子どもたちに高速道路をより身近に感じてもらうため、中日本高速道路(NEXCO中日本)東京支社は小学生とその保護者を対象にした夏休み親子見学会「ハイウェイみて!みて!ツアーズ」を毎年、夏休み期間に各地で開催しています。ツアーズのひとつとして、2019年8月2日に行われた「新東名 高取山トンネル建設現場見学」に参加しました。
この日の見学会では「秦野事業PR館」「E1A新東名 高取山トンネル西工事」「小田原厚木道路 はたらくクルマの乗車・見学」を巡ります。参加者はまず、工事現場の中にある秦野事業PR館へバスで移動しました。
パネルや動画、ジオラマなどで、工事の概要や進捗を知ることができます。
新東名(E1A新東名高速道路)は、海老名南JCT─豊田東JCT間の延長約253kmを結ぶ高速道路です。現在、伊勢原JCT─御殿場JCT間の延長約48kmを建設しており、橋梁区間が約3割、トンネル区間が約4割と構造物比率が高くなっています。
新東名の開通状況 出所:NEXCO中日本
2019年10月30日に発表された開通の見通しは以下の通りです。
・伊勢原JCT─伊勢原大山IC(約2km):2020年3月まで
・伊勢原大山IC─秦野IC(約13km):2021年度
・秦野IC─御殿場IC(約26km):2023年度
・御殿場IC─御殿場JCT(約7km):2020年度
PR館の2階からは羽根トンネルの坑口を望むことができます。羽根トンネルは高取山トンネルより西側に位置するトンネルです。
仮想現実(VR)機器による建設現場の俯瞰体験は、子供たちに大人気です。
再びバスに乗り、秦野市の一番東側に位置する高取山トンネル西工事の現場へ移動します。上り線と下り線、2つの坑口を確認できます。
高取山トンネルが位置する伊勢原大山IC─秦野IC間は、用地取得の難航や膨大な埋蔵文化財調査により工事着手の時期が約1年遅延しました。
工事区間の詳細図 出所:NEXCO中日本
延長約3900mの高取山トンネルを、神奈川県の伊勢原側と秦野側の両側から掘削しています。秦野市から伊勢原市の市境まで1600mの整備が高取山トンネル西工事です。
東京方面へ向かう上り線のトンネルを進みます。
トンネルの上部には坑内へ外気を送るダクト、横には掘削残土を搬出するベルトコンベアが通っています。
トンネルは上下線とも爆破により掘り進められています。坑口に近い箇所の壁面には、水が入らないよう防水シートが貼られていました。
壁面に投影した資料で、トンネルの掘り方を学びます。
高取山トンネル掘削の手順は以下の通りです。
1)削孔(さっこう)、装薬、発破
削孔機(ドリルジャンボ)で爆薬を入れる穴を開け、爆薬を装填して50〜100m離れた場所から爆破する
2)土砂(ずり)出し
タイヤショベルとダンプトラックやベルトコンベアで岩を搬出する
3)こそく
爆破した切羽面の浮いた岩をブレーカーで落とす
4)一次吹付け
コンクリート吹付機とミキサー車でコンクリートを吹き付ける
5)支保工建込み
鉄製の枠を設置する
6)二次吹付け
支保工を含む壁にさらに吹付けを行い、強度を高める
7)ロックボルト打設
長さ3〜4mの鉄製ボルトを打ち込み補強する
8)防水シート貼付けと覆工コンクリート打設
防水シートを貼り、移動型枠「セントル」を使ってコンクリートを打設する
この手順を24時間体制で繰り返します。地山の岩質にもよりますが、1回で約1m掘削でき、一日あたり約4m、1か月で約92mの掘削が可能です。
上り線では仕上げとなる覆工コンクリート打設が始まっていました。
掘削にはCIM(コンピュータ統合生産)やICT(情報通信技術)といった最新技術も導入されています。火薬の削孔位置や角度を最適化して余分な掘削を減らし、土砂やコンクリートの使用量を抑制。発破後のデータは車載3Dスキャナで取得され、削孔機に自動転送される仕組みです。
トンネルの外へ戻ります。ベルトコンベアの先には、土砂を処理するピットが設置されています。
再びバスに乗り、E85小田原厚木道路の小田原料金所にある中日本高速道路 小田原 保全・サービスセンターへ移動しました。ここでは東名(厚木─大井松田)、新東名(厚木南─伊勢原JCT)、小田原厚木道路、西湘バイパスの保全管理を担当しています。
小田原厚木道路は神奈川県厚木市から小田原市に至る延長31.7kmの一般有料道路です。1969年の暫定2車線開通から50周年、1979年の全線4車線開通から40周年を迎えました。経済波及効果は1969年から累計で約3兆円とされています。
小田原厚木道路の詳細図 出所:NEXCO中日本
建物の入口には、2018年のリニューアル工事で撤去したコンクリート床板のサンプルが展示されています。開通当初170mmだった床板厚は、1998年に190mmへ増厚、2013年には樹脂注入補強が行われました。
併設する小田原料金所の管理室を見学します。2018年度の一日平均利用台数は29,647台、そのうちETC利用は26,888台だったとの説明を受けました。
建物裏手の車両基地では、はたらくクルマの見学を行います。標識車、除雪車、散水車が展示され、乗車体験も可能です。
除雪車の排雪板(スノープラウ)が動くと、子供たちからは歓声が上がりました。複数台での除雪運用方法(先頭が雪を寄せ、後続が受け止め路肩へ送る)も紹介されました。
標識車にはNEXCO中日本のオリジナルキャラクター「みちまるくん」とともに、「ありがとう」とメッセージが表示されていました。
参加した小学生は「トンネルは掘るのが大変だと思った。迫力がすごかった」と感想を話していました。現場を見学した多くの子供たちにとって、楽しみながら高速道路の建設や管理に興味を持つよい機会となりました。
■高取山トンネル西工事の概要
工期:2014年5月30日~2020年7月26日
発注者:中日本高速道路(株)東京支社(秦野工事事務所)
施工者:清水建設(株)・みらい建設工業(株)JV
主要工事内容:
工区延長 2200m(土工400m、トンネル1600m、橋梁200m)
土工量 約24万㎥ 函渠工 2基 調整池 3基
トンネル工(NATM工法)上り線1573m 下り線1609m
金目川橋下部工 橋台4基 橋脚7基
基礎工 880m-66本