東京都は、都心から北西に延びる幹線道路、目白通り西端の延長となる放射第7号線の整備を進めています。このうち、西側区間が開通することを祝し、開通式が催されました。
放射第7号線は東京都千代田区九段北一丁目を起点とし、同練馬区西大泉五丁目を終点とする延長約19.3kmの都市計画道路です。都市部と多摩地域を結ぶ重要な幹線道路で、目白通りの延長として機能します。1946年に放射第7号線全線の都市計画決定、1962年に事業区間を現在の位置へ変更して都市計画変更。放射第7号線の練馬区大泉学園町二丁目から同区西大泉五丁目までの約2kmは2006年7月に事業着手、2011年2月に工事着手しました。
開通区間の位置図 出所:東京都
整備区間約2kmのうち、東側区間約1kmは道路予定地にかかる墓地移転を巡り、権利などの問題で調整が進まず工事は中断。並行する「したみち通り」は蛇行した動線で幅員が狭いだけでなく、交通量は多く付近に学校もあります。交通における安全を望む地域の声に応え、半分となる西側区間約1kmを2025年2月16日15時に暫定開通しました。事業着手から18年が経ていることになります。
開通区間の位置図 出所:東京都
西側区間の開通直前に、放射第7号線(大泉)を歩いてみました。
都心から延びる目白通りは、東京都練馬区の北園交差点で行き止まりとなります。目白通り、大泉学園通り、したみち通り、そして目白通りの延長となる未開通の放射第7号線の東側区間が交わる交差点です。
都心を背にした北園交差点。前方が放射第7号線(大泉)東側区間
東側区間には金網が張られていて自動車やバイクは通行できませんが、歩行者と自転車は通行できます。
放射第7号線についての案内板は色あせています。
東側区間を進むと墓地が見えてきました。墓地の手間まで舗装は完了していますが、自動車やバイクが走行できないよう厳重にガードされています。
墓地を迂回して、振り返って北園交差点側を見ます。
放射第7号線(大泉)東側区間から望む北園交差点
Google マップによる航空写真で見た状況です。
さらに東側区間を進みます。ガードレールも設置し、あとはアスファルト舗装するだけで開通できそうな状態です。
東側区間と西側区間の間に位置する、都道24号練馬所沢線の交差点です。東側区間には車両通行止めの柵を設置しています。
東側区間から望む西側区間。交差点の左右に都道24号練馬所沢線が通る
開通式典の会場となる西側区間にほど近い大泉西中学校で、午前10時から放射第7号線(大泉)西側の開通式典が始まりました。式次第は開会、主催者挨拶、事業報告、来賓祝辞、来賓紹介、閉会になります。
主催者挨拶として、東京都建設局 第四建設事務所長の小田中光氏は次のように話しました。「放射第7号線は東京の骨格を担う幹線道路の1つであり、道路ネットワークを形成する上で非常に重要な路線。今回の開通により、周辺道路の慢性的な渋滞が緩和されるとともに、円滑な緊急車両の通行が可能になる。事業着手から約18年の年月を経て交通開放することにおいて、用地を提供いただいた方々や関係者に深く感謝を申し上げる。練馬区内の都市計画道路の整備率は約50%と23区平均整備率の約65%に比べ低く、通過交通が地域の生活道路を通る事例も多いことから一日も早い道路整備が望まれる。この放射第7号線に加え、放射第36号線、補助第230号線など事業中路線の早期開通に向けて全力で取り組んでいく」
放射第7号線に用意されたセレモニー会場へ移動し、はさみ入れ、くす玉開きが行われました。
引き続いて通り初めが行われ、開通式は終了しました。
通り初めの動画です。
西側区間を歩きます。幅員25m、車道は11mの2車線道路です。環境に配慮した低騒音舗装を整備しています。
歩行者通行帯と自転車通行帯の間に植栽帯を設け、構造分離した7mの空間を車道の両側に備えています。安全な通行を確保するとともに、歩道植栽により良好な道路環境を創出します。電線共同溝の整備により無電柱化されています。
4時間後の開通に向けて準備が進みます。
開通区間を折り返してきた通りぞめの車両が通ります。
西側区間の端に着きました。先は供用している西東京3・3・14号に接続し、調布保谷線(伏見通り)に至ります。安全対策として、交差部の一部にカラー舗装(滑り止め)を整備しています。福泉寺通りとの交差点で、将来は信号機を設置する予定です。
先は伏見通り。交差点の左右に福泉寺通りが通る
今回の開通により、放射第7号線に並行する生活道路の混雑が緩和され、歩行者や自転車の安全性や利便性が向上すると見込まれます。伏見通りとつながることで東京外かく環状道路(外環道)や調布保谷線と連絡し、交通の円滑化やアクセス性の向上が図られます。また、歩道植栽や電線類の地中化による良好な道路環境が期待できます。
■開通区間の概要
区間:練馬区西大泉二丁目~同区西大泉五丁目
延長:2.0km(今回は暫定1.0km)
費用:2006年度~2027年度(予定)
事業費:約243億円