リニア中央新幹線 第一南巨摩トンネル 貫通式

リニア中央新幹線

 山梨県南巨摩郡富士川町で工事を進めているリニア中央新幹線の第一南巨摩(みなみこま)トンネルで2023年10月13日、貫通式が開催されました。

 JR東海が事業を進めるリニア中央新幹線は時速約500kmで走行する超電導リニアモーターカーにより、品川ー名古屋間を最速で40分、品川駅ー大阪間を最速67分で結ぶ新幹線です。品川駅ー神奈川県駅ー(山梨リニア実験線)ー山梨県駅ー長野県駅ー岐阜県駅ー名古屋駅を結びます。(中間駅は仮称)

 リニア中央新幹線の第一南巨摩トンネルは掘削延長約710m。2022年3月から本坑(中央新幹線が実際に走行する本線トンネル)の掘削工事を進め、約1年7か月後の2023年10月13日に貫通しました。山梨リニア実験線を除き、中央新幹線の品川・名古屋間において、本坑としては初めての貫通になります。

 貫通式は第一南巨摩トンネルの本坑内で11時から、関係者160人が出席して行われました。主催は中央新幹線第三南巨摩トンネルほか新設工事共同企業体(大成建設㈱・㈱早野組)です。

photo第一南巨摩トンネルの品川方坑口

 リニア中央新幹線は実験線の42.8kmを含め、山梨県内では83.4km(地上区間27.1km、トンネル区間56.3km)を整備。駅1箇所、変電所3箇所、保守基地3箇所、非常口(山岳部)9箇所を設置します。延長285.6kmのリニア中央新幹線全体は約86%がトンネル区間で、地上区間は約40kmにとどまることから、地上区間のほとんどは山梨県内ということになります。

photo第一南巨摩トンネル周辺地図 資料:JR東海

 最勝寺ヤードの品川方坑口から約700m進んだ名古屋方坑口付近が貫通箇所になります。

photo第一南巨摩トンネル詳細地図 資料:JR東海

 トンネルの断面は横幅約12.8m、高さ約7.6m。掘削はNATM(New Austrian Tunneling Method)を採用しました。掘削と同時に吹付けコンクリートと支保工などにより、地山の安定を図りながら施工する工法です。

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 貫通箇所へ向かう途中に、掘削で使用した重機が置かれています。
 掘削面に孔を開け、ダイナマイトによる発破で岩を砕き掘削するドリルジャンボです。

photoドリルジャンボ

 掘削後、地山を補強するため掘削箇所にコンクリートを吹き付けるコンクリート吹付機です。

photoコンクリート吹付機

 掘削の際に発生した土砂を搬出するダンプトラックです。

photo40tダンプトラック

 貫通式は、開式、重機で貫通掘削、万歳三唱、JR挨拶、富士川町長祝辞、施工者挨拶、貫通石贈呈(施工者→富士川町長)、閉式、関係者記念撮影と進みます。

 11時、貫通式が始まりました。

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 貫通掘削として、名古屋方の切り羽と呼ばれるトンネル掘削の先端箇所をブレーカー装着の油圧ショベルで貫通させます。

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 貫通作業を進めて3分ほどで掘削面に穴が開き、外部の光が見えてきました。

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 貫通掘削完了までの1分間の動画です。

 貫通したことを祝して万歳三唱が行われました。

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 貫通した1mほどの穴からは木々の緑が見え、トンネル全体に風が吹き込んでいます。

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 JR東海 中央新幹線 山梨西工事事務所 所長の渡辺隆氏は次のとおり挨拶しました。「掘削した700mのうち、途中300mほど地盤が脆い区間があり、安全性に問題があるということで補助工法という工法を用いた。時間をかけ慎重に作業を進めたこともあり、安全に作業を完了できた。この壁の向こうで今後も橋梁やトンネルなどの工事は続くが、引き続き地域に配慮しながら作業に取り組んでいく」

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 地元である富士川町長の望月利樹氏は「貫通し、携わった人たちの苦労が報われた。この光の先には未来が見える。本坑としては初めて貫通したことは地元自治体としてうれしく思う。今後は国土強靱化として中央新幹線の早期開通を望む。国全体で地域経済や文化交流が深まる事業だ」と祝辞を述べました。

 貫通石贈呈として、施工者から富士川町長に貫通石が贈られました。

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 閉式の後、貫通した際に採取した貫通石を入れたお守りが関係者に手渡されました。貫通石は古来より安産のお守りとして珍重され、今では難関突破や初志貫徹を象徴する合格祈願のお守りとして人気があります。富士川町では、ふるさと納税の返礼品として活用します。

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 事務所から甲府盆地を一望すると、本年5月に公開された利根川公園部高架橋を確認することができました。

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 名古屋方坑口の壁は引き続き掘削します。今後は第一南巨摩トンネルの先にある橋梁やトンネルの工事を進めます。

(2024年3月29日追記)リニア中央新幹線についてJR東海は2027年開業を断念し開業時期未定と発表しました。静岡での工事には10年程度かかるとしていて、開業は2034年以降になる計算です。
(2023年12月15日追記)リニア中央新幹線についてJR東海は2027年度以降の開業を目指すと発表しました。

■工事の概要
 施工場所:山梨県南巨摩郡富士川町
 発注者:東海旅客鉄道株式会社
 受注者:大成建設株式会社・株式会社早野組

公式:リニア中央新幹線|JR東海