リニア中央新幹線 さがみはらリニアコンサート

リニア中央新幹線

 「鉄道の日」でもある10月14日、リニア中央新幹線や工事への理解を深めることを目的に、中央新幹線神奈川県駅(仮称)の新設工事ヤードで「さがみはらリニアコンサート」が催されました。

 JR東海が事業を進めるリニア中央新幹線は、時速500kmで走行する超電導リニアモーターカーにより、品川ー名古屋間を最速で40分、品川駅ー大阪間を最速67分で結ぶ新幹線です。品川駅ー神奈川県駅ー(山梨リニア実験線)ー山梨県駅ー長野県駅ー岐阜県駅ー名古屋駅を結びます(中間駅は仮称)。

 会場となる中央新幹線神奈川県駅新設工事ヤードは、JR・京王電鉄橋本駅南口にほど近い神奈川県相模原市緑区橋本2丁目にあります。

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 参加申し込みは、ネットにて11:15〜13:30、13:30〜15:15、15:00〜16:35の3回のいずれかを希望し、10月2日10時から先着順で行われました。入場は無料です。入場ゲートから入ります。

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 さがみはらリニアコンサートは、工事現場の掘削底面を活用したコンサートだけでなく、パフォーマンスや展示などいろいろな企画が用意されています。リニア中央新幹線の一般向けの大規模イベントとしては1年前の2022年10月にさがみはらリニアビジョンが行われています。

photoリニアコンサート会場の地図 資料:JR東海

 コンサートが始まる前に、神奈川県駅における工事の進捗状況が報道機関へ公開されました。

photo地上部の桟橋から見る神奈川県駅名古屋方

 コンサートは品川方奥の地下に設置されたステージで行われます。

photo地上部の桟橋から見る神奈川県駅品川方

 神奈川県駅は県立相原高校の移転跡地を中心に工事が進む、国道16号と交差する地下3層の大規模地下構造物です。駅部の大部分を開削工事で構築し、国道16号交差部は非開削トンネルにて構築。品川方の東端部は第一首都圏トンネルに接続し、名古屋方の西端部は第二首都圏トンネルに接続します。

photo神奈川県駅新設工事の周辺地図 資料:JR東海

 地下函体は延長約680m、最大幅約50m、深さ約30mで、ホーム2面、線路4線を構築します。現在は駅中央の掘削が最深部まで達していて、2023年度第3四半期からは駅構造物の構築作業に本格着手しています。

photo神奈川県駅の断面図と横断図 資料:JR東海

 品川方へのスロープを進み、掘削底面へ移動します。壁面には地下1階の床版位置が示されています。

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 スロープと階段を下ると、底面が見えてきました。

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 駅全体では、2種類の開削工法で工事を進めています。

photo資料:JR東海

 橙色:ヤードが広く近接する構造物がないため、法面で掘削後に地下で連壁打(法面エリア)
 青色:ヤードが狭かったり近接する構造物があるため、地上から連壁打設(一般的工事方法エリア)

 法面エリアは、周囲に建物がないため工事現場を広く使用できます。また、関東ローム層という締め固まった地層で、地下水が低い(地上から約23〜27mの深さ)ため、上から斜めに深く掘り進めることができました。

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photo法面エリアにおける掘削手順 資料:JR東海

 関東ローム層の下は砂や礫の粒子が多く盤の強度が高い砂礫層で、地下に向かって仮土留壁を構築し、仮土留壁をアンカーで支えながら段階的に掘削しました。壁面には壁を支える無数のアンカーを確認できます。

 名古屋方へ進むと、支保工が組まれた空間が見えてきました。一般的工事方法で進むエリアです。

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photo一般的工事方法エリアにおける掘削手順 資料:JR東海

 建物や鉄塔、道路が近接しているため、地上から土を抑えるための仮土留壁を構築します。仮土留壁の構築後、仮土留壁を支えるための支保工を設置しながら、段階的に掘削を行いました。

 先は、国道16号交差部になります。

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 駅構造物は底面から構築していくため、支保工が組まれていない法面エリアは駅構造物を構築しやすいと言えます。

photo掘削底面で望む品川方

 今後は駅構造物を構築し、工事現場に仮置きしている掘削の際に砂礫層から出た土で埋め戻します。

 地上に戻り、さがみはらリニアひろばや展示ブースへ移動します。
 工事で使用した重機を見ることができます。

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 掘削して発生した土は、駅の躯体を構築した後に埋め戻します。埋め戻すまでの間、仮置きした土を積み上げて、上部を「さがみはらリニアひろば」として一般に開放されています。10月・11月は毎週金曜日および第1・第3・第5土曜日の10時〜16時に入園可能で、工事の現場を見渡すことができます。

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 さがみはらリニアひろばでは、13時から15時15分まで、フラスクールや相模原弥栄高等学校ダンス部、相原高等学校ジャグリング部などのパフォーマンスが繰り広げられます。

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 さがみはらリニアひろばから神奈川県駅の新設工事ヤード全体を見渡します。

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 中央には、駅舎構造物の中心位置が掲示されています。

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 展示ブースではJR東海、施工会社、神奈川県、相模原市、相原高校が出展しています。

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 JR東海のブースでは各種パネル展示に加え、リニア開通に向けてのメッセージをスペーサーに描くことができます。スペーサーは工事で使用し、神奈川県駅の一部になります。

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 スペーサーは、鉄筋コンクリートを打設する際、鉄筋が動かないよう固定する材料です。

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 退場ゲートの近くには、第二首都圏トンネルの掘削で使用するシールド機の一部や、トンネルの外壁になるセグメントの強度試験用試作品を展示しています。第二首都圏トンネルで用いるセグメントはハニカムセグメントと呼ばれ、トンネルの外壁材として優れた力学的特性を持ち、通常のセグメントと比べてコストダウンできます。

photo左側のブロックが蜂の巣状のハニカムセグメント

 コンサートが、品川方掘削底面のコンサート会場で11時45分から始まりました。

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 JR東海音楽クラブの会長でもあるJR東海 代表取締役社長 丹羽俊介氏はトランペットを手に、「コンサートを楽しむとともに、リニア中央新幹線について理解を深めるきっかけにしてほしい。音楽を通じ皆様と一体感を持ちたい」と挨拶しました。

photoJR東海音楽クラブの奏者は職場での制服を着て演奏

 JR東海音楽クラブの演奏を皮切りに、コンサートが始まりました。神奈川県立相原高等学校吹奏楽部や神奈川県立相模原弥栄高等学校吹奏楽部、ピアノとヴァイオリンのデュオ「スギテツ」&JR東海音楽クラブなどが演奏。「線路は続くよどこまでも」「銀河鉄道999」など、誰でも楽しめる楽曲を中心に17時まで音楽の祭典が続きます。

 演奏した吹奏楽部の生徒たちは「天井がなく音がどのように反響するかわからなかったが、ステージに屋根を付けてもらったこともあって、予想以上によい音を奏でることができた。二度とない貴重な体験。聴いてくれる人に楽しんでもらえたので、演奏して本当によかった」と感想を述べました。

 14時30分になると、参加者は各々で折った紙飛行機を、地上部の桟橋から未来の神奈川県駅の空へ向かって一斉に放ちました。

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 この日は地域の住民を中心に約1,900人が来場し、コンサートやステージパフォーマンスを楽しみながらリニア中央新幹線や神奈川県駅の工事への理解を深めました。

(2023年12月15日追記)リニア中央新幹線は2027年度以降に開通する見込みです。

■工事の概要
 施工場所:相模原市緑区橋本2丁目ほか
 工期:2019年6月26日〜2027年3月31日
 発注者:東海旅客鉄道株式会社
 受注者:中央新幹線神奈川県駅(仮称)新設工事共同企業体 (代表構成員:株式会社奥村組) (構成員:東急建設株式会社、京王建設株式会社)

公式:リニア中央新幹線|JR東海