中部横断道 新清水JCT─富沢IC 報道向け現場見学

 中部横断道(中部横断自動車道)

中部横断道(E52中部横断自動車道)は、静岡県静岡市を起点に山梨県甲斐市を経由して、長野県小諸市に至る延長約132kmの高速自動車国道です。
2019年2月26日、中部横断道の一部となる新清水JCT(しんしみずジャンクション)─富沢IC(とみざわインターチェンジ)の開通に先立って「中部横断道 新清水JCT─富沢IC 報道向け現場見学」が行われました。

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中部横断道が全線開通すると、東名高速(E1東名高速道路)と新東名(E1A新東名高速道路)、中央道(E20中央自動車道)が結ばれ、産業や観光の活性化など様々な効果が期待されています。

中部横断道は、NEXCO中日本施工の有料道路方式区間と国土交通省施工の新直轄方式区間に分かれます。新直轄方式とは国と地方自治体により事業を負担することです。通行は無料に設定されます。

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新清水JCTから中央道の双葉JCTまでの開通状況は以下の通りです。
・新清水JCT─富沢IC(20.7km):
 2019年3月10日16時30分開通 NEXCO中日本施工区間
・富沢IC─南部IC(6.7km):
 2019年夏頃開通予定 国土交通省施工区間
・南部IC─下部温泉早川IC(13.2km):
 2019年度開通予定 国土交通省施工区間
・下部温泉早川IC─中富IC─六郷IC(8.4km):
 2019年3月10日16時30分開通 国土交通省施工区間
・六郷IC─双葉JCT(25.3km):
 開通済み NEXCO中日本施工区間

現場見学では富沢ICの全景、ワイヤロープ、トンネルの連絡坑と避難坑、ロードヒーティング、地滑り対策(難工事1)、樽峠トンネル(難工事2)、アクセント照明、県境表示、新清水JCTの全景が公開されました。
まずは富沢IC付近へ移動します。有料区間と無料区間をまたぐ本線上には料金所が設置されています。

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料金所を過ぎると有料の区間となります。中部横断道を南下して新清水JCTへ向かいます。

中部横断道が通る地域はフォッサマグナの西端に位置し、富士川周辺の急峻な山岳が連なります。

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道路の高低差を少なくするため、新清水JCT─富沢ICにはトンネル8本と橋梁13橋がつくられました。

矢島地区へ移動します。新清水JCT─富沢ICは暫定2車線のため、中央分離帯の大半にはポストコーンを設置します。車両が誤って対向車線へ逸脱しないよう、土工区間(盛土や切土で出来ている部分)6箇所にはワイヤーロープ式の中央分離帯を採用しました。

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車両の逸脱を防止するため、路面を一定間隔で削るランブルストリップスと突起型レーンマークが全ての区間に施されています。凹凸を踏むことによる騒音と振動で運転者は車線からはみ出そうだと気づき、正しい車線へ戻る効果があります。

施工されております。

森山トンネルでは避難用トンネルが公開されました。

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緊急時は、本線トンネル(本坑)に約350m間隔で設置されたステンレス製の非常口(連絡坑)から、本線トンネルに並行して走る避難用トンネル(避難坑)を通って避難します。

非常口の2箇所に1箇所は緊急車両が転回できる大きさになっています。

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避難用トンネルは、森山トンネル(延長1734m)と樽峠トンネル(延長4999m)に整備されています。

車道の壁側には、トンネルの保守点検で使用する管理用通路を設けています。

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多くのトンネルに設けられる監査廊よりも高い安全性を確保できる、監視員通路が備わっています。

石合トンネルと福士川第一橋が隣接する箇所へ移動します。
石合トンネルの北坑口付近では、土砂崩れを防止するための地すべり対策工事が約1年半にわたって行われています。高低差と急斜面における難工事となりました。工事には139本の鋼管杭(抑止杭)や209本の地山補強ボルト、100層の抑え盛土を使用しています。

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100mもの標高差で資機材を運ぶため、モノレールを2本設置しました。急斜面の上部に舞台をつくり、門型クレーンを使って3日に1本のペースで鋼管杭(抑止杭)を鉛直に打設しました。

航空写真で撮った写真で確認します。

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右下に白い点として並んでいるのは鋼管杭の頭です。工事がより進んでいる灰色の部分は、鋼管杭の頭をコンクリートで固めた箇所となります。

トンネルとトンネルの間をつなぐ橋にはロードヒーティングを設置しました。ホットカーペットと同じ原理で、路面の積雪や凍結を電熱により防ぎます。

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ロードヒーティングは中河内橋、湯沢川橋、長瀞川橋、福士川第一橋、福士川第二橋に設置されています。

樽峠トンネルへ移動します。延長は約4999mで、日本の長大道路トンネルとしては19位になります。

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本線トンネルの坑口の横に、避難トンネルの坑口を確認できます。

樽峠トンネルの中から、反対側の富沢IC方向を振り返ります。約1年前の2018年3月に「中部横断道 樽峠トンネル 貫通記念イベント」として一般に公開されました。

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トンネルは、NATM(ナトム:New Austrian Tunnelling Method)で建設しました。掘削した地山にコンクリートを吹き付けて素早く固めるとともに、ロックボルトを岩盤の奥深くまで打ち込むことで、地山自体の保持力を利用してトンネルの安定を保つ工法です。

トンネルの掘削は、山梨側からの2,372mを南アルプス工事事務所が担当、静岡側からの2,627mを清水工事事務所が担当しました。
2011年6月に山梨側から始まり、2年9カ月後の2014年2月に県境地点まで到達しました。一方、静岡側からは2013年8月より掘削を始めたものの、掘削した地山がトンネル内にはらみ出してくる「押し出し性地山」の区間が存在したことで難工事となりました。支保パターンのランクアップや補助工法として注入式長尺鋼管先受け工法(AGF工法)を採用することで克服。山梨側から静岡側に向けて掘削する「迎え掘り」も実施した結果、予定よりも1カ月半早い2017年10月に貫通しました。

トンネルの中間付近では、中部横断道のイメージカラーとなる紫色のアクセント照明を設置しています。集中力や注意力が低下する漫然運転を防止するため、注意を引く意図があります。アクセント照明は樽峠トンネルと森山トンネルに設置されています。

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静岡県と山梨県の県境です。標高は約323mになります。

最後に新清水JCT付近へ移動しました。先は新東名および東名高速に接続します。

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約1ヶ月の2019年2月に「中部横断自動車道静岡県内区間開通記念 新清水ジャンクションを歩こう!」として一般に公開されました。

約80mの切土法面上に登り、新清水JCTの全景を眺めます。右側は新東名の名古屋方面です。

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中部横断道の富沢IC方面を眺めます。
「中部横断道 新清水JCT─富沢IC 報道向け現場見学」はここまでとなります。

今回、新清水JCT─富沢ICと下部温泉早川IC─六郷ICが同時に開通したことで、静岡県庁から山梨県庁までの所要時間は約30分短縮し2時間5分程度になりました。
中部横断道の全線開通により、以下のような効果が期待されます。
・国際競争力のある国土の形成
・異常気象時における代替道路の確保
・静岡県と山梨県の移動時間が約1時間短縮
・静岡県と山梨県の第3次医療施設の1時間カバー領域が拡大

公式:NEXCO 中日本