東名リニューアル工事(清見寺橋) 現場見学会

NEXCO中日本

 中日本高速道路(NEXCO中日本)は2024年1月15日、東名高速道路上り線の富士川スマートIC─清水JCT間にある清見寺橋(せいけんじばし)のリニューアル工事を報道公開しました。

 NEXCO中日本が管理する高速道路は2,000km超。このうち供用から30年以上経過した道路が約60%、50年以上経過した道路は約25%を占め、2032年には約2倍の50%を超えます。このため、構造物を最新の技術で補修および補強し、高速道路を長く健全に保つ「高速道路リニューアルプロジェクト」に取り組んでいます。

 清見寺橋は東海道新幹線と交差する東名高速の跨線橋(こせんきょう)です。1968年の供用から約56年が経過し老朽化しているため、橋のコンクリート床版を取り換えます。

photo工事区間の周辺地図 資料:NEXCO中日本

 床版の取り換えは、A1橋台〜P4橋脚間の約210mになります。

photo清見寺橋における床版取り換えと橋脚の位置 資料:NEXCO中日本

 このうち、上り線のP1橋脚〜P2橋脚間約30mとP3橋脚〜P4橋脚間約50mを2023年度内に施工する。上り線のA1橋台〜P1橋脚間と東海道新幹線の上部となるP2橋脚〜P3橋脚間および下り線については順次施工していきます。

photo清見寺橋の側面図 資料:NEXCO中日本

 富士川スマートIC─清水JCT間の1日当たりの平均断面交通量は約3万6千台と非常に多くなっています。工事は24年1月9日〜3月22日の計74日間、交通規制を実施して行われます。1月9日〜2月7日の平日夜間(午後6時〜翌午前6時)は、東名高速本線の夜間通行止めにより必要最低限の工種(既設床版の撤去、新設床版架設、仮舗装)を施工します。2月8日〜3月22日は昼夜連続の車線規制により、残りの工種(壁高欄、床版防水、舗装など)を施工する予定です。

 今回の工事では夜間通行止めにより床版取り換え作業を実施しますが、1夜間(12時間)では既設床版の撤去から新設床版の架設、交通解放までの施工時間を確保することができません。そのため、既設床版を撤去後に仮設の鋼床版を設置して交通開放し、翌日以降新設の床版に取り換えます。交換する床版はP1橋脚〜P2橋脚間で11枚、P3橋脚〜P4橋脚間で19枚、合計30枚。既設床版の撤去、仮設の鋼床版を設置、仮設鋼床版を新設床版に交換する作業を各2枚ずつ進めます。

photo1月15日に取り換え作業する床版 資料:NEXCO中日本

 高台より東京側から上り線の清見寺橋工事区間を俯瞰(ふかん)しました。手前では100tクレーンによる既設床版の撤去および仮設鋼床版の設置、奥は160tクレーンで仮設鋼床版を新設床版に取り換える作業を実施しています。

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 場所を変えて、清見寺橋を下から見上げました。橋の下を東海道新幹線が走行しています。

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 東名高速の本線へ移動します。

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 床版がクレーンで吊り上げられています。

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 取り換える床版は「コッター床版」と呼ばれるものになります。床版は延長12.1m、幅2.43m、重さ28.6t。プレキャスト床版同士をコッター式継ぎ手(機械式継ぎ手)で接合する、新技術のコッター床版工法を採用しています。床版側面のC型金物同士をH型金物で連結しボルトで締め付け、速乾性の目地材を充填することで接合します。

photoコッター床版の詳細 資料:NEXCO中日本

 継ぎ手形状を簡略化できることに加え、側面に鉄筋の突出がなく幅2.43mをすべてプレキャスト化することで現場でのコンクリート作業を低減でき、雨天や降雪による工程遅延を抑制できます。

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 吊り上げた床版を、取り換え位置まで移動します。

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 床版をクレーンで吊り上げる動画です。

 取り換える箇所では、新しい床版を設置する準備が進みます。

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 新しい床版が配置されました。

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 床版の上にH型金物を確認できます。作業はH型金物のセット、ボルト締め付け、目地材充填と進みます。

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 床版取り換えには長期間の規制が必要となるため、作業帯の安全確保のためのガードレールに似た「バルカンバリア」や、床版取り換え後の壁高欄未設置箇所に「SSS(スリーエス)ガード」を設置します。

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 工事進捗により通行止め解除の遅延を発生させないため、進捗管理システムを活用しています。大型モニター、発光ダイオード(LED)表示機、携帯端末を用いて各工種の進捗を管理し、リアルタイムで全作業員が進捗状況を可視化できます。工程遅延の際は予定作業を中断し、通行止め解除に向けた作業に切り替えます。

photo軽トラックに積載された大型モニターに表示されている工事進捗

 この日に予定していた床版取り換えは計画通り完了しました。翌日以降もリニューアル作業を進めていきます。

■工事の概要
 工事名:東名高速道路(特定更新等)清見寺橋他1橋床版取替工事
 施工場所:東名高速道路清見寺橋
 工期:2021年7月1日〜25年6月9日(1440日)
 工事費:97億3500万円(税込み)
 発注者:NEXCO中日本
 受注者:西松建設・極東興和JV