スケールにびっくり! 新東名の建設現場を⾒て学ぼう!(山北スマートIC・河内川橋)

 新東名(新東名高速道路)

 子どもたちに高速道路を身近に感じてもらうため、NEXCO中日本 東京支社では小学生とその保護者を対象とした夏休み親子見学会「ハイウェイみて!みて!ツアーズ」を毎年夏休み期間に各所で開催しています。2023年は新東名の建設現場見学を中心に、はたらくクルマの体験乗車など7コースが行われました。そのうちのひとつ、7月末に開催された「スケールにびっくり! 新東名の建設現場を見て学ぼう!(山北スマートIC・河内川橋)」に参加しました。

 新東名(E1A新東名高速道路)は、海老名南JCT─豊田東JCT間を結ぶ延長約253kmの高速道路です。建設中の新秦野IC─新御殿場ICの約25kmが完成すると、新東名は全線開通になります。新秦野IC─新御殿場ICの間には山北スマートIC、小山PA・小山スマートICを設置します。

photo新東名の工事区間に関する広域地図 資料:NEXCO中日本

 この日の見学会は、秦野工事事務所が管轄する約14.2㎞の区間の一部となる山北スマートIC、河内川橋、松田事業PR館から中津川橋の建設現場を見ます。

photo新東名の工事区間に関する詳細地図 資料:NEXCO中日本

 河内川橋と山北スマートICの完成予想図です。トンネルとトンネルの間に、橋梁とスマートICを構築します。

photo河内川橋と山北スマートICの完成予想図 資料:NEXCO中日本

 参加者はまず、山北スマートICの予定地へ移動し、高台から神奈川県方面に広がる建設現場の説明を受けます。
山北町で唯一となる高速道路への出入り口になります。本線直結型で、東京方面へのハーフインター型式、ETC搭載車専用です。国道246号にアクセスする県道山北藤野線に接続します。開通することで、山北町や県西部地域における広域的な地域活性化が期待されます。

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photo山北スマートICの完成予想図 資料:NEXCO中日本

 新東名の工事で発生した土砂の盛土上部に山北スマートICを設置します。盛土は高さ約80m、約320万m³で、東京ドーム約2.6杯分に及びます。

 施工にあたっては3Dレーザースキャナやドローンを使った測量、マシンガイダンス・マシンコントロール重機を使った施工、点群データを用いた検査など、測量・設計から施工・検査に至るまですべてのプロセスでICT(情報通信技術)を活用しています。これにより、建設業の人手・熟練工不足の解決や、保全業務の効率化など様々な効果を享受できます。

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 現場で使用している40tダンプトラック(ボルボA40Gアーティキュレートダンプトラック)に触れることができ、運転席に試乗した参加者からはその大きさに驚く声が続きました。

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 高台の真下には、神奈川県と静岡県を結ぶ谷ヶ山トンネルの坑口があります。2019年に催された学生向けの現場見学会では、谷ヶ山トンネルの内部を見ることができました。

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 河内川橋の建設現場へ移動します。
 河内川橋は、丹沢山地の急峻な谷に流れる河内川を跨ぐ、多径間連続鋼・コンクリート複合バランスドアーチ橋です。バランスドアーチ橋としては日本最大の規模となります。河内川橋の上下線と他1橋の上下部工を施工しています。急峻かつ狭隘な地形で資材や車両を運搬するため、インクラインと呼ばれる巨大なエレベーターや工事用トンネルを設けて工事を進めています。

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 河内川橋の完成予想図です。橋長は上り線約771m、下り線約692m、橋脚両岸の間隔は約220m、河内川からの高さは約125m、河川両岸のアーチを支える橋脚の高さは最高で88mになります。

photo河内川橋の完成予想図(左が東京側) 資料:NEXCO中日本

主要工事諸元は以下の通りです。 
・河内川橋(上り線):鋼コンクリート複合8径間連続バランスドアーチ橋/
 橋長771.0m、橋脚7基、橋台2基、大口径深礎杭、深礎杭、場所打ち杭
・河内川橋(下り線):鋼コンクリート複合7径間連続バランスドアーチ橋/
 橋長692.0m、橋脚6基、橋台2基、大口径深礎杭、深礎杭、場所打ち杭
・河内川第二橋(下り線):PRCポータルラーメン橋/
 橋長22.5m、橋台2基、深礎杭

 アーチの付け根となる基礎は大口径深礎杭を採用。深さ約30mの立坑を掘削、直径16mの基礎を打ち込んで、その上に約20mの橋脚を施工しました。

photo工事に関する詳細図 資料:NEXCO中日本

 東京側となる左岸側P2橋脚へ移動します。急峻な崖を昇降する日本最大級のインクラインで、橋の上部へ昇ります。

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 工事の資材などはトラックに積載したまま、橋の下を通る県道から橋の上部へ運搬します。インクラインは、車が4台乗る約20m×約8mの台に、重量約90tまで積載することができます。

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 見下ろすと、河内川を確認できます。

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 インクラインで上昇し、7分ほどでアーチの下部に到着しました。

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 両側からアーチが構築されていることを見ることができます。

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 静岡県方面の右岸側P3橋脚です。右岸の崖上には、P3橋脚へのアクセスのために全長230mの工事用トンネルを設け、急峻な地形への対応と工程短縮を図っています。

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 河内川橋の全体を見渡せる場所まで徒歩で階段を進みます。

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 橋の床組を支える補剛桁は鋼製で軽量化し、架設時には引張り水平材として兼用します。架設に必要な斜吊材についは、一部を完成後のケーブルとして利用します。

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 河内川橋の左岸から全体を見渡します。アーチ部は、橋の両側からアーチを伸ばす張出し架設で進めています。先端に移動作業足場を設置し、3か月ほどかけて構築した約6.5mのコンクリートブロックを張り出し両側それぞれ16ブロック施工することで架設を進め、最後に中央をつなげてアーチが完成します。アーチ部分の構築後、アーチの上に柱を設置し、その上部に鋼製の桁を設置します。床版や壁高欄などを設置して完了となります。

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 最後に約1時間ほど移動し、高松トンネルと中津川橋の建設現場にほど近い、松田事業PR館に到着しました。トンネル部材を使ったアーチが出迎えてくれます。

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 PR館にはツアー型VR映像が備わっていて、老若男女問わず楽しみながら工事過程を体験できます。

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 中津川橋は中津川を跨ぐ、プレストレスト・コンクリート(PC)3径間連続エクストラドーズドバタフライウェブ橋。エクストラドーズドバタフライウェブ橋とは、主塔と斜材により橋桁を支え、桁の側面を蝶型にして重量を軽減することで橋脚の間隔を長くした橋です。

photo中津川橋の完成予想図 資料:NEXCO中日本

 橋長は上り線約268m、下り線約278mとなっています。

 松田事業PR館のデッキからは、高松トンネルの坑口と中津川橋を一望できます。この区間は多数の断層面が密集する断層破砕帯で、地質がもろく、新東名の工事において最も困難な場所になります。

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 中津川橋に隣接して、高松トンネルの坑口があります。高松トンネルは掘削した直後に内部を固めて構築しています。断層面の影響により、中津川橋の下り線は橋桁の一部が高松トンネル内に入り込むため、上り線と比べて坑口が大きくなっています。

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 今回見学した区間を含む新秦野IC─新御殿場IC間はの工事進捗率は約8割です。安全を最優先に工事の促進を図り、2027年度の開通を目指すとしています。

■工事の概要
 ・河内川橋
  発注者:NEXCO中日本
  受注者:鹿島建設・大成建設JV
 ・川西工事
  発注者:NEXCO中日本
  受注者:清水建設・岩田地崎建設JV