新東名 川西工事(塩沢工区)現場見学

新東名(新東名高速道路)

NEXCO中日本は、内閣府男女共同参画局が中心になって進めている「理工チャレンジ(リコチャレ)~理系のお仕事を体感しよう!~」の一環として、中学・高校生向けの現場見学会を開催しています。
リコチャレのひとつとして、新東名の工事現場などを巡る見学会「夏のリコチャレ2019 現場見学会」が2019年8月28日に行われました。

リコチャレは内閣府・文部科学省・日本経済団体連合会が共催する、理工系分野に興味がある女子学生の進路選択を応援する取組みです。女性向けではありますが、男女を問わない見学会もあります。

この日の見学会では、男子中高生10名が参加しました。若手社員やドボジョ(土木系女子)と呼ばれる土木建設の関連の仕事に携わる女性の案内で以下を巡ります。
・E1A新東名 川西工事現場
・コミュニケーション・プラザ川崎/川崎道路管制センター

まず、川西工事の中にある工事事務所へバスで移動します。事務所は斜面の最上部にあります。

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日本の交通や物流の現状、高速道路網の状況などを学んだ後、川西工事現場の概要説明を受けます。

新東名は現在、伊勢原JCT─御殿場JCT間の延長約48kmを建設しています。橋梁区間が約3割、トンネル区間が約4割と、構造物比率が高くなっています。

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2019年10月30日に発表された開通の目処は以下の通りです。
伊勢原JCT─伊勢原大山IC(約2km):2020年3月まで
伊勢原大山IC─秦野IC(約13km):2021年度
秦野IC─御殿場IC(約26km):2023年度
御殿場IC─御殿場JCT(約7km):2020年度

川西工事は秦野IC─御殿場IC間内の延長2,583mで、工事内容は塩沢工区と向原工区の2工区に分かれます。
・塩沢工区
 工区延長:約1,921m(トンネル含む)
 切土:160万㎥(捨土掘削含む)
 盛土:221万㎥
 固化不溶化工 改良土盛土:66万㎥
・向原工区
 工区延長:約662m
 切土:83万㎥
発注者は中日本高速道路 東京支社 秦野工事事務所、施工者は清水建設・岩田地崎建設JVです。総工事費は約250億円。2016年7月に着工し、2022年4月の完成を目指します。

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平らな道路をつくるため、塩沢工区は高さ約70mの盛土を行い、向原工区では最大高低差約70mの切土を行います。

見学する塩沢工区の概要です。

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山北町とNEXCO中日本は共同で山北スマートインターチェンジの整備を進めています。山北スマートインターチェンジは東京方面へのハーフインター形式で、整備されると山北町はもとより県西地域における広域的な地域活性化が期待されます。

工事事務所から塩沢工区を眺めます。
塩沢工区は、自工区の道路掘削・トンネルずりの盛土だけではなく、松田町から山北町にかけての他工事4トンネルのずり受入も担い、その総盛土量は約320万㎥、最大盛土高70mを超える高盛土・大規模重機土工事です。土の量は10トントラック70万台分になります。

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盛土ヤードが広大かつ高盛土となり効率的な施工・品質管理が求められるため、工事全体でドローンなどを用いた3次元起工測量や3次元設計データの活用、ICT建機を用いた施工管理を採用しています。

谷ヶ山トンネルの坑口です。

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トンネルの内部へ入ります。

谷ヶ山トンネルは神奈川県足柄上郡山北町と静岡県駿東郡小山町を結びます。
上り2,793m、下り2,789m、川西工事として、神奈川県側から静岡県との県境まで上り1,207.2m、下り1,167.4mを施工します。その掘削断面積は約80㎡で、完成後は上下線とも2車線のトンネルになります。

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地山の地質は比較的硬質な足柄層群礫岩が主体で、県境付近は玉石混じりの砂礫で構成されています。神奈川県側から約300m付近には沢部直下を通過する区間があり、土被りが約8mと小さいため慎重な掘削が要求されます。

トンネル坑口付近では、厚さ7cmの吹付けコンクリート施工が完了しています。

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コンクリート打設に用いるセントル(型枠)の下を通ります。

外壁は、トンネル内面を固めるための、厚さ30cmの覆工コンクリートを見ることができます。後に、吹付けコンクリートで覆われます。

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掘削した断面を確保し、地山の崩壊や変形を防ぐための地山を支持する鋼アーチがドリルジャンボに積載されています。

トンネルはNATM(ナトム)全断面工法を採用し、爆破掘削により施工します。

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施工では機械化・自動化による省力化および生産性向上のための技術を積極的に導入しています。

山北PR館へ移動します。2018年4月に開館しました。

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パネルや動画、ジオラマ、VR(仮想現実)などで、新東名高速道路における工事の概要や進捗などを知ることができます。予約することで、個人でも見学可能です。

コミュニケーション・プラザ川崎/川崎道路管制センターへ移動します。

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川崎道路管制センターでは所掌する東京都・神奈川県・山梨県・静岡県・愛知県における渋滞、事故、故障車など、高速道路の状況をリアルタイムで確認できます。

NEXCO中日本の近川彰総務企画部広報・CS課課長代理は「今回の見学でインフラについて興味と知識を深めてもらえたと実感している。自分にとって本当にやりがいのある仕事は何なのかを、様々な体験をもとに探してほしい」と締め括りました。
リコチャレに参加した生徒にとって、楽しみながら高速道路の建設や管理に興味を持つ、よい機会となったようです。