夜のエコハイク 横浜環状南線 釜利谷庄戸トンネル

 横浜環状南線

 NEXCO東日本 関東支社 横浜工事事務所では、建設中の横浜環状南線(よこかんみなみ)や開通済みの横浜横須賀道路における環境保全の取り組みを紹介しながら、沿線の散策路を歩くイベント「エコロードハイキング(通称「エコハイク」)」を定期的に開催しています。春と秋に開催するエコハイクでは日中に現場周辺を散策、初夏に開催する夜のエコハイクでは代替池として整備した水辺でホタル鑑賞を行っています。
※「エコロジー(生態学)+ロード(道)」を組み合わせた言葉

 今回は2023年6月に開催された夜のエコハイクに参加しました。

 17時30分より、夜のエコハイクが始まりました。参加者は釜利谷JCTの工事ヤード内で、横浜環状南線における事業概要の説明やホタルについての解説に耳を傾けます。

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 説明の後、釜利谷庄戸トンネルの建設現場における周辺環境に配慮した各種取り組みを見学し、ホタルが活動する20時頃にホタルを鑑賞します。

 横浜環状南線は、横浜横須賀道路の釜利谷JCTと国道1号を結ぶ延長約8.9kmの自動車専用道路です。圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の一部で、横浜環状道路の南側区間にあたります。

photo工事に関する周辺地図 資料:NEXCO東日本

 全線の約7割がトンネルなど地下構造になっています。国道1号側の3.0kmが国土交通省担当区間、釜利谷JCT側の5.9kmがNEXCO担当区間になります。NEXCO担当区間では、総発生土量355万?(東京ドーム3個分)、総コンクリート数量47万?、総鉄筋量は6万トン(東京タワー17塔分)に及びます。

photo工事区間の詳細地図 資料:NEXCO東日本

NEXCO担当区間は5つの工事区で整備が進みます。
  釜利谷工事区:釜利谷JCT Hランプ第二トンネル工事/NATM
         釜利谷JCT Fランプ橋(鋼上部工)工事/橋梁
   庄戸工事区:釜利谷庄戸トンネル工事/NATM
 上郷桂台工事区:桂台トンネル工事/シールド工法
         神戸橋(PC上部工)工事/橋梁
  桂公田工事区:公田IC工事/掘割構造
 岩田笠間工事区:公田笠間トンネル工事/シールド工法

 NATM(ナトム)とは、掘削と同時に吹付けコンクリートと支保工などにより、地山の安定を図りながら施工するものです。

 見学する釜利谷庄戸トンネルは、釜利谷JCTから庄戸地区まで約1.2kmのトンネル区間です。本線トンネルの施工では、先進導坑と呼ばれる小さなトンネルを先行して掘削し、トンネル内部を切り広げていきます。

photo工事に関する図面 資料:NEXCO東日本

釜利谷庄戸トンネルは、以下の4区間で構成されます。
 ①低土被り区間:上部に土が約2m〜約10mしかない四角いトンネルの区間
 ②分合流区間:上り線が2本のトンネルに分流し、下り線は2本のトンネルが合流する区間
 ③4連近接区間:②分合流区間と④4連併設区間の間の区間
 ④4連併設区間:地中で4本のトンネルが並んでいる区間

 釜利谷庄戸トンネルの建設現場見学に移ります。下図の緑色ルートを車で移動し、★印を徒歩で見学します。

photo工事の概略図 資料:NEXCO東日本 緑色の線と文字はラジエイト加筆

 釜利谷JCT内では、横浜横須賀道路と建設中の横浜環状南線を新たに繋ぐ橋梁の架設が進んでいます。

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 下り線と合流するCランプトンネルの坑口から、釜利谷庄戸トンネルに入ります。

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 分合流区間で下り線から上り線へ折り返し、4連近接区間の手前に着きました。完成時、分合流区間は上り線が2本のトンネルに分流する5車線区間になります。

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 左側が開通済みの横浜横須賀道路と接続する2車線のHランプ第一トンネル、右側が横浜環状南線の本線(上り線)を構成する3車線の釜利谷西トンネルです。トンネルは上半分を掘削した後、下半分を掘削しました。掘削断面積は最大で約480㎡、最大幅29メートル、高さ20mの超大断面(世界最大級)になります。

 振り返り、上り線の低土被り区間側へ移動します。

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 参加者は歩きながら、NATMトンネルの施工方法と周辺環境対策について説明を聞きます。

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 トンネルの壁面は吹付けコンクリートで固め、ロックボルトを打ち込むことで、地山(地盤)と一体化させます。

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 住宅街に近接しての施工となることから、以下のような周辺環境対策が行われています。

1)施工に伴う騒音・振動対策
  先行工事において先受工・ロックボルト打設時の騒音・振動対策として、無打撃(回転のみの力)削孔できるビットを開発、採用しました。

photo無打撃対応ビット 写真:NEXCO東日本

photo無打撃対応ビットによる施工 写真:NEXCO東日本

 低振動掘削機の採用:油圧切削機よりも機械重量が大きく、低速掘削により振動を抑制できる自由断面掘削機を採用しました。

photo自由断面掘削機 写真:NEXCO東日本

 鉄骨切断機の採用:先進導抗の支保工や吹付コンクリートの撤去において、大型油圧ブレーカーなどで取り壊すと騒音・振動が生じるため、鉄骨切断機で圧力切断をしながら撤去する方法を採用しました。

photo鉄骨切断機 写真:NEXCO東日本

photo鉄骨切断機による施工 写真:NEXCO東日本

2)地盤沈下対策
  トンネル内に地下水がしみ出して周辺地下水位の低下を防ぐため、防水型構造を採用しました。通常のトンネルでは上半を0.8mmの防水シートで覆いますが、釜利谷庄戸トンネルでは全周を2.0mmの防水シートで覆いました。

photoトンネルの断面図 資料:NEXCO東日本

 低土被り区間へ向かって歩いて移動します。右手は分合流区間から低土被り区間に続く地点、左手には先ほど下り線から上り線へと折り返した連絡坑があります。

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 この先は低土被り区間になります。

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 車で上り線から下り線に戻り、低土被り区間の先進導坑へ入ります。

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 坑道の横には、土砂を送るコンベアが配置されています。

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 横坑が、3つのトンネルを繋いでいます。釜利谷庄戸トンネルの西側坑口に設置されている防音ハウスに近づくと、横坑から見える一番奥のトンネルでは、コンクリートの構造物が構築されています。

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 庄戸トンネル坑口の防音ハウス内で、低土被り区間を見ます。土被り約2m〜10mで、幅約30〜33m、高さ約9m〜11mの四角い箱型トンネルの一部を構築しています。

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 低土被り区間のため、一般的に通常であれば地表から掘削して構造物を構築し埋め戻す開削工法を採用しますが、ここでは工事中の騒音や振動、粉塵の発生を低減するため側壁・中壁導抗先進工法(底部は馬蹄型NATM、頂部は円形NATM)という、非開削により施工する新たな工法を採用しました。

photo施工方法の比較 資料:NEXCO東日本

 複数のトンネルを掘り、工事動線を変更しながら掘削、構造物を構築します。

photo施工のステップ 資料:NEXCO東日本

 防音ハウスの外に出ました。外壁には地元の小学生によりデザインされた沿道地域の横浜・湘南地区のイラストが描かれています。

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 釜利谷JCTへ戻り、新ひょうたん池でのホタル鑑賞に移ります。

 釜利谷JCT周辺では横浜横須賀道路金沢支線の開通(1991年)以前からホタルの生息が確認されていました。ホタルが暮らす環境を保全するため、ホタルの生息に適した水量や日照を調整したホタル水路を、エコロードの一環で釜利谷JCT建設とあわせて1990年に整備しました。

photoホタル水路 写真:NEXCO東日本

 事業予定地内に以前からあった「ひょうたん池」では、希少動植物の生育が確認されていました。工事に伴い希少動植物を守るため、約20年前に「新ひょうたん池」を整備しました。環境省の絶滅危惧種に指定されているホトケドジョウや神奈川県の絶滅危惧種に指定されているヒメウキガヤといった希少動植物の生息状況を確認するため、毎年モニタリング調査を実施し、今も良好な水辺環境を保っています。

photo新ひょうたん池 写真:NEXCO東日本

 他にも法面の樹林化やビオトープの整備、沿線地域にある樹木の種子から育成した地域性苗木の植樹などを行っています。

 ヘイケボタル・ゲンジボタルの数十匹が飛び交いホタルの繊細な光を見ることができ、参加者からは静かな歓声が上がりました。

photoホタルを鑑賞する参加者 写真:NEXCO東日本

 ホタルは卵から幼虫、さなぎ、羽化、成虫になるまで1年かかります。成虫として生きることができるは長くても2週間です。幼虫のときだけエサを食べ、成虫は水を飲むだけになります。

photo新ひょうたん池のホタル 写真:NEXCO東日本

 横浜環状南線の建設事業では釜利谷JCT周辺で暮らすホタルの生息環境に影響を与えないよう、道路照明を工夫することを予定しています。

 NEXCO東日本では、今後もこのようなイベント等を通じて地元地域との交流を図るとともに、事業理解の促進を図っていきたいとしています。横浜環状南線および横浜横須賀道路の環境保全の取組みを紹介しながら沿道の散策路を歩くエコハイクは、今後も続けられる予定です。

■工事の概要
 工事名:横浜環状南線 釜利谷庄戸トンネル工事
 工期:2021年2月〜2026年8月
 発注者:東日本高速道路株式会社 関東支社
 受注者:鹿島建設・前田建設工業・佐藤工業JV