首都高速道路 メルマガ講座 横浜環状北線(きたせん)の建設現場

 横浜北線

 横浜環状北線は、首都高速横羽線と第三京浜道路をつなぐ自動車専用道路です。首都高のメールマガジン読者を対象とした見学会「メルマガ講座 横浜環状北線(きたせん)の建設現場」が、2010年7月23日に行われました。

 見学会は首都高のメールマガジンで募集が行われ、抽選で当選した参加者が新横浜立坑に集合。まずは横浜環状北線の概要と工事の進捗について説明を受けました。

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 首都高速神奈川1号横羽線の生麦ジャンクションと第三京浜道路の港北インターチェンジを結ぶ横浜環状北線は、全長約8.2kmの路線で、2016年度の完成を目指して整備を進めています。横浜市の交通ネットワークの骨格を形成する「横浜環状道路」の北側に位置することから、「きたせん」とも呼ばれます。

photo工事区間の周辺地図 出所:首都高速道路

 全長約8.2kmのうち約5.9kmがトンネル部(シールドトンネルは約5.5km)になります。2機のシールド機が新横浜の発進立坑(横浜市港北区新羽町)から子安台の到達立坑(同市神奈川区子安台一丁目)に向かって掘進します。現在は新横浜立坑の地下約30mの位置で、シールド機の組み立てが進められています。

photo工事区間の詳細地図 出所:首都高速道路

 横浜北線の延長線上には、東名高速道路と接続する横浜環状北西線も計画されています。

 新横浜立坑の発進基地内へ移動します。横浜北線の開通時には新横浜出入口が設けられ、県道横浜生田線および長島大竹線と接続します。

photo施工中の新横浜出入口ランプ

 長島大竹線の整備も進められています。長島大竹線は新横浜出入口と、新横浜大橋のたもとにある宮内新横浜線を結ぶ全長620mの都市計画道路です。

photo施工が進む長島大竹線

 発進基地内を見渡します。機材は低騒音型を使用して騒音を抑え、風で土が舞わないよう敷かれているシートには周囲の景観に合う茶色を採用。ロードコーンは青で統一し、仮囲いには透明板を使うなど、環境や景観への配慮が随所に見られます。

photo新横浜立坑の工事ヤード。右側には土砂の処理施設

 南側には鶴見川が流れ、遊水池内に設置した四角い巨大な土砂搬出用設備を確認できます。シールド機で掘削した土砂はスクリューコンベアで排出され、ベルトコンベアにより1時間あたり450m³を地上の処理施設へ運び出します。さらに鶴見川を渡って対岸の仮置場に搬送され、ダンプカーで南本牧ふ頭の埋め立てに再利用されます。

 立坑の横には、国内でも数少ない500tクローラクレーンが設置されています。

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 500tクローラクレーンでシールド機のパーツを吊り上げ、立坑下部へ搬送していました。

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 立坑の開口部から見下ろします。子安台行きと港北行き、2本のシールドトンネルの掘削準備が進んでいます。

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 子安台行きのシールド機を上部から見ます。神戸の工場で製作された後、分解して2日かけて新横浜立坑へ搬送し、再び立坑内で組み立てています。作業者が方向感覚を失わないよう、天井から黄色いボールが吊り下げられています。

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 港北側を見ると、開削トンネル区間に接続していることがわかります。

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 開削トンネル上部へ移動し、階段を降りて地下へ向かいます。

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 開削トンネルは「土留め壁」と呼ばれる壁を構築し、支保工を設置して壁を支えながら掘削します。

photo土留め壁を支える支保工

 地下約30mまで降り、組み立てが進むシールド機へ向かいます。掘削した土砂を地上へ運ぶためのベルトコンベアが用意されています。

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 掘削を支援する後続台車の準備も進められています。

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 組み立て中のシールド機背面に着きました。外径12.49m、長さ11.5m、重量1,500tで、高さは3階建てビルに相当、重さはジャンボジェット機の約7.5倍に及びます。

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 今秋には1機目となる生麦行きシールド機が、約1か月後には2機目の港北行きシールド機が、それぞれ生麦ジャンクションへ向けて発進する予定です。掘削は1カ月で約360m進む見込みです。

 シールド機は地中を掘削しながら、トンネル壁となるセグメントを組み立てます。内部では約500個のカッタービットで構成されたカッターを回転させて土を削り、排出された土砂をスクリューコンベアで搬送。エレクターにより1リング9個のセグメントを組み立てていきます。施工は敷地内の中央制御室から遠隔操作で行われ、現場では常時十数人の作業員が施工を進めます。

photo横浜環状北線のシールド機 写真:首都高速道路

 横浜環状北線の開通により、新横浜と羽田空港の移動時間は約10分短縮の約30分、新横浜と鶴見の移動は15分短縮の約15分になる見込みです。交通利便性の向上に加え、新横浜都心や京浜臨海部の活性化、生活環境の改善など、さまざまな効果が期待されています。

(2014年3月10日追記)横浜環状北線の本線シールド機が掘進を完了しました。
横浜環状北線の本線シールドマシンが到達しました

■工事の概要
 都市計画道路名称:1・4・6 号 高速横浜環状北線
 起点:都筑区川向町(第三京浜道路 港北ジャンクション)
 終点:鶴見区生麦二丁目(横浜羽田空港線 生麦ジャンクション)
 延長:約8.2Km(うちトンネル部 約5.9Km)
 出入口:新横浜出入口、馬場出入口、新生麦出入口(全て仮称)
 接続する道路:第三京浜道路、高速横浜環状北西線、高速神奈川1号横羽線、高速神奈川5号大黒線
 道路構造:往復4車線、設計速度60Km/h(第2種第1級)
 事業者:首都高速道路株式会社
 総事業費:約3,387億円
 完成予定:2016年度