城北中央公園調節池(一期) 工事

河川

石神井川が流れる地域を大雨による水害から守るため、都立城北中央公園の地下に洪水を貯留する調節池を整備しています。
工事が進む城北中央公園調節池を2022年5月30日に取材しました。

台風や集中豪雨による大雨の水害を防ぐことを目的に、東京都では河川の整備による治水対策を進めています。
1980年から1989年までの10年間に東京都内で発生した1時間あたり50mmを超える降雨は20回でしたが、2010年から2020年は63回と3倍近くの発生回数になっています。2010年7月5日の集中豪雨では板橋区観測所で1時間あたり114㎜の雨量を観測し、石神井川流域にて家屋浸水が発生しました。

東京都はこれまで1時間当たり50mmの降雨に対応する整備を進めていましたが、昨今の状況を鑑みて、現在は75mmに引き上げて整備しています。1時間あたり50mmの降雨までは河川で対応し、50mmを超える降雨については調節池などで対応します。

石神井川は荒川水系の一級河川で、東京都小平市から西東京市、練馬区、板橋区、北区を東へ流れて、隅田川に合流します。河川延長は25.2kmです。現在、石神井川の護岸整備は約76%完了しています。

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資料:戸田建設

練馬区と板橋区にまたがる都立城北中央公園に沿って、石神井川が流れます。大雨の際は、石神井川の水を地下に造った調節池に一時的に流し込みます。調節池の工事が完成した後は上部を公園として整備します。

工事はニューマチックケーソン工法を採用しました。和訳するとニューマチック(pneumatic)は空気、ケーソンは(caisson)は大型の箱になります。ケーソンと呼ばれる鉄筋コンクリート構造物を地上に造り、ケーソン下部に機密性の高い作業室を設けて、空気圧により地下水の侵入を防ぎながら掘削し地下に沈める工法です。2函のケーソンを隣接して構築し、最後に接続します。2函のケーソンを同時に沈下させる工事としては日本最大級になります。

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資料:戸田建設
風呂の浴槽で、空気が入った状態の洗面器をお湯の中に沈めても、洗面器の中にお湯が入ってくることはありません。空気の圧力で、お湯の侵入を防いでいるためです。この原理を用いたのがニューマチックケーソン工法で、洗面器の中が作業室、洗面器の縁がケーソンの刃先にあたります。

城北中央公園調節池の工事は、計画を2期に分け、現在は一期工事に着手しています。一期工事は、1号ケーソンと2号ケーソンの2函を構築します。
一期(今回工事)
貯留量:約9万㎥(25mプール約300杯分)
敷地面積(ケーソン占有面積):約0.6万㎡
全体
貯留量:約25万㎥(25mプール約800杯分)
敷地面積(ケーソン占有面積):約1.6万㎡
工事ヤード面積:約2万㎡
形式:地下箱式
構造:鉄筋コンクリート造

工事は底版構築、艤装(ケーソン設備設置)、掘削沈下、掘削・沈下・構築、ケーソン内部構築、ケーソン間接続と進みます。今は掘削・沈下・構築を繰り返す作業が行われています。

まず、ケーソンの外周に鋼矢板を打設して掘削、ケーソンの自重で地盤に切り込むための刃口を設置して、底版の下に作業室となるケーソン土台(土砂セントル)を構築します。

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資料:戸田建設

コンクリートでケーソンを1リフト構築します。ケーソンの最下部に設置する刃口により、ケーソン自重で地盤に切り込みます。作業員がケーソンの作業室に出入りするマンロック、資材の投入や土砂を搬出するマテリアルロック、資材を運ぶタワークレーンなどを設置します。

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資料:戸田建設

土砂セントルを取り除いて作業室にします。圧縮した空気を作業室に送ることで地下水の浸入を防ぎつつ、ケーソンショベルで掘削します。掘削した土砂を搬出すると、ケーソン自身の重みで自然に沈下していきます。

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資料:戸田建設

掘削と沈下、コンクリートの構築を繰り返すことで、ケーソンが完成します。ケーソンが地下15mに到達した後は作業室の圧力が高くなり、人間による長時間の作業ができなくなるため、地上にある遠隔操作室でパソコンによる掘削作業を行っています。

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資料:戸田建設
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資料:戸田建設
2022年6月23日現在、1号ケーソンと2号ケーソンの沈下量はいずれも27.7mに到達しています。全9リフトのうち、9リフト目を構築中です。

ケーソンが最終となる深さ38.3mまで沈下した後、1号ケーソンと2号ケーソンを行き来できるように接続します。また、調節池の中を管理するための歩廊、増えた川の水を流し込むためのスロープや取水口を構築します。

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資料:戸田建設

作業ヤードへ移動します。一期工事を進める間、二期工事の予定地を資材置き場として活用します。約150名が働く現場となります。

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2号ケーソンに隣接して、昇降階段、土砂搬出口があります。

昇降階段を上り、2号ケーソンから1号ケーソン方向を望みます。スケータークレーンで、マテリアルロックから土砂バケットが搬出されています。土砂バケット1杯で約1㎥の土砂を排出することができます。

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土砂ホッパを通して、一日約120台の10tダンプトラックで土砂が搬出されます。

石神井川側へ移動し、石神井川側の2号ケーソンより1号ケーソン方向を見ます。

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コンクリートを流し込む作業が進められています。一期工事全体では約23万tのコンクリートが使用されます。
写真右側の黄色い型枠が設置されている箇所は、調節池の取水口になります。

作業員が地下の作業室を出入りするマンロックには梯子が備わっています。

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石神井川下流側の作業ヤードには、ケーソン計測管理室の建屋を確認できます。

ケーソン計測管理室へ移動します。

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専門の作業員により、パソコン操作でケーソンの内部掘削が行われています。

天井走行式ショベルを操作して作業室内を掘削します。ケーソンが完全に沈下した後、作業室内には中埋めコンクリートで埋められます。

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工事について、戸田建設の鈴木雅博作業所長は次のように述べました。「近年、頻発化する豪雨により、石神井川における地域の安全性を向上させるため、都立城北中央公園の地下に洪水を一時的に貯留する調節池の整備は重要であると考える。現在、日本最大級の大型ニューマチックケーソン2函同時沈下で慎重に掘削を進めているところである。地域の安全・安心のために、早期の供用開始を目指しチーム一丸となって工事を進めていく」

一期工事(土木)の完了予定は2024年(令和6年)10月です。その後、建築・設備工事などを進め、2025年度(令和7年度)に調節池の第一期分が完成する予定です。また、二期調節池整備後に地上部は公園として整備する予定です。

工事の概要は以下の通りです。
工事件名:城北中央公園調節池(一期)工事その2
工期:2018年(平成30年)10月9日〜2024年(令和6年)10月4日(予定)
発注者:東京都(第四建設事務所)
受注者:戸田建設株式会社 首都圏土木支店
施工場所:都立城北中央公園
工事内容:ニューマチックケーソン工(1号、2号ケーソン)
ケーソン形状(1号、2号ケーソンとも)
幅33.4m×延長80.3m×高さ35.3m
ケーソン内部構築工
ケーソン間接続工
取水口工
総事業費:約230億円