勝島ポンプ所は、品川区勝島で建設が進められている東京都下水道局の下水処理施設。隣接している鮫島ポンプ所や浜川ポンプ所の処理能力の増強と、閉鎖的な水域である勝島運河の水質改善のために建設されています。
東京都下水道局が主催する「下水道施設見学ツアー」の一部として、整備が進む勝島ポンプ所を見学しました。
普段、目に触れる機会の少ない下水道施設や下水道工事の現場を見学ために、東京都下水道局が初めて開催したバスでの下水道施設見学ツアー。100名の定員に対して7倍の応募がありました。
下水道は、下水道管・ポンプ所・水再生センターの、3つの重要な施設で成り立っています。そのうちのひとつである下ンプ所を見学するため、4班に分かれたうちの1班は、「三河島水再生センター」「勝島ポンプ所 工事」「勝島ポンプ所流入管渠(りゅうにゅうかんきょ)」とまわります。
飲み水となる水道水は、圧力によって、上下左右自在に水道管の中を流れることができます。一方、トイレや風呂などから流される汚水は、圧力をかけることができないため、地中の下水管を低い方へと流れます。雨水や汚水などの下水を、処理する水再生センターまで流れる間に、再び地表の近くまで吸い上げる役割を持つのがポンプ所となります。
配布資料より引用
東京都区部の約85%の地域では、空から降る雨水と家庭や会社から流れる汚水とをいっしょにして流す合流式下水道になっています。雨水はすぐに流れるという利点があるものの、下水やゴミなどが河川や海へ流れるという欠点もあります。現在、東京都では、雨水と下水とを分けて処理する方法を推進しています。
勝島ポンプ所は、雨水を処理する「雨水ポンプ棟」と汚水を処理する「汚水ポンプ棟」の2つの建物からなっています。下水は処理された後、隣接する京浜運河へと流されます。
配布資料より引用
勝島ポンプ所の中央には、首都高速1号線が通ります。
左手に汚水ポンプ棟を見ながら、首都高速1号線の下をくぐり、雨水ポンプ棟へと移動します。
まずは、階段を下りて「放流渠(ほうりゅうきょ)」へと移動します。処理されたきれいな下水を、京浜運河へと流すための水路です。
先は、流れの元となる汚水ポンプ棟へと続いています。
先は、流れの先となる京浜運河へと続いています。
壁を越えると京浜運河になります。工事が完了する際には壁が取り壊され、稼働すると立ち入ることができなくなります。
地上の階へ戻ります。完成すると「沈砂池室(ちんさちしつ)」となります。真下にできる沈砂池という池を雨水がゆっくりと流れることで、大きなゴミは取り除かれます。
同じく階には「電動機室」や発電機室が用意されています。地下約24.8mのポンプ井に貯められた雨水を、地上の高さにある沈砂池室まで吸い上げるための7台の雨水ポンプやガスタービン発電機が設置されます。
雨水ポンプ棟の屋上へ移動して、周囲を見渡します。首都高速1号線や東京モノレールを見ることができます。
汚水ポンプ棟があり、運河を越える橋の先には鮫洲ポンプ所があります。
再び地下へと移動します。「勝島ポンプ所連絡管渠」があり、雨水ポンプ棟と汚水ポンプ棟とを結びます。
トンネルの一部が管理のために使われます。先は、汚水ポンプ棟となります。
写真提供:div id=”photo”様
地下約20mにある、汚水ポンプ棟の地下4階「汚水ポンプ室」へと出ました。
壁にある、直径1,100mmの「汚水ポンプ井」から下水が流れてきます。
汚水ポンプ棟は地下6階まであり、下には排水ポンプ室があります。3台の汚水ポンプが使われます。
天井にある、直径1,500mmの「汚水送水幹線」である勝島幹線へと下水が吸い上げられていきます。
「水道施設見学ツアー 勝島ポンプ所 工事」はここまでとなります。
勝島ポンプ所が完成すると、鮫島ポンプ所や浜川ポンプ所の処理能力の増強と、閉鎖的な水域である勝島運河の水質改善が望まれます。
浸水対策の推進や合流式下水道の改善となるポンプ所が、今後も整備されていくことを願います。
公式:東京都下水道局