新東名 新御殿場IC─御殿場JCT 、国道138号バイパス 報道向け現場見学会

 新東名(新東名高速道路)

 新東名(E1A新東名高速道路)は海老名南JCT─豊田東JCT間、延長約253kmを結ぶ高速自動車国道です。「E1A新東名 新御殿場IC─御殿場JCT、国道138号バイパス 報道向け現場見学会」が開通前の2021年3月19日に行われました。

 新東名はこれまでに海老名南JCT─伊勢原大山IC間の延長約8km、御殿場JCT─豊田東JCT間の延長約200kmが開通しています。今回、新御殿場IC─御殿場JCT間の約7kmが開通し、東名高速と中央道がつながります。建設を進めている伊勢原大山IC─秦野ICの延長約13kmが2021年度に、秦野IC─新御殿場ICの延長約26kmが2023年度に完成すると、新東名は全線開通になります。

photo開通区間の広域地図 資料:NEXCO中日本

 2021年4月10日に以下の区間が開通します。
 ・新東名高速道路 新御殿場IC─御殿場JCT
 ・一般国道138号須走道路・御殿場バイパス(西区間) 須走口南IC─ぐみ沢IC
 ・国道469号御殿場バイパス/県道仁杉柴怒田線

photo開通区間の詳細地図 資料:NEXCO中日本

 御殿場JCTでは、東名高速と新東名が接続します。ただし、以下のルートは利用できません。
 ・東名高速の東京方面→新東名の新御殿場IC
 ・新東名の新御殿場IC→東名高速の東京方面
 ・東名高速の名古屋方面→新東名の名古屋方面
 ・新東名の名古屋方面→東名高速の名古屋方面

 今回の開通により、以下のような効果が期待されます。
 ・山梨県と静岡県による広域ネットワークの形成
 ・交通混雑の緩和、交通事故の削減、災害に強い道路機能確保、地域活性化

 開通した区間を実際に走行してみます。

●新東名 新御殿場IC─御殿場JCT

 新御殿場ICの料金所入り口です。同時に開通する御殿場バイパスや県道仁杉柴怒田線から入ることができます。

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 名古屋方面、新東名の御殿場JCTへ向かいます。左方向は整備が進む新東名の東京方面です。

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 下り線の合流箇所です。

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 本線は4車線(片側2車線)、最高速度規制が100km/hに設定されています。将来は6車線(片側3車線)、120km/hへ変更する予定です。御殿場JCT─浜松いなさJCT間の延長約145kmは2020年12月22日に6車線化工事が全線完了し、最高速度規制120km/hの本格運用を開始しています。道路に起伏はなく、まっすぐな線形が続きます。

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 この区間では濃霧が多く発生するため、低位置照明を採用しました。視界不良時は照明により路肩が強調されます。また、車両の逸脱防止により路肩には路面を一定間隔で削るランブルストリップスが施されています。実際に凹凸を踏んで走行すると、予想以上の騒音と振動に驚きます。

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 中央分離帯に設置したセパレーターは、対向車のライトによる眩しさを軽減してくれます。

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 新御殿場ICから御殿場JCTへ向かうと、延長約4Kmの新御殿場橋になります。これは仁杉高架橋、ぐみ沢上高架橋、ぐみ沢下高架橋、杉名沢第一高架橋、杉名沢第二高架橋の5橋を連続高架橋としたものです。このうち、ぐみ沢上高架橋、ぐみ沢下高架橋、杉名沢第一高架橋は、地形が平坦で交差物が比較的少ない利点を生かしてUコンポ橋を採用しました。橋桁を現場で製作、運搬、架設することで、型枠を組んでコンクリート打設する工法と比べて工期短縮や省力化できます。

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 電光掲示板で清水までの所要時間を知ることができます。ルート選択をできるようになったことが新東名の大きな利点のひとつです。

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 御殿場JCTに近づいてきました。左方向は東名高速方面となります。

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 御殿場JCTです。

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 新東名が、東名高速の上部を跨ぎます。手前が東京方面、奥が名古屋方面となります。

photo写真提供:NEXCO中日本

 御殿場JCTのランプには、路面の凍結を熱で防止するためのロードヒーティングが埋設されています。東名高速と新東名は高低差があり坂道がきつく、路面の凍結により車が登れない事態を避けるためです。路面に溝をつくり電熱線を埋め込み、その上を舗装しているため、見た目にはわかりません。

 東名高速方面へ進みます。2018年11月の4夜間、東名高速道路の一区間を通行止めにして実施した東名高速をまたぐ橋桁架設工事の箇所を通過します。

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 ランプにはJCT名がひらがなで示されています。

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 新東名の新御殿場ICから東名高速の東京方面へ向かうことはできないため、間違えてしまった場合には東名高速を逆走することなく次の裾野ICで申告するよう、案内しています。

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 東名高速との合流箇所です。先は名古屋方面になります。

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 折り返し、新御殿場ICへ戻ります。御殿場JCTの分岐を新東名方面へ進みます。

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 新御殿場IC間御殿場JCT間の土工部です。

photo写真提供:NEXCO中日本

 トンネル掘削や山を削って出た建設発生土を有効利用し、形成しています。

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 ドローンによる三次元測量で地形データを取りながらの施工や、GNSS(全球測位衛星システム)で重機の位置を把握して作業するといった「ICT盛土」を採用しました。土木建設業界の担い手不足を解消するために、効率化を図り生産性を上げていく取り組みのひとつです。

 新東名の起点となる海老名南JCTから50kmの地点です。

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 新御殿場ICでは国道138号須走道路、東富士五湖道路に接続していることが表示されています。

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 走行中の景観を考慮し、透明の防音壁を使用しています。天候によっては見事な富士山を臨むことができます。

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 御殿場バイパス(西区間)ぐみ沢IC付近です。東名高速に直結するための橋脚が並びます。

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 本線の先は、新御殿場ICと伊勢原大山ICを結ぶ整備が進んでいます。

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 新御殿場ICの料金所出口です。同時に開通する御殿場バイパスや県道仁杉柴怒田線に接続しています。

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●新御殿場IC─御殿場バイパス(西区間) 仁杉JCT─国道138号須走道路 須走口南IC

 国道138号須走道路・御殿場バイパス(西区間)は、東富士五湖道路と接続するバイパス道路です。須走道路 須走IC─須走口南ICの延長1.1kmと御殿場バイパス(西区間)ぐみ沢IC─御殿場市萩原の延長1.4kmは供用しています。新東名の新御殿場IC─御殿場JCTと同日に開通します。現在は、ぐみ沢ICと新東名を直結するための整備が進んでいます。

 左方向は県道仁杉柴怒田線、国道469号バイパス方面です。富士山を正面に直進し、御殿場バイパス(西区間)仁杉JCTへ向かいます。

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 御殿場バイパス(西区間)の仁杉JCTの分岐箇所です。

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 仁杉JCTから、須走口南ICを望みます。

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 反対側となる、ぐみ沢IC方面です。

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 須走口南ICへ向かうランプを進みます。

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 御殿場バイパス(西区間)の合流箇所です。ここから4車線(片側2車線)となります。

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 国道138号須走道路・御殿場バイパス(西区間)に平行する国道138号現道は観光交通と生活交通の混在により、主要渋滞が7か所存在しています。須走道路・御殿場バイパス(西区間)の開通により渋滞緩和が期待されます。

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 自然が多い景観に沿うよう、防護柵はガードレールではなくダークブラウン色のガードパイプを採用しました。また、運転者の圧迫感を軽減するため、橋梁壁高欄の防護柵は両端を斜めに加工しています。

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 水土野ICです。ここまでが御殿場バイパス(西区間)で、ここから先は須走道路となります。

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 須走道路は2車線(片側1車線)ですが、勾配やIC付近では登坂車線が設置されています。

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 須走口南ICでは、すでに供用している須走道路に接続しています。

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 須走口南ICのオンランプ(御殿場市街方面)は後日あらためて開通する予定です。

■開通区間の概要
・新東名高速道路 新御殿場IC─御殿場JCT
 延長:約7.1km(土工部1.4km、橋梁高架部5.7km)
 車線数:4車線(完成時は6車線)
 設計速度:100km/h(6車線完成時は120km/h)
 事業費:約5,600億円(秦野IC(仮称)─御殿場JCTの事業費)
 交通量:約5,000台/日(2021年度)と予測
 構造物比率:約8割(80.3%)
 発注者:中日本高速道路
・一般国道138号須走道路・御殿場バイパス(西区間) 須走口南IC─ぐみ沢IC
 延長:約5.2km
 車線数:2車線(完成時は4車線)
 設計速度:80km/h
 事業費:須走道路約208億円、御殿場バイパス(西区間) 約338億円(全区間を完成4車線として整備する事業費)
 計画交通量:須走道路約25,500台/日、御殿場バイパス(西区間)約29,500台/日
 構造物比率:約2割(17.1%)
 発注者:国土交通省 中部地方整備局 沼津河川国道事務所
・国道469号御殿場バイパス/県道仁杉柴怒田線
 車線数:暫定2車線(完成時は4車線)
 設計速度:50km/h
 <国道469号>
  延長:約1.6km(今回開通延長約0.6km)
  事業費:約20億円
  交通量:約13,300台/日
 <県道仁杉柴怒田線>
  延長:約1.7km
  事業費:約40億円
  交通量:約12,500台/日
 発注者:静岡県 交通基盤部 道路局

公式:E1A 新東名高速道路 伊勢原大山IC~新秦野IC_NEXCO 中日本