4号新宿線(西新宿JCT)・5号池袋線(熊野町JCT)の延長約11kmを一直線に結ぶ、首都高速道路中央環状新宿線のトンネル。熊野町JCTから西新宿JCTまでの6.7kmにおける「中央環状新宿線 山手トンネル プレミアムバスツアー」が開催されました。
中央環状線は、放射線に広がる高速道路を環状線で結ぶ、「3環状」と呼ばれる高速道路のうちの一番内側を走る道路。2009度(平成21年度)に3号渋谷線〜4号新宿線の4.3kmが接続、2013度(平成25年度)には湾岸線へと接続する中央環状品川線の9.4kmが完成し、全長約47kmの中央環状線が全線開通する予定となっています。
中央環状新宿線は延長約11kmのすべてが山手トンネル。山手通りに沿った地下約30mの、片側2車線のトンネルとなっています。
「山手トンネル プレミアムバスツアー」に参加をしたのは、応募があった300名以上の中から抽選で選ばれた80名。報道陣を含め、3台のバスに分乗して、集合場所の新宿西口スバルビル前を出発します。
中野長者橋出入口より山手トンネルに進入。中野長者橋出入口は、5号池袋線・さいたま方面に対してのみ出入することが可能です。5号池袋線方面へ進み、「東中野シールドトンネル」にて集合記念撮影を行います。シールドトンネルは、シールド機で地中を掘り進めてつくられるため、丸い形状となっています。
参加者の撮影は、写真集「首都高山手トンネル」を出版されたフォトグラファーの西澤丞さんにより行われました。
トンネルは万が一の事故や火災に備えて、万全の設備があります。ドライバーが利用するであろう設備は、見やすく、わかりやすく設置されています。
非常電話は、約100mの間隔で設置。電話機のある隙間から顔を出すことにより、向かってくる車の流れがわかるようになっています。受話器を取り、通話連絡路が点灯してから「故障」「救急」「火災」のいずれかのボタンを押すことにより、管制室に用件が伝わります。
非常口は、350m以内に設置。非常に大きな扉を開けることにより、地上出口まで避難することができます。
バスに乗り、東中野シールドトンネルから4号新宿線方面へと移動、「西新宿JCT」に到着します。トンネルの出口への分岐から4号新宿線との接続部分まで、8%勾配を歩いて上ります。
西新宿JCTは、5号池袋線・さいたま方面と4号新宿線・中央自動車道方面との行き来のみ、利用することができます。都心方面へ、もしくは都心方面からの利用はできません。
4号新宿線・中央自動車道方面から来た車は、分岐で左に進み、5号池袋線・さいたま方面へ行くことができます。分岐で右へ進む3号渋谷線・大橋方面は、2007年の開通となるため、案内板もまだ取り付けられてはいません。
オペラシティなどを見上げることのできる分岐で、しばらく見学をした後、バスのある場所まで8%勾配を下って戻ります。
トンネルへ入る途中、トンネル用信号と、山手通りへの移動できる場所がありました。
トンネルで災害が発生した場合、信号を赤にして車を山手通りへと逃がします。
バスに乗り、西新宿JCTから5号池袋線方面へと移動、以前、現場見学会が行われた「東中野換気所」に到着します。換気所は、地上と山手トンネルとの間に位置します。
東中野換気所の下を含む山手トンネルの2ヵ所では、関越自動車道などと接続する構想があるため、「壊すことのできる壁」になっています。壁を守るため、ガードレールが設置されていました。
4号新宿線から5号池袋線までには、西新宿換気所・本町換気所・東中野換気所・上落合換気所・中落合換気所・要町換気所があり、いずれもトンネルに空気を取り入れ、排気ガスを含んだ空気を薄めて上空に吹き上げる役目を持っています。
換気所から入る空気はトンネルの横から入り、排気ガスを含んだ空気となってトンネルの上から出ます。
排気ガスを含んだ空気はフィルタを通り、二酸化窒素を90%以上、浮遊粒子状物質を80%以上除去された後、地上約100mの高さまで吹き上げられて、拡散されます。
換気所には消音装置が設置され、周辺の騒音レベルは基準値を大きく下回ります。消音装置を挟んだ反対側から叫ばれましたが、ほとんど聞こえない声量になっていました。
換気所から出て、トンネルへと戻ります。約50m間隔で設置されている消火器・泡消火栓の一部を見ることができました。
無理のない範囲での初期消火をすることができます。
バスに乗り、東中野換気所から5号池袋線方面へと移動、「西池袋出入口」に到着します。
出入口は、シールド工法でつくられた丸い形状のトンネルの一部を切り取り、開削工法でつくられた四角い形状のトンネルを接続して造られました。強度が弱くなるため、初めての方法になったとのことです。
西池袋出入口は5号池袋線・さいたま方面から出る時と、4号新宿線・中央自動車道方面との行き来のみ、利用することができます。5号池袋線・さいたま方面への利用はできません。
出入口は、まさに仕上げの工事が進んでいる最中でした。
トンネルから出ると、山手通りを見渡すことができます。池袋へアクセスは、西池袋出入口を利用することになります。はるか先では、料金所の設置工事が進んでいました。
バスに乗り、西池袋出入口から5号池袋線方面へと移動、「熊野町JCT」に到着します。
熊野町JCTは、5号池袋線・さいたま方面と4号新宿線・中央自動車道方面との行き来のみ、利用することができます。都心方面へ、もしくは都心方面からの利用はできません。
開通後、高松出口は廃止されます。遠くには、5号池袋線の車の流れを見ることができました。
「山手トンネル プレミアムバスツアー」は、開通する部分を隅々まで見ることができただけでなく、東中野シールドトンネルで撮影した記念写真や西澤丞さんのサインが入った写真集「首都高山手トンネル」を頂くことができたりと、文字どおりプレミアムなバスツアーとなりました。
見学した部分の山手トンネルは、2007年12月22日に開通。現在約30分かかっている新宿〜池袋が最短約10分となり、現在約90分かかっている高井戸〜三郷が最短約55分に、4号新宿線の渋滞が約2割減少するとされています。
工事が無事に終わり、快適な道路環境が整うことを心より期待しています。