首都高講座は、首都高速道路における工事の現場や施設、車両などを見学できるイベントです。
2019年9月20日、66限目の「開通間近の小松川JCTを歩いてみよう!」が行われました。
「首都高講座 66限目:開通間近の小松川JCTを歩いてみよう!」では、現場を歩いて雰囲気を身近に感じながら、整備が進む小松川JCTと中環小松川料金所の工法や開通効果を学びます。
参加者は首都高速道路の小松川工事事務所へ集合、13時より開始となります。抽選に応募した約300名の中から、当選した18歳以上の約30名が参加しました。
事務所で概要説明を受け、工事のビデオを鑑賞します。
小松川JCT新設は、堀切・小菅JCT間改良、板橋・熊野町JCT間改良と合わせた中央環状線機能強化事業のひとつとして進められています。2010年3月に都市計画決定、2013年11月に工事着手しました。
首都高のC2中央環状線と7号小松川線は上下で交差しているものの、これまで接続していませんでした。そのため、埼玉方面と7号小松川線の千葉方面を行き来する場合は、経由するために交通量の多いC1都心環状線を通過する必要がありました。
小松川JCTで7号小松川線とC2中央環状線が接続し、同時に小松川出口と新設の中環小松川入口が整備されることで、C1都心環状線を通過することなく埼玉方面と7号小松川線の千葉方面を行き来できるようになります。ただし、7号小松川線の千葉方面からC2中央環状線のB湾岸線方面、C2中央環状線のB湾岸線方面から7号小松川線へはアクセスできません。
今回の小松川JCT新設では3つの整備を行いました。
A:C2中央環状線の埼玉方面と7号小松川線の千葉方面を結ぶ連結路を設置
B:既設の小松川入口(7号小松川線上り・都心方面行)の隣に、中環小松川入口(C2中央環状線内回り・埼玉方面行)を新設
小松川出口は分岐が右側から左側に変更
C:これらの整備に伴い小松川線沿道の附属街路第3号線、第4号線の道路を拡幅
入口部分イメージです。
7号小松川線で都心方面へ向かう場合は右側、赤色の看板と路面で示された既設の「小松川入口」を進みます。C2中央環状線で埼玉方面へ向かう場合は左側、青色の看板と路面で示された新設の「中環小松川入口」を進入します。
バスで小松川JCT付近へ移動します。配布されたヘルメット、軍手、インカムを身につけ、歩いて中環小松川入口からC2中央環状線内回り・埼玉方面への連絡路を進みます。
勾配を上ります。上部にはETCの路側アンテナが設置されます。
7号小松川線の千葉方面からC2中央環状線へ向かう連絡路と、中環小松川入口からC2中央環状線へ進入する連絡路が合流する箇所です。
C2中央環状線へ向かう連絡路から小松川JCTを一望します。
小松川JCTは荒川と中川に挟まれた中堤と呼ばれる中洲上にあり、連結路の大部分は河川の上に構築されています。河川上を通過する部分を河川部、それ以外を陸上部としてそれぞれ工事を進めました。陸上部の工事着手は2014年9月、河川部の工事着手は2013年11月です。
陸上部の工事は連絡路の構築、小松川出口の付け替えと中環小松川入口の建設、路面のノージョイント化、区道付け替えなどです。
連絡路を構築するため、RCコンクリートの橋脚を22基新設、橋脚構造変更で既設橋脚を2基改築しました。
構造変更した入口付近のBP18橋脚(入口部分イメージの次の写真)やBP19橋脚(上の写真)を見ると、色の差により再構築部分が判別できます。既設の橋脚の上には7号小松川線が載っているため、橋脚の前後に仮受けする設備をつくり7号小松川線の荷重を受け換えた後、橋脚の横梁を撤去して鉄筋をつなぎ再構築しました。7号小松川線の上りから小松川JCTに分岐してくる辺りで拡幅量もそれほど多くないということと、BP18橋脚とBP19橋脚の直下に中環小松川入口があり桁下に新しい橋脚を建設する空間がないことにより、既設の橋脚を構造変更しました。
路面のつなぎ目となるジョイントをなくすことで、ショックのないスムーズな走行を実現し、騒音や振動を低減します。また、ジョイントは経年劣化するため取り換えが不要になると、補修工事に伴う渋滞を減らすことが可能になります。
区道付け替えとしては街路整備を行ないました。路上に駐車車両があっても緊急車両も通過できる幅を確保しています。
河川部の工事は、増水の危険があるため6月からの10月の出水期に施工できないなど、陸上部と比べ制約が多い中で進められました。
連絡路を構築するため橋脚を6基新設、橋脚構造変更で既設橋脚を12基改築しました。
P82橋脚は既設の単柱橋脚に横梁を増設、ラーメン橋脚化して連結路を支持しています。
新設したP1橋脚とP2橋脚は中堤上で地組みし、多軸台車にて架設位置まで移動した後、リフター2台で所定の高さまでリフトアップしました。クレーンを使用しなかったのは、中央環状線が妨げになったためです。
中央環状線の耐震補強は以前から行われていましたが、耐震性能を上げるため既設構造改良も行われました。
C2中央環状線へ向かう連絡路を進みます。
中環小松川料金所まで300mあることを示す案内板が掲示されています。
緊急のときに使用する非常電話は、簡単な操作で交通管制室につながります。
連絡路を進み、C2中央環状線の上部を渡ります。
左側のフェンスは車両から路外への積荷など落下物防止、右側のフェンスは車両から路外への投棄など落下物防止と持つ意味が違うため、それぞれ強度が異なっています。
連絡路の左手には、C2中央環状線のB湾岸線方面を一望できます。
連絡路の右手には7号小松川線の千葉方面を望めます。一番左側の車線が新たに設置する付け替え後の小松川出口です。左手前のC2中央環状線から流入した車が負担なく小松川出口を利用できるようにするため、出口の車線を右側から左側へ付け替えます。既設の小松川出口は閉鎖となりますが、小松川入口と一体構造となっているため、撤去せず残ります。
荒川を渡る国道14号の小松川橋や東京スカイツリーが視界に広がります。連絡路の先には中環小松川料金所が見えてきました。
7号小松川線からC2中央環状線へ流入する際に通過する中環小松川料金所です。料金を収受する収受室、収受員が休憩や仮眠する生活室、上階には収受員が車道間を移動する連絡階段が備わっています。
料金所を通過すると、C2中央環状線の埼玉方面に合流します。
「首都高講座 66限目:開通間近の小松川JCTを歩いてみよう!」はここまでとなります。
小松川JCTが開通することで埼玉方面への交通が分散され、両国JCT付近の渋滞解消が見込まれます。また、埼玉新都心方面に向かう場合も、両国JCT経由ルートと中央環状線経由ルートの空いている方を選ぶことができるようになります。これまで乗り継ぎのために利用されていた平和橋通り、国道14号など周辺一般道路の混雑緩和も期待されます。
小松川JCTは2019年12月1日17時に開通します。