首都高速道路 点検・補修デモ 2025

首都高(首都高速道路)

 首都高速道路株式会社は2025年10月10日、「首都高安全月間」の取り組みの一つとして「点検・補修デモ2025」を池尻大橋駅に程近い大橋JCTで実施しました。点検ドローンなど、最新の維持管理技術が披露されました。

 点検・補修デモは、次世代の高速道路技術者育成を目的に、先端技術の実演を学生に披露する形で毎年開催しています。16回目の開催となる今回は、首都高民営化20周年を記念し、学生に加えて事前に参加を希望した一般にも公開。学生約10人、一般参加者約20人、関係機関者約30人が参加しました。

 関連企業が各ブースで、新しい技術や製品を展示しています。

◯ブース1:首都高メンテナンス西東京
 高輝度LEDとレンズを組み合わせた「高輝度青色LED矢印板」を展示しました。低い位置にも設置でき、視認性を高めて二次事故を防ぎます。無線連動で複数表示でき、ドライブレコーダーも内蔵。カラーコーン用LEDライト「ルミナスセーフ」も紹介しました。

photo高輝度青色LED矢印板

◯ブース2:首都高メンテナンス東東京
 金属のひび(疲労き裂)進行を防ぐ「ストップホール工法」を紹介しました。き裂先に小穴を開けて力の集中を和らげます。また、高力ボルトによる補修デモも披露しました。

photo強度を高める高力ボルト

◯ブース3:首都高電気メンテナンス
 高所作業車の安全性を高める装備として、バケットに取り付けて点滅させるフレキシブルLEDライト「フレピカ」や、手すり部分に装着して視認性を高める「カチャピカ」を紹介しました。超音波センサーや全方位カメラなどと組み合わせ、上部構造物への挟まれ・衝突防止対策も実演しました。

photo装備を紹介する高所作業車

◯ブース4:首都高ETCメンテナンス
 電界強度測定車「3D ETC Doctor」で、ETCやITS(高度道路交通システムサービス)スポットの通信不具合箇所を3次元で可視化します。

photo電界強度測定車 3D ETC Doctor

◯ブース5:首都高パトロール
 パトロールカーは一日400〜500km巡回し、交通管制室と連携して交通規制を実施します。パトロールバイクは機動性を活かして山手トンネル内で現場へ急行、初期消火などで被害拡大を防ぎます。

photoパトロールカーとパトロールバイク

◯ブース6:首都高施設メンテナンス
 ハイブリッド仕様の「環境配慮型多電源標識車」を展示しました。あわせて、エコカー「MIRAI」パトカーや「水噴霧新型治具」、現場組立式軽量建具「パズドア」も展示。パズドアは分割して運搬でき、ロッドガイド注油装置を取り付けることで現場での注油作業を容易にします。

photo現場組立式の軽量建具 パズドア

◯ブース7:首都高技術
 アクセスが難しい場所や高所での点検を支援する最新技術を紹介しました。点検用ドローンは、大規模地震時の被害状況把握にも活用されます。狭い場所や高所での打音検査を可能にするシステム「こんこん」、高所点検用のポールカメラで同様の場所の点検をサポートする「あいあい」も展示しました。

photo点検用ドローンのデモにより表示された映像

 「ウェーブドクター」は走行しながら照明・電波・温湿度など複数の測定が可能です。

photoウェーブドクターの車両前方には照度計、上部には測定用アンテナ

photo測定結果を車内でも確認可能

◯ブース8:日本リーテック
 道路標識を展示しました。普段は道路上でしか見られない標識を間近で確認でき、視認性向上への取り組みも紹介しました。

photo標識に光を当てることで視認性が高いことを確認

◯ブース9:首都高速道路技術センター
 鋼構造物の内部の傷や欠陥を検出する「超音波探傷試験」、コンクリート構造物に含まれる元素を分析する「蛍光X線分析」、そして部材にかかる応力を車両走行時などのひずみから測定する「応力測定」を紹介しました。これらの技術により、構造物の安全性や耐久性を詳細に評価できます。

photo部材にかかる応力をひずみから測定する技術の模型

◯ブース10:首都高メンテナンス神奈川
 コードレスLED内照装置「インターライト」や、コーンとベースの変形性能が高く車両に衝突されても持ち去られにくい「ステイコーン」を紹介しました。

photo接触した車両が遠くに持ち運ぶことを抑えるステイコーン

◯ブース11:首都高速道路
 首都高民営化20周年記念ビデオを視聴しました。

◯ブース12:首都高速道路 おおはし里の杜
 大橋JCT内トンネル換気所屋上に整備された自然再生緑地「おおはし里の杜」を歩き、都市部での生物多様性推進に貢献する取り組みを見学しました。

photoおおはし里の杜では小学生が稲作を体験

 参加した学生からは「実際に使われている技術を目の前で見て、道路維持管理にどう活かされているかがよくわかった」「高速道路の安全確保の仕事の奥深さに触れ、将来のキャリアを考えるよい機会になった」との声が聞かれました。また、一般の参加者は「首都高に関連する会社と技術の多さに驚いた」と感想を述べました。

 首都高速道路は、「最新技術を活用した維持管理を今後も推進し、高速道路の安全・安心の向上を目指す。学生には次世代技術者を目指すきっかけとして、一般の方には安全への取り組みを知っていただく貴重な機会になった」「先端技術の導入により、より高度な安全・安心の追求を進めていることを広くアピールしたい」としています。