首都高講座は、首都高速道路における工事の現場や施設、車両などを見学できるイベントです。
2014年11月28日、52限目の「地中で分合流、高度な技術がぎゅっと詰まった大橋連結路を学ぼう」が行われました。
「首都高講座 52限目:地中で分合流、高度な技術がぎゅっと詰まった大橋連結路を学ぼう」では、中央環状線品川線と大橋JCT(おおはしジャンクション)をつなぐ、大橋連結路について学びます。抽選に応募した18歳以上の約400人のうち、当選した約30名が参加しました。
2015年3月、3号渋谷線と中央環状新宿線が接続している大橋JCTに、中央環状品川線も接続します。これにより山手トンネルと呼ばれる中央環状線は、延長約18.2kmの日本最長のトンネルとなります。
3号渋谷線・4号新宿線・5号池袋線を結ぶ中央環状新宿線、3号渋谷線、湾岸線から続く中央環状品川線が、大橋JCTで接続することになります。
大橋JCTと中央環状品川線を結ぶ道路が「大橋連結路(おおはしれんらくろ)トンネル」となります。
大橋連結路トンネルは、地上より掘り進めた開削部と、地下で組み立てたられたシールド機で掘り進めたシールド部で構成されています。
2層構造になっていて、上層は大橋JCTから大井JCT方面へ、下層は大井JCT方面から大橋JCTへ向かう車の流れとなっています。
9時50分、首都高速道路の大橋JCTに集合します。見学の参加者に、ヘルメット・軍手・マスク・懐中電灯が配られます。
北ゲートと呼ばれる工事用車両出入口より、大橋JCTの中へと移動します。
3号渋谷線から中央環状新宿線へと向かう車が走っています。
分岐の工事が進められています。供用されている右方向は中央環状新宿線へ、囲いで覆われている左方向は中央環状品川線へ進む道路となります。
3号渋谷線から中央環状品川線へ進む分流箇所です。先は1車線となります。
分離のブロックが設置されています。
大橋連結路トンネルを進みます。トンネルを地上より掘り進めた開削部が、約110m続きます。
「2014年11月 首都高速道路株式会社建造」と記されています。
トンネルをシールド機で掘り進めたシールド部が、約500m続きます。
「大橋連結路シールド(上層)」と記されています。「20R」は、トンネルを形づくるコンクリートの筒が20リング目の場所であることを示します。
地上避難たて坑と呼ばれる避難階段を使い、大橋連結路トンネルの上層から下層へと移動します。
階段を下りると連絡路下層・本線上層・本線下層、上がると北ゲート・連絡路上層へと行くことができます。
大橋連結路トンネルの下層へ着きました。
先に、接続部と呼ばれる分流箇所が見えます。
振り返り、大井JCT方面から来た分流箇所を見ます。3車線の空間が確保されています。
右方向は中央自動車道・東北自動車道と接続する中央環状新宿線へ、左方向は3号渋谷線・東名高速道路へ進む道路となります。
用意されたプロジェクターで、大橋連結路の概要を確認します。
黄色で示された道路が本線トンネル、赤色で示された道路が大橋連絡路トンネルとなります。
接続部は、2本のシールドトンネルを接続した箇所です。左方向の小さいシールドトンネルと、右方向の大きいシールドトンネルが合体しています。
見てみると、2本の円筒状のシールドトンネルが合体していることがわかります。高速道路の2本のシールドトンネルを合体する工事をすべて地中で行うのは、日本で初めてとなります。
右方向、中央環状新宿線へ向かう本線トンネルを進みます。本線は、2車線となります。
トンネルの壁の多くに、ペンキ塗りたての警告が貼られています。壁となる防火パネルで、視線誘導塗装が施される部分にペンキが塗られています。
トンネルでの火災など、災害の際に使用する非常ボタン・消化器・泡消火栓が設置されています。
60km/hの速度制限標識が設置されています。
本線トンネルを進むと、覆いが見えてきました。
先には、中央環状新宿線と中央環状品川線の合流箇所があります。
合流の工事が進められています。大橋JCTから中央環状新宿線へ進む供用されている左方向からの道路と、中央環状品川線から中央環状新宿線へ進む道路が合流する箇所となります。
合流箇所では、シールドトンネルの円筒の片側が削られていることがわかります。
振り返り、シールドトンネルが接している部分を見ます。
地上避難たて坑と呼ばれる避難階段へ戻り、大橋連結路トンネルの下層から上層へと移動します。
大橋連結路トンネルの横に設置されている、独立避難通路へ入ります。トンネルの反対側へ避難できない区間に設置された避難通路です。
照明が設置される前で暗いため、支給された懐中電灯の光を頼りに進みます。
下へ移動する階段があります。道路の下には、ケーブルなどの設備が通っています。
独立避難通路から出ました。集合した大橋JCTの地上部分へと戻ります。
ここにて「首都高講座 52限目:地中で分合流、高度な技術がぎゅっと詰まった大橋連結路を学ぼう」は終了となります。
大橋ジャンクションは「大橋グリーンジャンクション」というコンセプトのもと、周囲への景観や環境が熟考されています。緑化をするために植えられている、つる性植物オオイタビが成長しています。数十年後には、大橋ジャンクションすべてが緑で覆われます。
中央環状品川線の開通により、新宿と羽田空港との所要時間が約40分から約20分に短縮されます。渋滞緩和、経済力強化、防災力強化、環境改善など、さまざまな効果が見込まれています。