首都高講座 52限目:地中で分合流、高度な技術がぎゅっと詰まった大橋連結路を学ぼう

 中央環状線

 首都高講座は、首都高速道路における工事現場や施設、車両などを見学できるイベントです。2014年11月28日、第52回目となる「地中で分合流、高度な技術がぎゅっと詰まった大橋連結路を学ぼう」が開催されました。

 首都高速道路株式会社は、都心から放射状に延びる高速道路網を環状で結ぶ「3環状」のうち、最も内側を走る「中央環状線」の整備を進めています。2009年度に3号渋谷線と4号新宿線を結ぶ中央環状新宿線の約4.3kmを供用。2014年度中に3号渋谷線と湾岸線を結ぶ中央環状品川線の約9.4kmを建設し、これらの路線を接続することで、延長約18.2kmの日本最長のトンネル「山手トンネル」が完成します。これにより、全長約47kmの中央環状線が全通することになります。

photo中央環状品川線の位置図 出所:首都高速道路

 大橋JCTは、3号渋谷線・4号新宿線・5号池袋線を結ぶ中央環状新宿線と、湾岸線から続く中央環状品川線が接続する結節点です。これらをつなぐ道路が「大橋連結路トンネル」になります。

photo大橋JCTの概要図 出所:首都高速道路

 大橋連結路トンネルは、地上から掘り進めた開削部と、シールド機で掘削したシールド部から構成されています。トンネルは2層構造で、上層は大橋JCTから大井JCT方面へ、下層はその逆方向への車両が通行します。

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 本講座では、中央環状線品川線と大橋JCT(おおはしジャンクション)を結ぶ「大橋連結路」について学びます。18歳以上の約400名の応募者から、抽選で当選した約30名が参加しました。9時50分、見学参加者が大橋JCTに集合。ヘルメット・軍手・マスク・懐中電灯が配布されました。

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 北ゲートと呼ばれる工事用車両出入口から、大橋JCT内部へと移動します。

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 3号渋谷線から中央環状新宿線へ向かう車両が走行中です。

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 工事が進む分岐部。供用中の右方向は中央環状新宿線へ、囲いに覆われた左方向は中央環状品川線へとつながります。

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 ここは、3号渋谷線から中央環状品川線へ進む分流部で、先は1車線に絞られます。

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 分離用ブロックが設置されています。

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 大橋連結路トンネルに進入します。まず開削部(約110m)を通過します。

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 「2014年11月 首都高速道路株式会社建造」との刻印があります。

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 その先のシールド部(約500m)に入ります。

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 「大橋連結路シールド(上層)」と記されています。「20R」はトンネル構成部の20リング目を示します。

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 避難階段(地上避難たて坑)を使い、トンネルの下層へ移動します。

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 階段を下ると、連絡路下層・本線上層・本線下層、階段を上がると北ゲート・連絡路上層へと移動できます。

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 下層に到着しました。接続部と呼ばれる分流部が見えてきます。

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 振り返ると、大井JCT方面からの分流部が見えます。3車線のスペースが確保されています。右は中央環状新宿線(中央道・東北道方面)、左は3号渋谷線(東名高速方面)へ向かうルートです。

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 プロジェクターで、大橋連結路の概要を学びます。

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 黄色が本線トンネル、赤が大橋連結路トンネルを示しています。

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 接続部では、直径の異なる2本のシールドトンネルが地中で接続されています。これは日本初の試みです。

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 実際に見ると、2本のトンネルを接続していることがわかります。

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 右方向の中央環状新宿線本線トンネルを進みます。本線は2車線になります。

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 防火パネルには「ペンキ塗りたて」の表示があります。視線誘導用の塗装が施される予定です。

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 非常ボタン・消火器・泡消火栓など、火災時に備えた設備が設置されています。

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 ここでの速度制限標識は60km/hです。

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 本線トンネルを進むと、覆いが見えてきました。

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 先には、中央環状新宿線と中央環状品川線の合流箇所があります。

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 合流箇所でも工事が進んでいます。大橋JCTから中央環状新宿線へ進む供用されている左方向からの道路と、中央環状品川線から中央環状新宿線へ進む道路が合流する箇所となります。

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 合流箇所では、シールドトンネルの円筒の片側が削られていることがわかります。

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 振り返ると、シールドトンネルの接続部を確認できます。

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 地上避難たて坑と呼ばれる避難階段へ戻り、大橋連結路トンネルの下層から上層へと移動します。

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 大橋連結路トンネルの横に設置されている、独立避難通路へ入ります。トンネルの反対側へ避難できない区間に設置された避難通路です。

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 照明未設置のため、懐中電灯の明かりで進みます。

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 階段を下ると、下層にはケーブルなどの設備空間が広がっています。

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 避難通路を抜け、地上の大橋JCTに戻りました。

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 大橋JCTは「大橋グリーンジャンクション」をコンセプトに、周辺景観や環境との調和を図っています。つる性植物「オオイタビ」による緑化が進行中で、将来的にはジャンクション全体が緑で覆われる見込みです。

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 中央環状品川線の開通により、新宿〜羽田空港間の所要時間は約40分から20分に短縮します。渋滞緩和、経済活性化、防災力の強化、環境改善など、さまざまな効果が期待されています。