首都高講座 35限目:品川線と大橋ジャンクションをつなぐシールドトンネルを学ぼう

 中央環状線

首都高講座は、首都高速道路における工事の現場や施設、車両などを見学できるイベントです。2012年1月17日、35限目の「品川線と大橋ジャンクションをつなぐシールドトンネルを学ぼう」が開催されました。

今回の講座では、中央環状品川線と高速3号渋谷線を結ぶ大橋連結路シールドトンネルと、大橋換気所の屋上に設けられた自然再生緑地おおはし里の杜(おおはしさとのもり)について学びます。抽選に応募して当選した18歳以上の約20名が参加しました。

大橋JCTの展示室へ集合、14時より開始となります。大橋JCTの内側へ入ります。

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首都高速道路 中央環状新宿線(山手トンネル・大橋JCT) 山手トンネルウォーク 新宿〜渋谷」で多くの人が並んだ大橋JCTのゲートを通ります。

3階の展示室へ向かいます。

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時間となり講座が始まりました。概要説明を受けます。

中央環状品川線は、すでに供用されている中央環状新宿線と湾岸線とを結ぶ、中央環状線の南側部分にあたる首都高速道路です。3号渋谷線と中央環状新宿線が接続している大橋JCTに大橋連結路シールドトンネルで中央環状品川線をつなげることで、中央環状線が完成します。

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中央環状品川線は1号羽田線と2号目黒線と接続しません。出入口は五反田出入口と大井南出入口(仮)の2箇所が予定されています。

整備が完了すると、3号渋谷線・4号新宿線・5号池袋線を結ぶ中央環状新宿線、3号渋谷線、湾岸線から続く中央環状品川線が、大橋JCTで接続することになります。

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3号渋谷線と中央環状品川線を結ぶ道路が大橋連結路となります。

大橋JCTに隣接した約110mの箇所は開削部と呼ばれます。地上より掘り進めて、既設のシールドトンネルと接続し分合流部を構築します。

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開削部の地下で組み立てたられたシールド機で、シールド部と呼ばれる約500mのトンネルを中央環状品川線に向かって掘削します。うち、約200mは中央環状品川線(本線)のシールドトンネルと一体化させる接続部となります。

中央環状品川線と大橋連結路では、異なるシールド機が使われます。
■中央環状品川線のシールド機
外径:12.6m・機長:14.22m・重量:約2,000トン・掘進速度:標準25mm/分
■大橋連結路のシールド機
外径:9.7m・機長:10.13m・重量:約800トン・掘進速度:標準20mm/分

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大橋連絡路と中央環状品川線との接続部は、トンネル同士の側面を削って結合する非開削切開き工法が採用されました。

大橋連結路シールドトンネルの接続部へと向かうため、一度、大橋JCTの外側へ移動します。
大橋JCTは「大橋グリーンジャンクション」というコンセプトのもと、周囲への景観や環境が熟考されています。壁面にはストライプの陰影を描くためのスリットが入れられ、地表面からの緑化をするためつる性植物オオイタビが植えられています。

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内部での発生した緊急時の避難口が設置されています。

工事用の出入口から、大橋JCTの内部へと入ります。

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狭いトンネルの中で工事車両が向きを変えるためのターンテーブルが設置されています。

階段で地下へと移動します。

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複雑に組まれた作業通路を進みます。

地下1階へと着きました。地下約30mとなります。

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四角いトンネルの開削部の先に、丸いトンネルのシールド部が見えてきました。

シールド機は前方で掘削をしながら、後方では壁を築きます。壁となるセグメントが積まれています。

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大橋連結路は上下2層のトンネルとなっています。上層シールドが大井方向、下層シールドは大橋方向です。

上層シールドを進みます。

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トンネルの先端では、シールド機による掘削が進んでいます。

開削部の発進立杭で組み立てられたシールド機はまず、下層シールドを掘削。中央環状品川線との接続部までの約500mのシールドトンネルをつくりました。部品を再利用するために解体、再び発進立杭で組み立てられて、今は上層シールドを掘削しています。

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DSR工法(Draw a Shield for Recycle system)というシールド機の駆動部を再利用する方法は、シールド機を2機つくる必要がないため、工費の縮減に寄与します。

開削部へ戻り、中央操作室へ向かいます。

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トンネルを掘削した際に出た岩石などが展示されていました。

中央操作室では、シールド機を少人数で一元的に制御しています。

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大橋連結路のシールド機は、一日に最大約20mを掘削することができます。

首都高講座 26限目:大橋JCT品川線連結部と山手通りの整備について学ぼう」で見た、シールド機が組み立てられた開削部の発進立杭です。

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下層シールドを進みます。

トンネルはコンクリート製セグメントで組まれ、一部で鋼鉄製セグメントが使われています。

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鋼鉄製セグメントの箇所には、地上避難出口が設置されます。

すでに掘削が完了した上層シールドには、道路となる床板が設置され始めています。

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先ではまだ床板が設置されておらず、つくられたままのシールドトンネルが伸びています。

掘削を終えたシールド機の外部が見えてきました。内部となる駆動部は、下層シールドにて掘削のために使用されています。

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大橋連絡路と中央環状品川線との接続部となります。左側の数センチ先には、中央環状品川線のトンネルがあります。

再び開削部へ戻り、すでに供用されている大橋JCTと大橋連絡路を接続するための分合流部へと移動します。

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シールドトンネルの一部を切開いて接続する開削切開き工法が採用されています。

大橋JCTを走行すると、車線が減り、円形のシールドトンネルの一部が欠けている箇所に気づきます。

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欠けている壁の向こうでは、大橋連絡路と接続する作業が行われています。

移動します。途中で横を通過したガレージには、24時間態勢で山手トンネルを巡回する首都高バイク隊の、400ccのバイクが並びます。

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大橋JCTの換気塔の屋上へと移動します。

おおはし里の杜に着きました。

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最上部には、広場が用意されています。

約1,100平方mの中に湧き水とせせらぎ・斜面林・水辺・水田・草地があり、目黒地域の原風景が再現されています。

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大橋JCTのループの屋上には、目黒区が管理する目黒天空庭園が整備されることになっています。

おおはし里の杜では、体験学習として地元の小学生による田植えや稲刈りが行われます。通常、立ち入りすることはできません。

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中央環状品川線の開通により、新宿と羽田空港との所要時間が約40分から約20分に短縮されます。渋滞緩和、経済力強化、防災力強化、環境改善など、さまざまな効果が見込まれています。