圏央道(首都圏中央連絡自動車道)は、首都圏中心部から半径約40km〜60kmの位置に環状として計画されている、延長約300kmの高速道路です。
千葉県東金市で建設中の、圏央道の一部となる八幡高架橋にて「八幡高架橋 800トン吊りクローラークレーン」が行われました。
八幡高架橋(やはたこうかきょう)は、すでに開通している千葉東金道路と、2013年度の完成を目指して工事が進む圏央道の東金IC(とうがねインターチェンジ)〜茂原長南IC(もばらながなんインターチェンジ)の間に架けられる橋梁です。
あらかじめ別の場所でつくられた橋桁を国道126号に置き、800トン吊りクローラークレーンで吊り上げ、90度回転させて設置、圏央道となる199mの橋梁を一晩のうちにつくります。クレーンは、6日間かけて組み立てられました。
道路の中央には橋桁とクレーンが準備されています。国道126号では交通規制が行われ、工事は21時頃から5時30分頃まで行われる予定となっています。
橋桁は長さ約35m、重さ約235.6トンです。接続された2台の重量運搬台車の上に載っています。
重量運搬台車には1台あたりタイヤが96個、2台で合計192個のタイヤが備わっていることになります。
重量運搬台車の運転は、周囲の作業員と無線による交信をしながら行います。
重量運搬台車に載せられた橋桁は横へと移動します。
800トン吊クローラークレーンや、橋桁のすぐそばにある550トン吊トラッククレーンのほか、120トン吊トラッククレーン・65トン吊ラフタークレーン・25トン吊ラフタークレーンと、大小様々なクレーンが使用されていました。
クレーンのワイヤーが張られ、橋桁を吊り上げる準備が進みます。
23時頃、800トン吊りクローラークレーンによる吊り上げが始まりました。
橋桁は吊り上げられると同時に、圏央道の方向に合わせて角度を90度、回転していきます。
圏央道となる橋桁の接続部分でも、多くの作業員が待機していました。
23時30分頃、据付けが完了しました。この後は、ボルトを使っての連結作業へ進みます。
橋桁を吊り上げた800トン吊りクローラークレーンは、カウンターウエイトという重りを調整することにより、バランスを取ります。
800トン吊りクレーンの腕の長さは54.86m。800トンの重さのものを吊り上げることができるのは、腕の長さをもっとも短くしたときです。バランスを取るために、腕の長さは伸ばせば伸ばすだけ、吊り上げることのできる重さが減っていきます。
重さ約235.6トンの橋桁を吊り上げるためには、800トン吊りクローラークレーンが必要となります。
今回の800トン吊りクローラークレーンによる作業に携わった作業員の方々は、約80名です。800トン吊りクローラークレーンは全国に約10台あり、年間では5件ほどの作業があります。
ここにて「八幡高架橋 800トン吊りクローラークレーン」は終了となります。
NEXCO東日本により、地域の人々や一般の人に見やすい位置で見学できるようになっていて、お菓子や飲み物を自由に手に取ることができる休憩施設が用意されていました。
八幡高架橋を含む圏央道の千葉区間が完成すると、東京湾アクアラインを利用した神奈川方面と千葉方面へのアクセスが向上します。
都心に用事のない、通過するだけの車が約6割もある現状を打破するための圏央道。CO2の削減など、最終的に自然環境を守るという観点からも、順調な整備が期待されています。