東京外かく環状道路 中央JCT(北側ランプ)現場見学会

外環道(東京外環自動車道)

東京外かく環状道路は、都心部から半径約15kmの位置に、環状として整備が進む延長約85kmの道路です。2018年5月29日、国家公務員一般職試験1次試験受験予定者・既合格者を対象にした中央JCTの現場見学会が行われました。

一般道路の国道298号と高速道路を合わせて「東京外かく環状道路」、高速道路の路線を「C3東京外環自動車道(外環道)」と呼びます。外環道は現在、大泉JCT─中央JCT(仮称)─東名JCT(仮称)を結ぶ約16.2kmの整備が進んでいます。完成すると、E1東名高速道路(東名高速)、E20中央自動車道(中央道)、E17関越自動車道(関越道)がつながります。

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資料:国土交通省
東名高速から関越道まで、現在は環状八号線を利用して約60分かかっていますが、外環道を利用すると約12分で移動できるようになります。

2017年2月19日にシールド機発進式・シールド機公開(東名JCT)が行われ、2機のシールド機が東名JCTから大泉JCTへ向けて本線トンネルの掘削を開始しました。2019年には新たな2機のシールド機により、大泉JCTから東名JCTへ向けて掘削を開始する予定です。

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資料:東京外環プロジェクト
中央JCTでは、外環道の本線トンネルと中央道などをつなぐ連結路(ランプ)の整備が進んでいます。本線シールドトンネルとランプシールドトンネルをつなぐ地中拡幅部は断面が大きく、大深度地下において地下水を有する地盤内に非開削で構築する必要があるため、世界でも類をみない高難度の工事になります。

中央JCTの地中では、地下40mに外環道と中央道が交差するジャンクションのランプを8本構築します。

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非常に工事の規模が大きく、JVの工区は複雑に絡み合っています。

中央JCTの北側ランプでは地下に横幅257.0m、奥行約80m、深度20〜30mの巨大な躯体を構築します。主な工程は掘削範囲の土留め壁の構築、地上部に掘削の作業台となる桟橋を構築、掘削、躯体工事、埋め戻しです。

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躯体をケーソン部と開削部の11区画に分けて施工します。そのうち立坑2区画と掘削深度が30mを超える1区画の計3区画をニューマチックケーソン工法で、浅い8区画は開削工法で構築します。

ニューマチックケーソン工法は、ケーソンと呼ばれる鉄筋コンクリート(RC)造の大型の箱(函体)を地上で構築しながら、自重で沈下させていく工法です。水中では逆さまに沈めたコップ内の空気圧と水圧が均衡して水が入ってこない原理を応用したものです。地下水の汲み上げを必要としないため、周辺の地盤や井戸への影響を小さくできるメリットがあります。

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開削工法は、地盤を地表から直接掘削していきます。支保工で土留めしながら重機で掘り進め、最下部まで掘削した後に底版と側壁の順に、下からコンクリートを打設して躯体を構築します。

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躯体を構築する箇所は、武蔵野れき層で地下水に富み貴重な水源のひとつであるため、地下水の保全措置が必要になります。

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地下水流動保全設備として、躯体の東西に大口径の井戸と、地下に両者を結ぶ水路トンネルを構築します。上流側の集水井戸で集めた地下水を躯体の下部を通し、涵養(かんよう)井戸で再び下流側に流すことで、工事前と変わらない地下水の流れを確保します。

中央JCT全体を架設された高台から見ます。

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パネルなど多くの資料や写真を展示しています。

中央JCTの北側ランプのうち、開削工法が進む地下へ移動します。

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複雑に組まれた土留めのための約10,000トンの支保工で、土砂を掘削した地下空間を支えています。

最下部までの掘削を終え、下からコンクリートを打設して躯体を構築しています。

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■工事の概要
工事名:東京外環中央JCT北側ランプ工事・東京外環中央JCT北側ランプ函渠工事・東京外環中央JCT北側ランプ改良工事
発注者:国土交通省 東京外かく環状国道事務所

公式:東京外環プロジェクト