FUN+TECH LABO 市民向けイベント

リニア中央新幹線

 「FUN+TECH LABO」(ファンタステックラボ)は、工事が進むリニア中央新幹線神奈川県駅(仮称)のそばにある、JR東海が運営するイノベーション創出促進の拠点となる施設です。施設開所から1年がたった2025年3月、これまでの取り組みがラボで発表されました。

 ラボを通じて交流したJR東海、大成建設、相模原市の3者は、金属製品の製造やごみ処理の際に排出される副産物を活用し、国内初の配合となる新型「環境配慮コンクリート」を共同開発。JR東海の与謝野優常務執行役員による挨拶に続いて、相模原市の本村賢太郎市長と大成建設の谷山二朗副社長が環境配慮コンクリートを紹介しました。

photoFUN+TECH LABOのコミュニケーション棟で1年間の取り組みが紹介された

 一般的なコンクリートは、原材料としてセメントと天然砂を使用します。社会実装の進む環境配慮コンクリート(セメント・ゼロ型)は、セメントの代替として製鋼工程の副産物である「高炉スラグ」を使用。今回開発した環境配慮コンクリートはセメント・ゼロ型を応用し、ごみ処理時の副産物「溶融スラグ」を天然砂の代替として使用します。さらに、新幹線車両やアルミニウム製品製造時の副産物である「水酸化アルミニウム」を添加します。

photo開発した環境配慮コンクリートの特徴と効果 出典:JR東海・大成建設・相模原市

 相模原市は清掃工場で溶融スラグを生産・提供し、JR東海は水酸化アルミニウムを提供、大成建設がセメント・ゼロ型を基に材料の配合・調整することで今回開発の環境配慮コンクリートが完成しました。従来のコンクリートと同等の強度と作業性を確保し、二酸化炭素の排出量を約80%削減、副産物の利用量を約8倍拡大と環境への負荷を低減できます。市の最終処分場における埋め立て量を削減することで、処分場の延命化も期待されます。

 最後に、今回開発した環境配慮コンクリートを使用した道路用建材の試作品が披露されました。

photo試作品の道路用建材であるL形側溝

 今回開発した環境配慮コンクリートについて、本村市長は「市の公共施設で実装を繰り返して、環境配慮コンクリートの実用化を目指す」と話し、大成建設の谷山副社長は「脱炭素社会、資源循環型社会の実現に向けて社会基盤材料の開発および社会実装にまい進する」と話しました。

 ラボに隣接する、リニア駅建設現場を見下ろす「さがみはらリニアひろば」では神奈川県、相模原市、JR東海が連携して一般向けにイベントを開催。相模原市主催の市制施行70周年記念事業特別ステージも行われました。

 リニアひろばでは、未来の乗り物として自動運転の電気自動車(EV)「Minishuttle(ミニシャトル)」を試乗体験できました。状況に応じて運転手による手動運転に切り替える自動運転レベル2での走行ができ、一回の充電で100㎞の走行が可能。自動運転に必要な高性能センサーのLiDAR(ライダー)、カメラ、全地球測位システム(GPS)などのセンサーを搭載しています。

photoひろばのモビリティーゾーンを周回するMinishuttle

 ドローン子ども操縦体験です。ドローン体験のほか、ドローンによるストラックアウト(的当て)が行われています。

photoドローンを初めて操作する子どもからは歓声が上がっていた

 スポーツ電動自転車によるマウンテンバイク試乗では、長い列ができていました。

photo普段は走る機会が少ないオフロードをスポーツ電動自転車で走行できる

 リニアひろばの中央には相模原市70周年ステージが設置され、市長による挨拶の後、地元学校の吹奏楽部による演奏が行われました。

photo相模原市70周年として挨拶する本村市長

 FUN+TECH LABOでは、今後も新たなイノベーションの創出を目指すとのことです。

 神奈川県、相模原市、JR東海の3者は締結した連携協力協定に基づき、2024年3月に相模原市橋本にFUN+TECH LABOを開所しました。最先端技術の知見を持つ有識者や団体、市民と共に、人々のイノベーション創出を促進する施設になります。FUN+TECH LABOという名称には「よりよい未来を創りたい」という考えのもと、さまざまな技術や知見(TECH)を掛け合わせた共創によって日々の生活にワクワク(FUN)を生み出す場所にしたい、という思いが込められています。

 JR東海はリニア中央新幹線神奈川県駅(仮称)周辺における事業開発の可能性を高めることと、中央新幹線の価値を向上することを考え、駅周辺のまちづくりに参画しています。