環状七号線地下広域調節池 石神井川区間 工事現場見学会

 環状七号線地下広域調節池

 環状七号線地下広域調節池は、環状七号線および目白通りの地下で東京都が整備を進めている調節池です。2022年12月10日、周辺地域の住民向けに環状七号線地下広域調節池 石神井川区間の工事現場見学会が催されました。

 西武新宿線野方駅から南側へ徒歩5分ほどに位置する発進立坑インフォメーションセンターで、参加者は事業と工事の説明を受けます。見学会は時間を分けて、全6回行われました。

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 環状七号線および目白通りの地下には、トンネル式調節池の「神田川・環状七号線地下調節池」と「白子川地下調節池」がすでに稼動しています。環状七号線地下広域調節池 石神井川区間の整備は、神田川・環状七号線地下調節池と白子川地下調節池を連結し、より効果の高い調節池を築く工事です。

 中野区野方5丁目にある発進立坑(妙正寺川立坑)から環状七号線および目白通りの地下を通り、練馬区高松3丁目の到達立坑(石神井川立坑)まで、延長約5.4kmのトンネルをシールド工法で構築します。また、稼働したトンネルの維持・管理するための中間立坑を練馬区豊玉中3丁目にニューマチックケーソン工法で構築し、中間立坑とトンネルの連結管を開放型シールド工法で整備します。

photo工事区間の周辺地図 資料:東京都第三建設事務所

 この調節池の整備が完了すると、総延長13.1km、総貯留量143万m?(小学校のプールおよそ4,800杯分)の国内最大となる地下調節池が完成します。1時間あたり最大75ミリの降雨に対応した洪水を貯留するとともに、白子川、石神井川、妙正寺川、善福寺川、神田川の計5河川間にまたがることから、貯留量を複数の流域間で相互に融通することで、1時間あたり100ミリの局地的かつ短時間の集中豪雨にも高い効果を発揮します。

 トンネルは泥水式シールド工法で構築します。掘削するシールド機は外径13.45m、長さ12.91m、重量約2,500t、装置推力は163200kN(2400kN×68本)です。シールドトンネルの内径は12.5mとなります。環七通りや目白通りの地下32〜40mを北側へ向かって掘削し、練馬区高松三丁目にある到達立坑まで、延長約5.4kmのトンネル式地下調節池を構築します。

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 ビット(超硬合金製の刃)を装着した緑色のカッターヘッドによる回転で、土砂を削り取ります。一方、粘性を持たせた泥水を送泥管でカッターヘッド後部のチャンバーへ送り、圧力をかけて地山の土水圧に対抗させて切羽(掘削面)の安定を図ります。掘削された土砂は、泥水と一緒に排泥管で地上に搬出されます。

 掘削と同時に、セグメントと呼ばれる円弧状のブロックを組み合わせてトンネルの壁を構築します。9分割したセグメントで、1リングを形成します。

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 トンネルを円筒形にすることで、地中のあらゆる方向からの力に対して安定した高い強度を保つことができます。シールド機は組み立てたセグメントをシールドジャッキで押し、進行方向へ掘進します。

 施工ヤードへ移動します。施工ヤードには、稼働している妙正寺川取水施設とシールド機の発進立坑があります。セグメントを地下に降ろす120tクローラークレーンが目を引きます。

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 前回2022年4月の取材から約8ヶ月の間に、巨大なリフトが設置されました。

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 セグメントを載せて運ぶ台車を調整しています。

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 これまで120tクローラークレーンで地上からセグメントを1ピースずつ降ろしていましたが、今後はセグメントを台車ごとリフトで降ろすことができます。

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 外壁に沿って設置されているエレベーターで地下約30mへ移動します。

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 さらに地下には、リフトの到着地点とトンネルの坑口を見ることができます。青色の送泥管と橙色の排泥管を確認できます。

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 階段を降りて、地下約30mの地点に着きました。立坑を見上げると、地上部までリフトが伸びています。約8ヶ月前にあった反力支保工や仮のセグメントはすでに撤去されています。

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 トンネルの中へ移動します。リフトを降りた台車はそのままレールを進み、トンネルを掘削するシールド機までセグメントを運ぶことになります。

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 現在は環状七号線に沿って160mほど掘進しています。シールド機の後ろに泥水を送るポンプや裏込め設備電気の設備などを搭載した後続台車を接続して、2023年1月から本格的に掘進する予定です。

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■工事の概要
 工事名:環状七号線地下広域調節池(石神井川区間)工事
 施工場所:中野区野方五丁目地内〜練馬区高松三丁目地内
 工期:2017年3月9日〜2025年12月18日
 工事費:約987億円
 発注者:東京都(第三建設事務所)
 受注者:大成・鹿島・大林・京急建設共同企業体

公式:環状七号線地下広域調節池(石神井川区間)工事