横浜環状北西線は、東名高速道路と第三京浜道路を結ぶ自動車専用道路です。
2017年12月6日、横浜港北JCT付近で「横浜環状北西線建設現場 見学撮影会(第3回)」が行われました。
横浜市と首都高速道路会社は、東名高速道路の横浜青葉IC(よこはまあおばインターチェンジ)と第三京浜道路および横浜北線の港北IC(こうほくインターチェンジ)・横浜港北JCT(よこはまこうほくジャンクション)を結ぶ、延長約7.1kmの横浜環状北西線の建設を進めています。
工事現場の撮影が静かなブームとなっていることを背景に、横浜市では横浜環状北西線建設現場のフォトコンテストを開催しています。合わせて、3回にわたる現場見学撮影会が実施されます。
10月12日の第1回、11月11日の第2回に続いて、第3回の今回は横浜市都筑区の川向(かわむこう)地区で橋梁工事の現場見学撮影会になります。事前に申し込んだ208名のうち、当選した53名が参加しました。
撮影会当日午後1時、建設現場に集合します。立ち並ぶ橋脚の横を進むと、黒色のテントが目を引きます。
横浜環状北西線についての説明に続けて、写真家の西澤丞氏による撮影講座を受けます。安全第一・現場優先、当事者の目線で撮る、現場をいじらず写真もいじらないなど、建設現場の撮影についての注意や極意などが丁寧に解説されました。
参加者は3つの班に分かれて、時間をずらし3つの見学スポットを1時間30分で巡ります。
・撮影ヤード1:橋梁区間(横浜市施工区間 その1工区)
・撮影ヤード2:橋梁区間(横浜市施工区間 その2工区)
・撮影ヤード3:横浜港北JCT(首都高速道路会社施工区間)
橋脚には、番号が振られています。
その1工区とその2工区は施工者が異なります。
高架橋の上層に本線(港北方面行)の車道、中層に本線(青葉方面行)の車道と合流用ランプ(E連結路)、下層には一般道川向線が整備されます。
川向地区の高架橋は、鋼管杭、フーチング、アンカーフレーム、鋼製橋脚、主桁・合成床版の要素で構成されています。
鋼管杭は、長さ14~16mの鋼管を、地面にドリルで穴を開けて支持地盤まで挿入します。杭の根元にコンクリート製の球根のようなものを築造する先端根固め工法の採用することで、高い先端支持力を得ることができます。橋脚1本あたり約60~80本の鋼管杭が埋まっています。
フーチングは、基礎として用いられるコンクリート構造物です。橋脚1本あたり幅35.0m、奥行き13.5m、高さ4.0mの大きなフーチングが打ち込まれています。
アンカーフレームは、フーチングと鋼構造物を結合し、荷重をスムーズに伝達するための部材です。幅3.2m、奥行き3.4m、高さ4.3mのアンカーフレームを、橋脚1本あたり3基設置しています。
橋脚のPH本9について、完成図と現状を比較してみます。
川向地区の橋脚のように、下部構造を複雑な形状とする必要がある場合は、鋼製橋脚が用いられます。まず、橋脚の部材となるブロックを工場で製作して、仮組み検査と塗装の後、現場へ運ばれてクレーンで架設します。次に、設置した風防設備の中でブロックを溶接して固定します。溶接後は、超音波探傷検査や磁粉探傷検査によって、目では見えない溶接キズや欠陥を発見して補修します。
撮影ヤード1の橋梁区間(横浜市施工区間 その1工区)へ移動します。高所作業車に乗り、高所から建設現場を見ます。
まず東名高速道路の横浜青葉IC方面を見ます。
先へ進むと、横浜青葉IC方面行と港北IC方面行の2つの本線は構造が上下から左右となり、トンネルに入ります。
次に、第三京浜道路および横浜北線の港北IC・横浜港北JCT方面を見ます。
先へ進むと、2つの本線は第三京浜道路をまたぐ橋梁で上下の2層となり、横浜北線に接続します。
遠方には港北IC・横浜港北JCTを確認できます。
撮影ヤード2の橋梁区間(横浜市施工区間 その2工区)へ移動します。第三京浜道路および横浜北線の港北IC・横浜港北JCT方面へ向かいます。
橋脚の上部に、合流用ランプ(E連結路)の主桁が載っています。トラッククレーンベント工法で架設されます。
工場で製作した橋桁部材を現場に搬入し、地面にて組み立てます。この地組みと呼ばれる作業を完了した橋桁をトラッククレーンで吊り上げ、ベントと呼ばれる茶色の鋼製支柱(仮の支え)と橋脚に設置して、固定します。橋脚から橋脚まで橋桁がつながったら、ベントを撤去して架設は完了です。
主桁形式は鋼連続細幅箱桁橋を採用しています。橋脚間の桁の長さである支間長を長くすることができるほか、複雑な線形や形状に対応することができます。また、主桁の上部には、鉄骨で補強された鋼製の箱枠にコンクリートを流し込む合成床版を採用します。これにより施工の手間を減らせるため、経済的といえます。
撮影ヤード3の横浜港北JCT(首都高速道路会社施工区間)へ移動します。巨大な橋脚を横目に、横浜港北JCTの中心部を目指します。
振り返り、横浜港北JCTを背にして横浜青葉IC方面を見ます。
横浜港北JCTと横浜環状北西線の高架橋が接続する箇所です。
横浜港北JCTです。一度、ランプの内側に入り、再び出ます。
この見学会の4日前に実施された横浜環状北西線 横浜港北JCT 夜間橋梁架設で架けられた橋桁と、このとき使われた超大型の1350t吊りクローラークレーンを確認できます。全体の道路の線形から、ここがジャンクションであることを実感できます。
第三京浜道路の上部に、横浜環状北西線の2層の橋桁が架設されています。4日前の夜間の一括架設を見ていたが、青空の下で見ると圧巻です。
横浜港北JCTの内側へ入りました。パノラマ写真で見る横浜港北JCTです。中央に料金所があります。
「横浜環状北西線建設現場 見学撮影会(第3回)」はここまでとなります。
横浜環状北西線は、2020年東京五輪・パラリンピックまでの供用開始を目指して整備が進められています。
■工事の概要
工事名:高速横浜環状北西線(川向地区)街路整備工事(橋梁上部工)
工事費:約32億6000万円(税込み)
発注者:横浜市
受注者:宮地エンジニアリング・古河産機システムズJV
工事名:高速横浜環状北西線(川向地区)街路整備工事(橋梁上部工)(その2)
工事費:約33億8000万円(税込み)
発注者:横浜市
受注者:横河ブリッジ・IHIインフラシステムJV
工事名:高速横浜環状北西線港北地区下部・基礎工事
工事費:約40億9000万円(税込み)
発注者:首都高速道路
受注者:オリエンタル白石
工事名:高速横浜環状北西線港北地区上部・橋脚(その1)工事
工事費:約54億2000万円(税込み)
発注者:首都高速道路
受注者:東京鉄骨橋梁(現在は日本ファブテック)・瀧上工業JV
工事名:高速横浜環状北西線港北地区上部・橋脚(その2)工事
工事費:約51億円(税込み)
発注者:首都高速道路
受注者:IHIインフラシステム
工事名:(高負)高速横浜環状北西線他トンネル・半地下・擁壁・土工等工事
工事費:約30億円(税込み)
発注者:首都高速道路
受注者:戸田建設