東急株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東京地下鉄株式会社は、渋谷駅街区計画への理解を深めてもらうことを目的に、渋谷区在住または区内の学校に通う学生を対象とした「工事見学ツアー〜渋谷駅街区計画の“最終章”を体感しよう!〜」を2025年9月15日に開催しました。
渋谷の街はこれまで幹線道路や鉄道によって分断されてきましたが、各事業者が連携し、回遊性の高い動線整備を進めています。ツアーでは、銀座線渋谷駅直上に位置する「東口4階スカイウェイ(仮称)」と、施工中の「西口地下タクシープール」を見学しました。東口4階スカイウェイはこれまで報道関係者向けに公開されてきましたが、一般向けの工事現場公開は初めてで、抽選で選ばれた学生78名が参加しました。
参加者はまず、渋谷駅の歴史や渋谷駅街区計画の概要、工事の進捗について事業者から説明を受けました。
渋谷駅街区計画の事業説明を聞く参加者
渋谷駅街区計画は2010年頃から検討が進められ、豪雨による浸水対策として約4,000m³を貯留できる東口雨水貯留施設の整備や、乗換の利便性向上のために埼京線や銀座線のホーム移設を実施しました。2019年には渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)が開業しています。
駅の機能や都市基盤施設が段階的に整備される2030年度〜2034年度を、「まちびらき最終章」と位置づけています。2030年度には、長年移設を繰り返してきた通路や駅設備など渋谷駅改良工事が完了する予定です。あわせてJR線・銀座線コンコースの完成により、渋谷スクランブルスクエア中央棟と接続する「東口4階スカイウェイ(仮称)」や、西棟西側に整備される「西口3階上空施設(仮称)」の一部が完成し、東西南北を結ぶ2〜4階レベルの歩行者ネットワークが誕生します。
スクランブル交差点方面からの視点(完成予想図) 出所:東急株式会社
2031年度には渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期(中央棟・西棟)が完成し、商業フロアは第Ⅰ期(東棟)とあわせて1フロア最大約6,000m³となる首都圏最大級の商業施設になります。ハチ公広場などを含む全体の完成は2034年度を予定しています。
宮益坂交差点方面からの視点(完成予想図) 出所:東急株式会社
見学として、まずは工事が進む東口4階スカイウェイへ向かいます。銀座線ホーム直上に位置する全長約120m、幅約8mの空中回廊で、完成すると道玄坂上から宮益坂上までデッキ上で行き来できるようになります。
宮益坂交差点から見る、4階東口スカイウェイと渋谷スクランブルスクエア東棟(中央)
4階東口スカイウェイの橋上にあがり、宮益坂交差点方面からスクランブル交差点方面へ歩きます。
宮益坂交差点側から臨む工事中の4階東口スカイウェイ
恵比寿方面には、国道246号線に架かる歩道橋「東口デッキ」を見ることができます。
4階東口スカイウェイから見る東口デッキ
現在の状態を、同じ位置から見た完成予想図と比べます。中央棟4階とハチ公広場をつなぐ「西口アーバン・コア」の屋根が目をひきます。
西口アーバン・コアに接続する4階東口スカイウェイ(現在)
西口アーバン・コアに接続する4階東口スカイウェイ(完成予想図) 出所:東急株式会社
スクランブル交差点方面の先端に立つと、西口アーバン・コアとなる箇所を間近に見ることができます。かつては東急百貨店東横店があった場所で、建物内部にあって外からは見ることができなかった銀座線の渋谷駅と車庫を結ぶ線路も確認できます。
4階東口スカイウェイから見るスクランブル交差点方面の先端
移転前の銀座線ホームの痕跡が残されていて、壁には当時の案内表示を見ることができました。
移転前の銀座線ホームと壁(左側)
工事が進む渋谷駅を抜けて、西口へ移動します。
各所で工事が進む渋谷駅
扉を通り、地下へ向かいます。西口の地下エリアは線路や通路が立体的に交差する複雑な工事箇所です。
西口の地下エリアにつながる扉
西口地下エリアには、タクシープールとして活用される予定の場所が確保されています。地上部の工事進捗に合わせて壁面が取り除かれ、地上とのアクセス路が整備されます。完成時には最大約40台のタクシーが待機できる空間になる予定です。
西口地下タクシープール予定地 提供:渋谷駅街区共同ビル事業者
渋谷駅前エリアマネジメント協議会事務局より、動画「【渋谷駅街区計画、最終章へ】完成予想図」が公開されています。
2034年度までには「ハチ公広場」「東口地上広場」「中央棟4階広場(JR線路上空)(仮称)」「西口3階上空施設(仮称)」「中央棟10階広場(仮称)」の計約20,000m³の5つの広場空間が誕生します。これらの広場は世界有数の大規模ターミナル駅である渋谷駅直近に位置し、非常時の一時避難場所としての機能も持ちます。
事業者は「工事期間中は動線変更などで不便をかけるが、安全を最優先に早期完成を目指す。本計画は駅とまちが一体となった都市再生のモデルであり、にぎわいと交流を生む拠点として駅前空間を整備し、渋谷の成長に貢献していく」とコメントしています。